幹事クリタのコーカイ日誌2003

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12月12日 ● バイオマスって、なんざマス?

 久しぶりに高校の同窓会月例会に出席しました。4月に自分が講演して以来、気が向くと出席することにしているのですが、昨晩の講師は名大農学部助教授。と言っても僕より1年後輩なのですが、見た目にはいかにも大学の先生らしい貫禄がたっぷり。とても年下とは思えません。

 テーマは『バイオマス科学への招待』。さて、バイオマス。知っている人はどれくらいいるのでしょう?バイオテクノロジーで作られたマスの話で、これによってマス寿司が格安になる、というような話ではありません。バイオ=生物、マス=量のことで、バイオマスというのは、生物量のこと。植物、動物、微生物などあらゆる生物体の総量のことをバイオマスと言います。

 で、それがなにか?実は、このバイオマスというのは再生産可能な有機資源です。だから、バイオマスから取り出されるエネルギーを「バイオマスエネルギー」と呼んでいて、これが地球環境に優しい次世代エネルギーとして大変注目されているのです。

 ここまではもしかしたら知っている人もいることでしょう。僕も何となくですが知っていました。今回の講演では、このバイオマスエネルギー、特に木質(木材のことです)バイオマスエネルギーについて、その基本的な知識と将来への可能性、そしてそのための課題などについて、素人にもわかりやすく説明をされました。

 石油や石炭のような化石資源が窒素や硫黄などを大量に排出し、地球温暖化の原因となっていることは誰でも知っていると思いますが、木質資源は“カーボンニュートラル”(炭素量が増えないこと)なクリーンエネルギーであり、またリサイクルの容易さや、森林としての環境保全の高さなどを考えると、極めて優位なエネルギー資源なのです。

 問題は当然コストで、いまそのコストを低減するための研究を大学では進めているのですが、日本ではなかなかこういう研究に対しての費用が出ないので、バイオマスに関してもアメリカやロシアはもとよりブラジルにも大きく遅れを取っているのが現状だそうです。

 日本は化石資源が乏しい国として長年苦労をしてきました。木質資源ならたんまりあるじゃん、と思ったのですが、これもやはり広大な国土を持つ国には到底叶わないわけで、アマゾンを持つブラジルなどはバイオマス研究が進むと一大資源国になる可能性が極めて高いのです。

 またアメリカでは木材よりも、遺伝子組み替えによって作られたエネルギー資源としてのコーンを栽培しているそうで、京都議定書からは抜けても、こうした研究では日本のずっと先を行っているそうです。

 次世代エネルギーというと、風力とか太陽熱とか地熱とか思い浮かべてしまいますが、実はこのバイオマスエネルギーこそが本命のようです。そうだったんだぁ、という話が聞けた夜でした。


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