幹事クリタのコーカイ日誌2003

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7月12日 ● 昨今の入試事情。

 4月に講演をした母校の月例会に出席しました。今回の講師は河合塾の先生で、本も書いているという僕より5年上の先輩。講演のタイトルは「昨今の入試事情〜子供をA高校(母校です)に入れるには、入れてから〜」と言うことで、愛知県で一番難関校と言われる我が母校に子どもを入れるにはどうしたら良いか、というキャッチーなタイトルに惹かれて初参加した僕らと同じくらいの年代の人もちらほら。普段は大先輩が多いのですが、少し気楽でした。

 もっとも講師の真のテーマは、実は高校入試のためのお役立ち知識を話すことではなく、大学入試問題がいかに悪問が多く、そのために「真の学力」をつけるよりも「受験テクニック」を身に付けるような「受験勉強」がはびこっていて、それが日本の教育を歪めている、ということでした。

 さすがに長年予備校の最前線で受験生の指導に当たっておられるだけあって、話も巧いし内容にも説得力があります。実際に出題された国語や日本史などの悪問を見せながら、こういうひどい問題を出題しておいて、大学生の学力が下がったというのは間違っている、学力が下がったのではなく、学力をきちんと把握できないようなひどい問題を出題をしているから、学力の低い学生が入ってくるのだ、ということでした。

 我が母校は昔から「全人教育」を校是としています。すなわち単に学力が高い、進学成績が良い、ということではなく、芸術も解しスポーツを愛し精神的なキャパシティが大きい、人間として幅の広い人物を育てることが目標であり、そのために受験一辺倒の教育は絶対にしないということを誇りとしています。講師はそうした教育こそ理想であるし、それをきちんと評価できるような大学入試問題を作成しない大学側に問題がある、ということも指摘していました(だから河合塾に入試問題を作らせろ、とは言わなかったですけどね)。

 もちろん、「全人教育」は元々頭の良い子どもたちが入学してくる伝統校であるからこそ掲げられる「エリート教育」であるという側面は否めません。学力の低い子どもに勉強も運動も芸術も全てマルチにこなせ、と言っても無理があります。ただ、イギリスのパブリックスクールや、日本の戦前のナンバースクールにあったようなきちんとした「エリート教育」が行われていないからこそ、最近の日本では高学歴の割に幼稚性を感じさせる犯罪が増えるのだという意見には説得力があります。勉強だけしていれば他は何にもしなくていいからね、と教えられた受験エリートの危うさは誰しも感じることでしょう。

 うちの子どもは頭が良い、と思った親は、東大に入れるためにガリガリとひたすら受験勉強をさせるのではなく、子どもの精神的な発達を考えた偏らない人格教育を施すべきであり、それこそ頭の良い子どもを持った親の責務だと思います。まあ我が家の豚児たちは全くそんな心配もなく、勉強以外のことばかりに意欲を示しているので、せめて少しでも成績を向上させないと話になりませんけどね。

 

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