私のアトピー性皮膚炎の治療方針

作成 たらお皮膚科

は昭和55年から皮膚科の医院を開業しております。開業したころのアトピー性皮膚炎の患者さんと、現在の状況を比べると、患者さんの数も確かに増えてきております。

しかし、何より変わってきた事は、顔面の症状がひどい方、その他の部位も、赤みが強い方が多くなってきている事です。また、皮膚炎の範囲も広く、一年中皮膚炎が続く方が多くなってきていることです。
こういう方は、全員 ステロイド を使用した経験のある方ばかりです。私は多くの患者さんを長く診させて頂いて、患者さんから多くの事を学びました。特に、発病からずっと経過を追って診せていただくと、病気の原因が把握しやすいと思います。

アトピー性皮膚炎がどの部位にあり、どういう時に悪化するかを考えて、悪化の原因を除去して、 保護剤、保湿剤古典的外用剤非ステロイド剤かゆみ止めの内服剤 などで治療していけば、自分で病気をコントロールできる様になります。たらお皮膚科で処方する外用薬はこちらです。

ステロイド を使用すると、一時的には改善した様にみえても、徐々に範囲が広がったり、細菌感染やウイルス感染をおこしやすくなり、いろいろのものにかぶれやすくなるなどの不都合な事 (副作用) が起ってきます。

アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い慢性の経過をとる湿疹です。原因は、表皮の角質細胞間にあるセラミドなどが合成されにくいため、皮膚が乾燥しやすい体質と、ダニなどに対するアレルギー体質が関係があるといわれておりますが、はっきりした事はわかっておりません。
私はこれらの体質に加え、生活習慣が関係した、いわゆる生活習慣病と考えております。
いずれにしても、原因が1つではないと言う事は断定できると思います。従って 血液検査 のみで原因を知ろうとするのは、無理だと思います。

アトピー性皮膚炎で、一番問題になるのは、 ステロイド (内服剤はもちろんのこと、外用剤も含みます)の使用だと思います。

アトピー性皮膚炎の治療に ステロイド を使うべきではないと考えます。ただし、アトピー性皮膚炎の方は、アレルギー性鼻炎や花粉症や喘息にもかかりやすく、その治療に ステロイド がよく使用されるので、自分の使用している薬が何なのか把握しておく必要があります。また日本では ステロイドの外用剤 はもちろんの事、内服剤までも薬局で簡単に購入できます。

成人の難治性アトピー性皮膚炎の多くは ステロイド皮膚症 と考えられます。 ステロイド を使用した事がない方は治るための条件が整えばよくなります。 ステロイド を使用すると、とりあえずは、症状が改善した様にみえても、いつ リバウンド が来るかわかりません。 リバウンド は、かゆみが極めて強く、勉学や仕事の面でも支障がでてきます。ただし、現在ステロイドを使用されておられる方は急に中止することは大変危険ですので、脱ステロイドの方法を理解した上で行ってください。

1999年11月24日にプロトピック軟膏が保険適応になりました。世界でも始めての免疫抑制剤の軟膏です。プロトピック軟膏はステロイド以上に慎重に判断しなければいけないと考えます。

乳幼児、小児の時にステロイドを使用した部位のみは年月が経っていても、皮膚炎が極めて難治性になる場合も多く、年齢に関係なく免疫抑制作用を持つステロイドプロトピック軟膏は使用すべきではないと考えます。

もし、この方法でアトピー性皮膚炎を治したいとお考えの方はを読まれることをお勧めします。特にステロイドやプロトピックを使用されて受診される場合は、診察に時間がかかりますので、他の患者さんへの迷惑にもなりますので、どうかご協力をお願いします。なお、遠方の方はメールでの相談も賜っています。アトピー性皮膚炎は薬だけでは治りませんので、一緒に治す方法を考えましょう。

なお、ステロイドが禁忌の疾患でないかぎり、私のほうから「ステロイドは止めたほうが良い」ということは申し上げれませんのでご了承ください。