左足踵(かかと)にヒビを入れてしまい不自由な生活を送っているわけですが、まあつま先立ちで歩けば移動できないわけではないので、それほど苦労はしていません。トイレに行くのも困るような状態ではないからです。
新入社員の時、通勤途中にバイクで転んで右足踝(くるぶし)を27針縫う大怪我をしたことがあります。新人のくせに2ヶ月も会社を休み、全治するのに5ヶ月かかりました。この時は足をつくことなど全くできず、車椅子には乗りませんでしたが松葉杖なしでの移動は無理。基本的にはトイレ以外にはほとんど動かない生活をしばらくしていました。
今回もそうですが、足を怪我すると動きが取れないくせに上半身は元気そのものですから、実に退屈します。本を読む、テレビを見る、パズルやゲームをするくらいしかやることはありません。その代わり動けないというのは周囲の人間からするとかなり怪我人としての説得力があるようで、何かと気を遣ってもらえます。周りに世話を焼かれながら退屈を友として暮らすのは、いわば貴族のライフスタイルですから、優雅だと言えばこれほど優雅な生活はありません。
逆に腕を骨折したりすると、不自由な割には普段通り忙しいのが困ります。学校でも会社でも行くだけなら全然困りませんし、そうするといつも通りの生活をさせられます。ところが片腕使えないという不自由さは、食事にしろ入浴にしろトイレにしろ、見た目以上に生活の細かいところで頻繁に困ることが多く、いちいち人に協力を仰ぎにくい分だけ四苦八苦してしまいます。
最悪なのが一見それとわからない胴体部分の怪我。例えば肋骨にヒビが入ったというような場合、服を着ていればパッと見た目にはよくわかりませんから、周りの人間も怪我していること自体忘れがちです。電車に乗っていても平気でぶつかられたりします。四肢は不自由ではないので、特に人に頼むようなことはないのですが、ちょっと力を入れたりすると痛かったりするので、単なるのろまにしか見えません。
と、いろいろ理屈をつけてみても、やっぱり移動の自由を奪われる足の怪我はかなり困ります。会社に行けないのはまだしも(?)テニスができないと思うだけでもかなりストレスですからね。せめて真冬なら良かったのに、爽やかな秋晴れの空を恨めしく見上げてしまいました。
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