幹事クリタのコーカイ日誌2009

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9月10日 ● 杉山愛が引退。

 先日の全米オープンでの負け方からして、いよいよかと半ば覚悟はしていましたが、日本女子テニスのエース杉山愛が引退を発表しました。最後の大会は今月末から始まる東レPPOになるそうです。

 この「コーカイ日誌」の最初の日の内容が「伊達公子引退」の話でした。それから13年。伊達がまた現役に復帰して戦っていることも驚きですが、伊達引退後ずっと日本のエースとして杉山が現役を続けてきたこともまた驚きです。62大会連続のグランドスラム出場という世界記録は本当に「鉄人杉山」だからこそ達成し得た凄い記録だと思います。

 僕は全豪オープンを見に行った時に、すぐ間近で杉山愛を見ましたが、本当に小さくて可愛らしくて、これでよく世界の強豪たちに伍して戦っているなと感心するというよりも驚きました。シャラポワとかウィリアムズ姉妹とか日本の男子選手よりも体格が良い相手と真っ向から打ち合うのは、いくら杉山がタフであっても相当に消耗することだと思います。

 パワーテニス全盛時代に小柄な体でダブルス世界1位、シングルスでもトップ10に入ったのですから、その努力は我々の想像を超えるものがあると思います。よく大きな故障もせず、ランキングを下げることもなく34才になるまで戦い続けられたものです。

 同じようにテニスをする者として杉山に感心するのはそれだけではありません。彼女はダブルスの時に常に笑顔を忘れずにペアを励まし続けて戦っています。ペアが不調の時もあれば、自分と噛み合わない時もあるでしょう。そんな時でも決して腐らず落ち込まず、また自分だけの世界に入り込むわけでもなく、ペアを気遣いながら戦う杉山の「人間力」は本当に見習うべきものが多々あります。

 一人の偉大なアスリートが去るテニス界。彼女に続くものが見当たらない現状が寂しく、また心配でもあります。