幹事クリタのコーカイ日誌2008

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3月29日 ● 桑田の引退。

 桑田真澄投手が引退を宣言しました。つい先日メジャーに挑戦する不惑投手カルテットの話を書いたところなのに、これで高津と桑田、2人がリタイアしたことになります。もちろん困難な挑戦だとは思っていましたが、本当に生易しい道ではないですね。

 桑田という投手について考える時、僕は「不完全燃焼」というイメージがします。貴乃花が引退した時と同じ印象です。若くして頭角を現し、途中までは順風満帆だったにも関わらず、故障でつまずき、さらに本業以外の部分でも毀誉褒貶があり、最終的には「もっとすごい記録を残すと思っていたのに」という感じで引退です。

 貴乃花は大鵬の32回の優勝を軽く更新するのではないかと途中まで思われていました。24才で優勝15回した時には、まさか22回くらいで終わってしまうとは思いませんでしたし、実際にそんな程度の力士ではありませんでした。彼が30代まで健在だったら、朝青龍もその壁に阻まれて今のような姿にはなっていなかったことでしょう。

 桑田もプロ入りした時には200勝に一番近い投手だと思われていました。18歳ですでにそのピッチングは完成していたし、無理のない投球フォームで長持ちするだろうと予測されていたからです。高校時代の天才ぶり、そしてプロ2年目で初完封勝利を挙げた時には、自ら3ランホームランとタイムリーヒットを放ち、金田や江夏のような投打に傑出した往年の大投手たちを彷彿とさせました。1994年には26才で100勝を達成。このペースでいけば200勝は間違いないと思わせました。

 また打撃だけではなく守備でも桑田は超一流で、かつて桑田以上にフィールディングに優れた投手というのは見たことがありません。あの頃の桑田は投手だけではもったいないと思わせるほどのセンス溢れるプレーヤーでした。1995年の故障後、青田昇が言ったように野手に転向して活躍してくれていたら、きっとスーパープレーヤーとしての桑田伝説が作られていただろうと思います。

 それだけに通算173勝、タイトルも最優秀防御率2回(MVP1回、沢村賞1回、最多奪三振1回)だけで最多勝もないというのは物足りません。もちろん、普通に考えれば十分に名投手、好投手の成績ですが、桑田の高校時代からの活躍を知っているだけに、「この程度か」と感じてしまいます。故障がなければもっとできたろうにと思ってしまいます。

 いっそ江川のように高校時代こそ最高で、プロ入り後はまるで手を抜いて力を余し若くして終わっている方がまだ納得できます。40才までプレーしながら、結局その天賦の才を生かし切れずに引退する桑田。本人が納得していても、野球ファンとしては残念な気持ちでいっぱいです。人間的にも素晴らしい選手だということですし、今後は指導者としての活躍を期待しています。