OVERSEAS (METRONOME)

TOMMY FLANAGAN (1957/8/15)

OVERSEAS


【パーソネル】

TOMMY FLANAGAN (p) WILBUR LITTLE (b) ELVIN JONES (ds)
【収録曲】

(01-03) RELAXIN' AT CAMARILLO / CHELSEA BRIDGE / ECLYPSO
(04-06) DALARNA / VERDAND / WILLOW WEEP FOR ME
(07-09) BEATS UP / SKAL BROTHERS / LITTLE ROCK
【解説】 ( 2012年11月18日更新 / 連載 1,054回 )

 来週の今頃、僕は和歌山にいることになると思うんですが、いやあ、楽しみっすなぁ。 楽しみ過ぎて仕事や原稿が手につかないし、ミルキーも歯につきません。 サクサク食感の新しいタイプが登場しましたからね。サクサクではないネチネチ食感のミルキーの歯への執着心は半端なく、とある、あまり信用のおけない信用調査機関の調べによると、ミルキーを食べて歯の詰め物が取れた人の数は、イカの詰め物蒸しを食べて歯の詰め物が取れた人の8倍にものぼるとされていたんですが、これでもう安心。 あと問題は、仕事や原稿が手につかない事だけなんですが、ま、仕事のほうは別にどうだっていいんですけど。 ただ原稿のほうはアレですよね。 来週は小ネタでお茶を濁すか、あるいは、お休みさせて貰うことになると思うので、今回は例年並みの手抜き感くらいで何とか頑張らなければならんのですが、頭の中にはもはや和歌山しかなかったりします。 以前にも2回ほど和歌山ネタを書いたし、再来週から3回シリーズで和歌山レポが展開されるのは既定路線なので、そんなことでいいのか? 和歌山はやめて、わー、加山雄三。 そっちのほうがいいんじゃないか? そんな気がしないでもないんですが、本名・池端直亮(いけはた なおあき)。ニックネームは若大将。作曲家としてのペンネームは弾厚作。 それくらいしか書くことはありませんからね、加山雄三。 一瞬、本名が 「池端直売」 に見えたんですが、そんなことで今日は 「和歌山の直売所」 。 そんなテーマでお届けしたいと思います。

 とまあそれはそうと、3連休っすなぁ。 今年は祝日が土曜日と被りまくりで3連休が少なかった気がするんですが、その腹いせなのか、今度の週末は行楽地にどっと人が繰り出す予感が。 少なくとも南紀白浜は賑わいそうです。 11月23日の白浜の宿は既に押さえてあるんですが、もっと良さげなところはないかと思って定期的に空きをチェックしていたところ、良さげなところに空きが出るどころか、小マシなところからどんどん埋まっていって、良さげではない鼻毛なところしか残っていなかったりします。 2人以上で泊まるのなら好きな所をよりどりみどりなんですが、1人だと五月みどりのシャツ黄みどり。 ま、かきいれ時ですからね。やむを得ません。 結果、いま押さえてある 湯崎館 が、いちばん小マシであるな。 そういう結論に達したんですが、ここも本来、土曜日とか祝日の前日とかは1人では泊めてくれなさげなんですが、祝日そのものは大丈夫なのか、うまい具合にJTBで空きを確保することが出来ました。 料理の詳細が今ひとつ不明なんですが、値段からして恐らく、楽天の このプラン と同等なのではなかろうかと。 これが予約した時点でのお献立。 11月に改編があるというので、どう転ぶのか期待と不安が入り混じる状況だったんですが、結果、 こう なりました。 写真はそのまま使い回し出来るくらいのマイナーチェンジだったようです。 「秋の料理長おすすめ会席」 が 「冬の料理長おすすめ会席」 に変わるのかと思ったらそうではなく、「料理長おすすめ会席」 。 秋でもなくて冬でもなくて、何とも中途半端な季節だよね。 そんな料理長の苦悩が透けて見えますな。 個人的には “焼き物” の 「牛ロース」 さえ無事でいてくれたら、何の不満もないんですが、で、具体的には何がどう変わったのかというと

−−− 秋の料理長おすすめ会席 料理長おすすめ会席
先  付 萩白和え (消滅)
前  菜 鱧玉〆 合鴨ロース煮 秋刀魚手毬寿司 うに煎餅 貝柱となめこ白和え 合鴨ロース カニ湯葉揚げ
造  り よこわ ボタン海老 かんぱち 甘いか マグロ ボタン海老 白身 甘いか
吸  物 銀杏芋真蒸 椎茸 なめこ もみじ人参 甘イカ真文 白髪ねぎ
焚合せ さわら 白菜蒸し 南瓜饅頭菊花あんかけ
焼き物 伊勢海老陶板焼き 牛ロース 他付合せ野菜 三種のタレ 伊勢海老陶板焼き 牛ロース 他付合せ野菜
鍋  物 紀州梅鯛のしゃぶ鍋 白菜 豆腐 本クエちり鍋
酢の物 梅鶏もみじおろし掛け 酢だち 秋刀魚寿司
合  肴 鶏の変わり茶碗蒸し 茶碗蒸し
果  物 梨 ぶどう メロン
香の物 三種盛り 三種盛り

 “先付” 無くなってるやんっ! これはいけません。 いや、 「萩白和え」 なんて別にそんなに食べたいとは思わないし、そもそもどういう食い物なのか見当もつかないし、もし 「萩白和え」 が出てきて食べたとしても、こんなものなら別に無くてもよかったなぁ。 そんな感慨を抱くに違いないんですが、そういう問題ではなくて、キミはちゃんと “先付” の意味を理解しているのか? そういう事を言いたいわけです。 無論、僕はまったく理解していないので、ちょっと調べてみたんですが、先付とは? メインとなる料理などよりも先に出す、ちょっとした小料理のこと。お通し。突き出し。 ああ、お通し、突き出しっすかぁ。 よく居酒屋とかにいくと、頼んでもいないちょっとした料理を勝手に出されて、で、食ってみたら大して美味くもないんだけど、でもまあ、無料(ただ)なんだから別にいっかぁ。 そう油断しているとしっかりお金を取られているという、油断のならないヤツですよね。 あんなもの、いらねぇ! ま、旅館の料理の場合、先付が無くなったところで、それで料金が安くなるワケではないので、やっぱりちょっと不満ではあるんですが、その分、メインの料理のほうで挽回してくれるのであれば、まったく問題はないんですけど。 で、 “前菜” はというと、全4品から3品に減ってるやんっ! ここまで、0増2減。 この分だと5減までは覚悟しなければならないかも知れませんが、で、中身のほうはというと、 「鱧玉〆」 が無くなっちゃいましたな。 山川豊のそっくりさん芸人、山川鱧 (やまかわ・はも) が好きな僕としてはちょっと残念なんですが、ハモというサカナ自体は別に好きではないので、ま、いいかと。 で、その代替が 「貝柱となめこ白和え」 のようなんですが、先付の白和え要素をこっちに持ってきたという感じですかね? 個人的に貝柱というのはあまり好きではないので、悔しくもなければ嬉しくもない。 そんな改編でありますな、こりゃ。 個人的には 「合鴨ロース煮」 というのに期待していたので、こいつが生き残ったのは幸いでありました。 ただ、最後の 「煮」 の字が消えているのが、ちょっと気になるんですけどね。 「秋の料理長」 ではちゃんと煮てたんだけど、煮るのに飽きちゃったので、生でいっかぁ。 そう、秋ではない料理長が投げやりになってない事を祈らずにはいられません。 で、 「うに → カニ」 は、個人的にはどっちもどっちなんですが、湯葉揚げというのは何だか美味しそうなので、ここに関しては評価していいのではないかと思います。

 で、続いては “造り” 。  「よこわ → マグロ」 の変更が目に付きます。 「よこわ」 って何? その疑問は この時点 で解決しているんですが、本マグロの子供で、恐らく女子中学生くらい。 そういう事だったと思います。 秋の時点ではまだ子供だったのに、1ヶ月くらいですっかり大人になって、立派な本マグロになった。 そう考えていいんですかね? あ、でも 「本マグロ」 とはどこにも書かれていませんな。 冷静に考えたら、よこわタンは秋の時点で漁師に拉致されて、包丁でメッタ切りされて、刺身にされちゃってるわけなので、そのまま健やかに成長したものとは思えません。 本物の本マグロではなく、パチモンのバチマグロ。 そう思って、あまり期待しないほうがいいかも知れません。 で、 「かんぱち→白身」 の変更も、ちょっと気になるところです。 会席料理の献立というのは 「白髪ねぎ」 みたいなどうでもいいものでも、使われている食材はすべて記載するという決まりがあるんですが、にもかかわらず 「白身」 などというアバウトな表記。 こりゃ、どんな魚を出されるか、分かったものではありませんな。 というか、魚であるという保証すらありません。 卵の白身の刺身なのかもー? で、 “吸物” の部では、今回登場となった 「甘イカ真文」 というのが気になります。 基本的には甘いイカなんでしょうが、真文って、何? …と思って、調べてみました。 真文とは? 仏・菩薩(ぼさつ)の説いた文句。しんもん。しんぶん。 何だか有り難そうなんですが、不味そうっすなぁ。。。 それ以上のことは分からなかったので、食べてみてのお楽しみということになりそうですが、ま、恐らくただの誤字なのではないかという気もするんですけど。

 で、今回の大きな変化は “鍋物” ということになりましょうか? 「紀州梅鯛のしゃぶ鍋」 が 「本クエちり鍋」 になってます。 鯛しゃぶというのも悪くは無かったんですが、クエは白浜の冬の名物らしいですからね。 梅鯛というのも一応は和歌山ブランドらしいんですが、地元らしさはより向上したと評価していいのではなかろうかと。 「ちり鍋」 というのもいいっすよね。 ピリッと辛い南米風の鍋っすよね? サカナの臭みが消えるに違いなくて、さほどサカナが好きではない僕でも普通に食べられるような気がします。 …とか思っていたら、ぜんぜん違いました。 ちり鍋とは? 白身魚の切り身を野菜や豆腐とともに水煮にした日本の鍋料理である。煮汁には味付けをしない淡泊な味わいが特徴である。 何だかこう、サカナの臭みがダイレクトに伝わってきそうですなぁ。 クエというのが生臭くて食えないクエなのかどうか、それで勝負が決まりそうなんですが、一応、 「本クエ」 と明記されてますからね。 本クエは魚の生臭さが無く、鍋にしてもアクが出ません。 そういう記載がないわけでもないので、それを信じるしかありませんな。 ちなみにこの旅館でクエ小鍋を別注で頼むと 3,150円。 これと同じものが出るとは思えないので、恐らくミニ鍋にも満たないクエマイクロ鍋とか、クエナノ鍋とか、クエピコ鍋とか、そういったレベルではないかと思うんですが、話のタネに名物をちょっとだけ食べられるというのは、いいかも?

 名物と言えば “秋刀魚寿司” も出るみたいです。 改編前は “梅鶏もみじおろし掛け 酢だち” というので、何だかちょっと美味しそうなので期待していたんですが、ま、地元らしさ向上という点ではよかったと言えるかも知れない。 そう、前向きに捉えるしかありません。 で、 「鶏の変わり茶碗蒸し」 が 「(変わり映えのしない普通の)茶碗蒸し」 に変わったりもしています。 ま、変にアレンジし過ぎて変な茶碗蒸しになったりしても嫌なので、普通なのはぜんぜん問題がないんですが、献立から鶏っ気が完全に消えちゃいましたなー。 諸般の事情により、初日に紀伊田辺で 「うめ鶏のくわ焼き丼」 を食うプラン ( ← ここ 参照 ) は断念することにしたので、梅鶏もみじおろし掛け、食べたかったのにぃ。。。 諸般の事情により2日目の夜に予定していた 「いのぶたステーキ」 を初日の昼に回して、2日目の夜はお泊りする “民宿はし杭” の下の うどん屋 で食べることにしたんですが、秋刀魚寿司ならここで十分だったのにぃ。。。 基本、料理長はちょっと余計なことをしてくれましたなぁ。 個人的には 「秋の料理長」 のほうがよかったような気もするんですが、フィリピンのアキノ大統領に文句を言ってやるぅ!

 とまあそんなことで、「牛ロース」 さえ無事でいてくれたら、何の不満もないと言っておきながら、けっこう文句をタラタラと書いてしまいましたが、で、本題の 「和歌山の直売所」 。 周参見のイノブタとか、紀伊勝浦のマグロとか、現地で食べるだけでなく、直売所があったらお土産に買ってみたいな。 そんな話を書こうかと思っていたんですが、湯崎館の料理だけで最後まで引っ張ることが出来たので、どうでもよくなっちゃいました。 ちなみに勝浦にはマグロの無人販売所があるみたいです。 もっさん 参照。 で、イノブタのほうは通販でも買えるみたいですな。 ここ 。 こういうのは、現地でしか手に入らないからこそ価値があると思うんですが、余計なことをしてくれますなぁ。。。 これじゃあ、わざわざ周参見くんだりまで行く意味が無いじゃん! 現地にも直売所はあるみたいなので、そこで買うのが筋だと思うんですが、ただ今回は車じゃないので余計な荷物は持ちたくないし、要冷蔵のイノブタ加工品を持ち歩いているうちに腐っちゃいそうだし、となると、宅配のクール便で送るという手もあるんですが、それだったら通販で買うのとあまり差は無いような気もするしー。 何でもいいけど、 イブの恵み焼き猪豚 とか、めっちゃ美味そう♪  ビアシンケン とか、真剣ビールに合いそう♪ イブの恵みイブ棒くるくるウインナー という、ソーセージマルメターノみたいなのもあったりするし、うーん、たまらんっ♪ 俺、ポチるよ! 今すぐポチるよ! というか、もうポチっちゃったよ! 配送希望日を旅行の最終日にしておいたので、あとはまあ、現地で腐らなくて嵩張らなさそうなイノブタジャーキーでも買っておけば、とりあえずお土産としての筋道は立ちますよね? で、既に滅亡しちゃったような気もするんですが、もしギャル系読者が生き残っておられるようでしたらお土産を買って参りますので、ご遠慮なくお申し付けください。 銘菓 かげろう がいいのぉ♪ …とか。 あ、リンク先が間違ってましたね。 正しくは こちら です。 「福菱のかげろう・柚もなかができるまで」 の動画、おもしれぇ♪ 超オートメーションで、手作り感とか有り難みとかは皆無なんですが、名古屋電気通信工学院ロボット制御研究科の血が騒ぐというか、何と言うか。 ちなみにアドベンチャーワールド限定の “パンダばーじょん” というのもあるみたいです。 だららん主婦 参照。 おお、主婦とか、ギャルとか、幼女とかにはこっちのほうがよさそうですなぁ。 で、無論、 通販 でも買えます。 これまた、余計なことを。。。 ま、あれだけ流れ作業で作りまくっちゃったら、販路を拡大したくなる気持ちは分かるんですが、 「おい、かげろう、ちょっとは自粛したらどうじゃ?」 …と、目玉親父の声で説教したくなったりもしますよね。 せめてパンダのパッケージだけは現地限定にしてくれたらいいのにぃ。。。 ま、桑名にもいつのまにやら 安永餅ストラップ なんていうのが出来ているみたいだし、現地に赴けば地元民も知らないようなレア物があったりするかも知れないので、それに期待するとして。 “パンダぱんつ♪” とかがあったりすればいいんですけどねー。 参考画像は こちら 。 いらねーよ!!

 ということで、今日はトミー・フラナガンっす。 通称・トミフラ。 この4文字熟語が定着しているということは、それだけ日本人に受け入れられた証(あかし)と言えるんですが、4文字に略されてはじめて一人前と言えますからね。 「とみふら」 でググると、候補として 「とみふらの」 「トミフラ」 「土肥富フライフック」 の3つが出てきたりするんですが、で、この人はアレですよね。 代表作と言えば、ロリンズの 『サキソフォン・コロッサス』 とか、コルトレーンの 『ジャイアント・ステップス』 とか、サイドマンとして参加したアルバムを挙げられることが多いっす。 脇で輝くスーパー・サブといった感じで、三河屋のサブちゃんとはいいライバル。 近くにスーパーが出来たら驚異なので、うかうかしてはいられませんよね、三河屋も。 個人的には前任の三平さんのほうが、昔、うちによく来ていたプロパン屋の兄ちゃんによく似ていたので好きだったんですが、プロパン屋も都市ガスにやられて、商売あがったりでしょうな。 実際、うちも途中で都市ガスに変えたので、プロパン屋は用無しになっちゃったんですが、プロパンガスの三平さん、グレて、ガスパン遊びに走っちゃったかも知れませんな。不憫なことです。 とまあそれはそうと、トミフラ。 リーダー作が少ないので、僕の手持ちは超有名盤だけになってしまったんですが、とまあそんなことで、 『オーバーシーズ』 。 有名っすよね。 「ジャズ名盤ガイド」 の類いだと、トミフラはこいつを取り上げておけばオーケー。 そんな風潮があったりします。 トミフラと言えば 「Overseas」 。 こんなブログが引っ掛かってきたりもするしー。 ここにも出てくるとおり、ジャケットが2種類あって、僕の好みは断然 「CCCCCCCCCCCCCCC」 のほうなんですが、残念ながら僕の持ってるCDはトミフラ顔のほうだったりします。 甚だ無念ではありますが、今回のジャケ絵は “ちょっぴり若山牧水が入ってる系” のほうで頑張りたいと思います。前半は和歌山ネタだったしー。 で、中身のほうはというと、ジャズ喫茶 『松和』 のマスターが書いているように、J.J.ジョンソンのクインテットがヨーロッパに演奏旅行した際、ストックホルムで、フロントを除いたピアノ・トリオの録音が行われた、その時の記録。 そういうアレだったりします。 メトロノームというマイナー・レーベルから出されたため、入手困難で “幻の名盤” だったという背景がマニア心をくすぐって、実力以上に持てはやされたという経緯があったりして、そういうところを嫌う人たちからは蔑まれたりして、ジャズ・ファンというのは何とも面倒な人種だったりするんですが、とりあえず今日の僕は中立、中道で、痛風持ち。 そういう立場で話を進めていきたいと思います。 さ、頑張りましょう。

 ということで、1曲目。  「リラクシン・アット・カマリロ」 。 パーカー・ナンバーでありますな。 最近取り上げた中では ここ にも入っていたりするので、パウエル版と聴き比べてみるというのも一興だと思うんですが、僕はそんな面倒なことはしませんけどね。 あっちはあっち、こっちはこっち。 他人と比較するという行為自体がナンセンスとか、そういう高尚な理由ではなくて、たた単純に面倒なのでパスさせて頂こうかと思うんですが、で、これはアレです。 今まで多くの人が同じことを書いてきたと思うんですが、エルビン、凄ぇ! その一言に尽きますな。 冒頭から、あまりにも切れ味鋭いブラッシュ・ワークにぞぞけ立つ思いがします。 バックに煽られまくってフラナガンも思わず熱くなっちゃうんですが、そういうところがいかにもジャズっぽくて、いいぢゃん♪ そう評価していいのではなかろうかと。 で、これも多くの人に語られているんですが、ウィルバー・リトルのベースの地に足がついた感も半端なくて、これぞまさしく三位一体なインタープレイ。 3分15秒という短い演奏の中にジャズ・ピアノの神髄が凝縮されている。 そう評価していいのではなかろうかと。 いや、超有名にして人気盤でもあるので、ちょっぴり斜に構えた懐疑的な態度で会議に臨もうかと思ってしたんですが、素直な気持ちになれる、スナオン。 そんな仕上がりでありました。 ドラえもんのひみつ道具にありましたよね、スナオン。 「ギシンアンキ」 とペアで使うやつ。 ギシンアンキって、 “疑心暗鬼” やったんか! そう、オトナになって気付いた時は目から鱗が落ちた思いがしましたが、ちなみに子供の頃は意味がよく分からなかったYの字の形をしたロウソクの 「Yロウ」 (←これを渡されると、どんな頼み事でも、断れなくなってしまう。) って、 “賄賂” やったんか!

 ということで、次。  「チェルシー・ブリッジ」 。 いいっすよね、これ。 僕がチェルシー大好き少年だったというのはわりと有名な話なんですが、ちなみにヨーグルトスカッチ限定だったんですけど。 大きくなって、バターやコーヒーもけっこうイケるな。 そう思える大人に成長したんですが、子供にはちょっと早過ぎる味ですよね、あの2つは。 で、大人ぶりたいお年頃だった僕は、七並べやババ抜きよりも、断然セブン・ブリッジ派だったんですが、子供の頃に好きだったチェルシーとブリッジがコラボしたこの曲が、悪い筈がありません。 どんなのだっけ? …と思ったら、しみじみとしたバラードだったりしたんですが、こういう、しっとりとした作風も 「カントリーマアム」 とミスターイトウの 「アメリカンソフトクッキー・マカダミア」 が好きな僕には嬉しい限り。 ちなみに 「味カレー」 も好きです。 シケったカレー味の 「かっぱえびせん」 みたいな食感が、たまらんっ♪ で、ここでもエルビンとリトルのサポートぶりは盤石でありまして、硬軟どちらでもイケる柔軟性は、ファーファとしても十分にやっていけると思います。 最近はダウニーに押されまくっているようですが、で、演奏のほうは、途中で倍テンポになったりするところがスリリングで、いいっ♪ そんな気がします。

 ということで、次。 トミフラくんのオリジナル、 「エクリプソ」 。 数少ないリーダー作のタイトルにも使われた、わりと有名な曲なんですが、パイプをくわえた顔が浮かんできますな。 これ っすよね。 オフ会に普通に人が集まっていたあの頃、懐かしすぎて涙が出ます。 無駄に強調文字が多くて、バラエティ番組のテロップみたいなウザさを感じてしまうんですが、当時の僕はまだヤングな若者だったので、しょうないっすなー。 で、演奏のほうはアレです。 明るく御陽気なカリプソ系…の筈が、出だし、地味なベースの無伴奏ソロで、 「ん?」 と思ってしまったりするんですが、大丈夫です。 そのうち、ラテンになります。 ちょっと品がなさ過ぎるんじゃないか? そんな気がしないでもないんですが、これはアレですな。 『ザ・キャッツ』 でも取り上げられてましたよね。 アイドリース・シュリーマンのトランペットが頭の中で再生されたんですが、ジャケ絵の手抜き感が半端ありませんな。 ま、この頃は週に5日というキ○ガイじみた更新ペースだったので、やむを得ないところではあるんですが、で、このトリオ版の出来はというと、アドリブに入るとそれなりに品位を取り戻しているし、相変わらず参加者各位の息はぴったりだし、フラナガンとエルビンの4バースなんかもあって、けっこう盛り上がっているし、6分12秒というちょっと長めの演奏なんですが、いやあ、よかったっす。

 で、次。 これまたトミーくんのオリジナルで、 「ダラーナ」 。 タイトルはトミーくんが愛したスウェーデンの地名らしいんですが、これ、歌物ナンバーやろ? もしこれがオリジナルだと言い張るのなら、盗作やろ? そう言いたくなるような、この上なくプリティ&キュートな旋律を持った戦慄のバラードだったりします。 うーん、顔からは想像出来ん。。。 ま、若山牧水だってあの顔で 「白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも そまずただよふ」 とか詠んじゃうんだから、つくづく、人間は顔ではありませんなぁ。 で、演奏のほうはというと、途中で倍テンポになってスインギー路線に転じたりするところが定番ながらもいい感じだし、エルビンのブラシは相変わらずキレキレだし、最後は再びスローなテンポに戻って、とまあそんなことで、次。 またまたトミーのオリジナルで、 「ヴェルダンディ」 。 今頃、どこで何をしてるんでしょうなぁ、ダンディ坂野。 ブログ を見たら普通に幼女が可愛かったんですが、ななみタンっすかぁ。 7月7日の七夕に生まれたので、ななみ。 なかなかいいセンスっすよね。 永久恋愛ちゃんとかより、ぜんぜんマシ。 何だよ “えいきゅうれいあい” って? …と思ったら、永久恋愛と書いて 「えくれあ」 と読むんですな。 ちょっとセンスいいかも? で、曲のほうはというと、これまたスタンダードっぽいメロディアスな仕上がりだったりして、で、演奏のほうはスインギーなこと、この上なし。 2分10秒という、ほんの小さなちょっとした小品なんですが、ただ大きければいいというモノでもないんだな。 そんな事実に気付かされて、ちょっぴり自信が回復したりもします。

 ということで、次。 歌物ナンバーの 「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」 。 日本名 「柳よ泣いておくれ」 。 僕はこの邦題、並びに曲そのものがあまり好きではなかったりするので、ここまで順調過ぎるほど順調だったのが、ここに来て小休止。 そんな気分になっちゃうんですが、ま、嫌いな人でなければそれなりだと思うし、蓼食う虫も好き好き。 で、あまり期待せずに聞いてみたところ、テーマからアドリブ初期にかけては情緒纏綿とした雰囲気が個人的にはやっぱり駄目だったんですが、途中からスインギー路線に転じていて、ぜんぜん大丈夫じゃん♪ ジャズに名曲はない。ただ名演奏あるのみ。 そんなベタな台詞が素直に信じられたりして、 「スナオン」 の効果は何とも強力でありますなぁ。 ウィルバー・リトルのベースもいい感じにフィーチャーされていて、結果、これまでのところ、大ハズレ無し。 で、残すところあと3曲なんですが、いずれもフラナガンのオリジナルだったりします。  「ビーツ・アップ」 は明るく楽しい系のスインギーなナンバー。  「スコール・ブラザーズ」 は激しい天候変化(豪雨など)を伴う急激な風速の増加現象系の兄弟な仕上がり…なのかと思ったらそうではなく、どちらかというとブルージーな路線。 で、ラストの 「リトル・ロック」 はベースのウィルバー・リトルをフィーチャーした、これまたちょっぴりアーシー系なサウンド。 いずれも大アタリとは言えないんですが、3等賞のサラダ油(小)くらいは貰える感じで、で、僕が持ってるCDは “完全盤” というので、この後に3つほど別テイクが収録されていたりするんですが、無論、聞き比べるといった面倒なことをする必要ななくて、とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 いやあ、よかったっす。 思った以上によかった。 そう評価していいんじゃないかと思うんですが、特に前半の5曲目くらいまでは完璧っすな。 終盤、やや息切れする感はあるんですが、息が絶えるところまではいかないので、ま、大丈夫かと。 ジャズにまだ素人だった頃に買いそびれてしまって、で、今さらトミフラの 『オーバーシーズ』 なんて、プライドが許さない。 そんなつまらない理由でこれを持ってない人がいるとするなら、買え! 今すぐ買え! ポチれ! そう言いたくなる1枚です。 僕も勇気を出して 「イノブタ焼き豚」 をポチったんだから、君にも出来る。 さあ、頑張れ!


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