幹事クリタのコーカイ日誌2008

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7月2日 ● 日本神話の基礎知識から。

 久しぶりにMっちゃんの話題です。先日、Mっちゃんは愛人の雌豹さんと初めて伊勢神宮に行ったそうです。名古屋に住んで50年弱、今まで一度も伊勢神宮に行ったことがないというのには驚きましたが、まあ近くの観光地に行ったことがない人は世の中にたくさんいますから、それはそれでよしとしましょう。

 伊勢神宮は「すごくスピリチュアルでよかった」そうです。そりゃまあそうでしょう。神道という宗教の中心的施設ですから、スピリチュアルで当たり前です。「伊勢神宮って一番偉いんだよね?」と言うから、まあ三種の神器を祀っているくらいだからね、と言うと、曖昧な顔をしています。

 あ、こりゃ知らないなと思って、三種の神器は伊勢神宮と熱田神宮と皇居にあるんだよ、と教えたら、「熱田神宮もそんなに偉いの?」ときました。もしかして熱田神宮にも行ったことがないの?と聞くと「いや、初詣に2、3回行ったことがあるような」と自信なさげです。もっと突っ込んで聞くと、過去の神社体験は豊川稲荷と熱田神宮に初詣に行ったことがあるだけで、平安神宮にも明治神宮にも行ったことがないそうです。それなのに伊勢神宮の雰囲気の荘厳さを他の神社仏閣とは違うと滔々と語るあたりが、さすがMっちゃんです。

 熱田神宮には草薙剣があるんだよ、というと、そもそもそれはナンだ、という顔になり、伊勢神宮は天照大神が、と言っても、それは誰だ、ということになり、話がだんだん面倒くさくなってきました。つまるところ天皇家の祖先が神様として祀られているのが「神宮」で、乱暴に言うと天皇というのは神主の大親分みたいなもんだ、と言うと、「えー、全然知らなかった」と驚かれてしまいました。まあ乱暴すぎる説明ではありますが、そもそも神社とか神道とかを何か知らないんだから仕方ありません。

 もしかして古事記も知らない?と聞くと「古事記と日本書紀だろ、知っているよ、これでも日本史選択なんだから」と威張りますが、知っているのは名前だけ。もちろんイザナギ、イザナミも、天岩戸の伝説も知りませんでした。岩戸隠れも知らないで、今までよくコピーライターをやってこれたものだと思いますが、Mっちゃんの無知は今に始まったことではなく、過去にも「フランダースの犬」を知らなかったり、「寿限無」を知らなかったりと枚挙に暇がないので今さら驚きはしません。まあ日本神話は知らなくとも、お寺と神社の区別くらいはわかっていて欲しいなとは思いましたが。

 いろいろと神話や神社について話をしたところ「そういうことはもっと早く教えてよ、そうしたら伊勢神宮に行った時に偉そうに喋れたのに」と言うから、普通知っているし、知らなかったら行く前に調べておくでしょ、と思いましたが、そんなことをするMっちゃんはMっちゃんではないなと思い直しました。事後でもこうして興味を持って覚えようとするだけ立派です。子どもたちが修学旅行や遠足で神社仏閣に行ったら、せめてMっちゃん並みに興味を持てば、もう少し行く意味があるのになぁ、などと思いました。