幹事クリタのコーカイ日誌2013

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5月15日 ● 女性手帳の無意味。

 「女性手帳」への悪評が渦巻いているようです。これは何かというと、少子化対策のために政府が導入を検討している若い女性限定で配布する妊娠・出産の知識や情報を盛り込んだ冊子だということです。要は若い女性が正しい知識を持っていないから結婚をせず子どもも産まないんだろうと政府は考えているわけで、そりゃ「バカじゃないの」と女性が思うのも当然ですし、僕だって「バカじゃん」と思います。そんな的外れな施策をしたところで少子化が食い止められるわけもないし、税金の無駄使い以外のなにものでもありません。儲かるのは大量の女性手帳を制作する印刷会社だけでしょう。

 これについて的確な批判を書いているのは小田嶋隆で、こちら(「女性手帳というパルプ・フィクション」)を読んでいただければ僕の言いたいことはほとんど書いてあります。ちなみに、これに似た内容を「ちきりんの日記」でも「結婚はオワコン!?」というタイトルで書かれていて、小田嶋と似たような主張が書かれています。

 僕はかなり以前からこのコーカイ日誌で「一夫一婦制」の問題点について繰り返し書いてきました。自分でも全ては思い出せないのですが、9年前の2004年2月に書いた「それは槇原敬之の陰謀〜後編〜」もそのひとつですし、最近でも「結婚に踏み切れない理由」などがその観点から出てきた話です。モテない男を救済し、労働と家事・育児を分業化させることで工場労働などの生産性を向上させるための一夫一婦制度はその欺瞞を若者に見抜かれて間もなく時代遅れとなるだろうと考えていますし、実際そういう流れが起きているから晩婚化も少子化も、また不倫も離婚も起きているのではないかと思っています。

 なぜ結婚しなくてはならないのか?結婚しなくても子どもは産み育てられるのではないのだろうか?「家族団らん」だけが幸せだと言うのは思いこみ、刷り込みに過ぎないのではないだろうか?そう疑問に思った若者に対して論理的に納得できるように説明できる人は本当にいますか?子どもを産み育てることは生物としての人間の本能的な営みだとしても、結婚は人間が考え出したひとつのシステムに過ぎません。まして一夫一婦制など比較的最近に出来上がった結婚のひとつのバリエーションに過ぎないのです。

 時代が変われば不適合なシステムを変えるのは当然。そういう理屈で憲法を変えたがっている安倍政権は、なぜか家庭とか結婚に関しては極めて頑迷で、旧弊なシステムに固執していますが、あきらかにこれはダブルスタンダードです。小田嶋やちきりんが書いているように、旧弊なシステムを維持しようとする限り少子化は止まらないだろうし、少子化を食い止めたいならシステムの刷新しか手がありません。

 まあ政治がどうあがいてもこういうことは変わっていくものです。日本でも今後事実婚は増えるだろうし婚外子も増えていくことでしょう。手帳を配って人々の意識を昔に巻き戻そうというのは無理です。今の結婚というシステムが使いにくくなってきたのだから、それを緩やかに改訂していくか、思い切って新しいシステムを考えるか。いずれにしても時代の流れ、人々の意識の変化に対応した政策を行うことが政治家の仕事だと思いますけどね。



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