幹事クリタのコーカイ日誌2009

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9月9日 ● 本田を生かせなければ岡田ジャパンに明日はない。

 先日の世界3位オランダとの試合に0-3で完敗した日本。前半は素晴らしいパスワークでオランダをむしろ押していながらシュートを打たず、打っても精度が低くて決まらない。後半に入って疲れが出たところで足が止まり、そうなると一気にゴールを決められて完敗。いつもの日本代表のサッカーでした。

 誰が見たって歯痒いのは、フィニッシュを決めることができるタレントが決定的に不足していること。釜本以後の40年、ずっと同じことを言われ続けていながら、結局解決できていない問題です。この難問を解決するために、過去にいろいろな工夫がされてきましたが、その工夫が実を結んだとは言い難いのが残念なところです。

 アジアレベルなら、組織の連動性を高めてひたすら精緻なサッカーを目指せば何とかなることはこの10年でわかりました。しかし、W杯の上位クラスとはそれでは善戦止まり。全力で守備をしてカウンターを狙い、結局足が止まってやられる。90分フルに戦い抜ける体力持久力をつければ良いという主張は現実的ではありません。できるならとっくにやっています。

 岡田監督が今回のW杯で「ベスト4」を目標に掲げる以上、善戦するけど勝てない組織力だけのサッカーでとどまってはいられません。オランダで活躍する本田圭佑を触媒として「個による突破」ができる図太いチームにしようと考えているのも当然です。本田はかつての中田英寿を彷彿とさせるような強烈なカリスマがあります。本田をチームに投入することで、チーム全体が活性化することを岡田監督は狙っているのでしょう。

 案の定、オランダ戦後に本田はチームから浮いているそうです。FKで中村俊輔や遠藤に対し「オレに蹴らせろ」と主張したとか。守備にあまり重きを置かず、点を取ることにひたすら執念を燃やす本田のプレーが、連動性を重視する「和のサッカー」を乱しているとかいないとか。まあ聞くからに「いかにも日本人だなぁ」という話ですが、その日本人らしいサッカーの上限が見えているだけに、岡田監督も本田を放任し、本田という「異物」を飲み込めるだけの懐の深いチーム作りを目指しているように思えます。

 W杯本番までに時間はあまり多くありません。特にオランダでプレーする本田が他の日本人選手たちと一緒にプレーする機会は本当に少ないのです。その短い時間の中で、本田を生かせるチーム作りができるのか、岡田ジャパンの命運はそこにかかっていると言っても過言ではないと思います。