幹事クリタのコーカイ日誌2013

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5月14日 ● ネガティブコーチング。

 桜宮高校に端を発し、女子柔道をはじめ各所で明らかになったスポーツ界の体罰問題。未だに指導者の中には「体罰の何が悪い」「そうやって強くなってきた」という意見があるようですが、それは図らずもその指導者の未熟さを表しているに過ぎないということをそろそろ理解した方が良いと思います。

 こうした前時代的かつ高圧的な指導を「ネガティブコーチング」と呼ぶらしいのですが、彼らは選手の失敗に対してただただ罰を与えていきます。体罰もそのひとつですが、それ以外にも怒鳴りつけたり、酷い言葉で「批判」したり「嫌味」を言ったり「恫喝」したり。その結果、選手はまず失敗することを恐れ無難でできることしかやらなくなります。チャレンジ精神を失い、指導者の顔色を窺い、練習のための練習に終始し、ピンチに弱くなり、最後はやる気を失ってバーンアウトします。もっと症状が酷くなれば精神的なストレスから病気になったり自殺を図ったり。

 それを「いまどきの子どもは気持ちが弱い」「反骨精神がない」「なにくそと思って頑張れる子がいない」などと言って、選手のせいにしますが、自分が壊しておいて壊れたら非難するというのはお門違いも甚だしいことです。怒らなければ選手を指導できないというのは、選手との信頼関係を築けていないからだし、選手を納得させるだけのコミュニケーション能力を持っていないからだし、何より技術的に選手を納得させるだけの技量がないからです。

 誰だって自分より下手な人間の言うことなんて聞きはしません。逆に素晴らしい技術を持っている人には自ら進んで学びたいと思うものです。山本麻友美プロとテニスをしていると、彼女の卓越した技術にいつも目を見張ります。どうしたら少しでも彼女のプレイに近づけるか、彼女の技術を盗めるかと考えます。そして彼女はプレイで見せるだけではなく言葉でも説明することもできます。下手なコーチは「頑張れ」しか言いませんが、頑張れだけなら子どもでも言えます。

 まず「やって見せて」「言って聞かせて」「やらせて誉める」こと。やる気を失わせてしまうのはコーチとして最大の失敗です。子ども相手でもトップアスリート相手であっても、その基本は一緒だと思います。



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