幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 11月6日 ● 県名も知らない子どもたち。

 最近の小学生の授業内容を息子や妻から聞いていると、30年前の僕たちとはかなり様変わりしているのを感じます。特に理科と社会の内容が相当薄まっているようで、フナの解剖の授業もやらなければ、都道府県名や平野や川や山脈を暗記させるような授業もないということです。

 以前にも書いた通り、僕は地図オタク気味の子どもだったせいで、社会科で日本の白地図にいろいろ書き込んでいくのは大好きでした。「地図博士」を自認し、先生の代わりに授業で地理の問題を出すという大役を仰せつかって喜んでいたりもしました。

 5年生くらいになると日本国内だけでは飽きたらず、地図帳に載っている世界の片隅にあるような町や湖や岬の名前を覚えたりして、ますます地図オタクぶりに磨きがかかっていったのを思い出します。

 そんな僕からすると、都道府県名さえ教えない今の小学校の授業はかなり歪んでいるように見えます。確かに過度な詰め込み教育は意味がないかも知れません。社会科は暗記科目だから嫌い、という話は本当にたくさん聞きました。しかし日本人である以上、日本国内の大まかな地理は覚えておくことが絶対必要です。

 それは単に国内旅行に行くとき役に立つから、というだけの実用的側面だけからではありません。日本の歴史を学ぶにしろ文学を学ぶにしろ、基本的な地理の知識がなければ理解できないからです。

 関ヶ原は岐阜と滋賀の県境近く、と言われても、そこが日本のどのあたりに位置するのかピンとこなければ、天下分け目の一戦がどうして関ヶ原で行われたのかも納得できないでしょう。

 選抜試験のために、あまりにも細かい知識を要求するのは行き過ぎだと思います。調べればわかることを覚える必要はない、という意見ももっともです。しかし、基本的な知識量が多い方が仕事にも研究にも役立つことが多いのもまた事実なのです。いちいち調べなくても知っていることなら、それだけ時間を有効に使えるし、素材を組み合わせて何かを発想し生み出すときにも、知識が多い方が組み合わせの選択肢が増えて圧倒的に有利です。乏しい知識から意外な組み合わせは生まれにくいものです。

 知識教育を疎かにし過ぎている今の教育では、学生の知力低下が叫ばれるのも無理ありません。どうせ暗記させるのなら、何でもスポンジのように吸収する子どものうちです。アメリカ合衆国の50州を覚えろと言っているわけではないのですから、47都道府県とその県庁所在地くらいは覚えさせたらどうでしょうね?

 
 

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