幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 11月12日 ● 『氷の世界』vs『危険な関係』。

 秋ドラマのスタートして1ヶ月が過ぎました。どうやら今クールもまた低視聴率に喘いでいる番組が続出のようです。特に期待されたほど視聴率を稼いでいないのが月9『氷の世界』。竹野内&松嶋というキャスティングに加えて『眠れる森』の野沢尚を脚本家に起用したラブサスペンスということで、万全の体制を敷いたつもりなのに、20%に満たないようではやはり失敗と言わざるを得ないでしょう。

 周りで見ている人の話を聞いても、決して「面白い!」という声はありません。実際、僕も第1回からずっと見ていますが「なんか話がかったるいなぁ」という印象でしかなく、『眠れる森』に比べても決してドラマチックではありません。正直に言えば「毎回同じことの繰り返しで、ただグルグルと回っているだけ」と言った感じです。

 当然、野沢尚の中ではラストまできちんとできているのでしょう。そのために今は伏線を張り巡らせているのかも知れません。しかし、映画や2時間ドラマではなく、連続ドラマの枠でストーリーを運んでいく以上、やはり伏線だけではなく、毎回興味を引っ張れるような山場を作って視聴者を飽きさせないようにしなくてはなりません。残念ながら『氷の世界』ではその連続ドラマ性がかなり希薄だと思います。

 これは同じフジテレビ系列のサスペンスドラマ『危険な関係』と比べればよくわかります。こちらも全く同趣向のラブサスペンスですが、『氷の世界』と違って、毎回何らかの進展が急テンポで繰り広げられ、視聴者が「次はなにが起きるんだろう」と予告編を見ながら思ってしまうような面白さがあります。サスペンスとしての伏線を張りつつも、押さえるべき点はきっちり計算に入っているという、脚本家・井上由美子の技の冴えを感じます。

 『きらきらひかる』でも毎回のドラマを作りながら大きな謎解きも見せた井上由美子。映画的、もしくは小説的な野沢尚のアプローチと違って、明らかに彼女のアプローチは連続ドラマ的です。最初から見ているファンには『危険な関係』の方がわかりやすいことでしょう。

 いずれにしても視聴率争いではともに冴えないことには違いありません。ただ、個々の作品レベルがどうこうというよりも、ラブサスペンスが流行れば一斉に追従するテレビ局の姿勢そのものに問題がありそうな気もしますけどね。

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