FINAL NOTES (VEE JAY)

WYNTON KERRY (1968/9/22)

FINAL NOTES


【パーソネル】

GEORGE COLEMAN (ts) WYNTON KERRY (p)
RON McCLURE (b) JIMMY COBB (ds)
【収録曲】

(01-03) INTRODUCTION / UNIT 7 / PIANO INTERLUDE
(04-06) SURREY WITH THE FRINGE ON TOP / ON THE TRAIL / MR. P.C.
【解説】 ( 2012年10月21日更新 / 連載 1,050回 )

 みんな、勤労してるかな? 僕はですね、ぼちぼちです。 ぼちぼちではありますが、そこそこ勤労している自分に感謝して、 「勤労感謝の日」 はどこかに遊びに行こう。 そのように思っております。 祝日が土曜日と重なりまくる最悪の暦な今年にあって、貴重な3連休ですからねー。 今月の 「体育の日」 も3連休だったんですが、日曜日が1級土木施工管理技士の試験だったので休んだ気がしないし、で、来月の 「天皇誕生日」 の3連休なんですが、クリスマスイブが絡むこの時期はどこに行ってもラブラブなペヤングばかりであるに違いなく、心が荒んで、 リア充爆発しろ。ボカーン。 こんな気分になっちゃうこと、請け合い。 ま、勤労感謝の日だろうとなんだろうと、旅先で 「キャッキャ、ウフフ♪」 な奴らを見ると、少なからず心が荒むことになるんですが、荒んだ心でどこに行こうかとあれこれ考えてみた結果、“周参見” というところに行ってみることにしました。 しゅ…周参見。 中国人の料理人にいそうな名前ですよね。 あまりに余所の人から正しく読んで貰えないので、昭和30年、周囲の村と合併した際、 「すさみ町」 と平仮名の町名にした経緯があるようですが、どこにあるのかというと、和歌山県の南の端っこのほう。 枯木灘に面していて、 「国民宿舎枯木灘すさみ」 という宿もあったりします。 何だかこう、いかにも荒みまくった風情があって、いいじゃないっすかぁ。 木枯し紋次郎が出没しそうで、いいっすよね。 夕食に 紋次郎いか が出てきそうで、それはちょっと嫌なんですが、子供の頃は大好きで、よくカジっていたんですけどね。 今になって思えば、どうしてあんなイカ臭いものを喜んで食っていたのか理解に苦しむんですが、そういえば遠足のおやつには必ず 「イカの姿フライ」 を持っていってたし、海のほうに遊びに行くと、お土産には必ず 「のしいか」 を買ってたし、イカ大好き少年だったみたいですな、当時の僕。 成長するにつれて、イカには如何ほどにも興味をソソられない、そんなオトナになってしまったんですけど。

 とまあそれはそうと、和歌山。 三重県に住んでいる僕にとっては隣の県ということになるんですが、三重の北の端っこ桑名に住んでいる身としては、とても素面 (しらふ) では行く気にならないほどの、遥か遠くの辺境の地だったりします。 愛知県や岐阜県なら県境を越えるのに車で10分か15分ほど走るだけでいいんですが、和歌山県だと4時間コース。 最近では高速道路が地味に南に向かって伸びつつあるので、3時間半あれば何とかなるかも知れませんが、とても素面 (しらふ) では行く気になれないし、かと言って酒を飲んじゃうと飲酒運転になっちゃうので、なかなか訪れる機会がなかったりします。 昔、津の営業所に勤務していた頃、三重県の南の端っこの御浜町というところで保守点検の仕事をする際、県境を越えて新宮の宿に泊まっていたんですが、それが僕の唯一の和歌山体験ということになります。 諸般の事情により具体的な名前は出せませんが、いい宿でしたなぁ。 部屋とか風呂とかメシとかは典型的な職人宿風だったんですが、すけべビデオの出来が突出しておりました。昔ながらの、テレビの右上の機械に100円玉を入れるタイプだったんですが、とても正規のルートで流通しているとは思えない、オモテの世界に出してはいけないモノが流れておりました。 インターネットが無かった頃なので、超新鮮♪ エエんか、これ? アカンやろ? ヤバいやろ!? そう憤りつつ、自販機で1000円札でジュースを買って、大量の100円玉を調達したものでありますが、あれはいい副収入というか、裏商売になったでしょうなぁ。 宿のオッサンが個人的な趣味で流していたようで、ある日、何を間違ったのか、薬師寺保栄のボクシングの試合 (←テレビを録画したヤツ) が延々と流された時はちょっぴり殺意を覚えてしまいましたが、で、今調べてみたら、楽天トラベルとかにも普通に掲載されていました。 クチコミを見ても 「ビデオのサービスがよかった。」(よしお 53歳) という意見は無かったので、残念ながらあのサービスは休止に追い込まれたものと思われます。 懐かしいのでここに泊まってみてもよかったんですが、そういうことなら今回はパスですな。 アレが無ければ、フロントのお姉さんの愛想がよかったこと以外、これといった売りのないところでしたからね。駅から近くて、お値段も格安で、ビジネス利用には最適だったんですが、レジャー目的ではちょっと違うような気がします。

 そこで登場するのが ホテル浦島 。 山上館というところに泊まれば景色もよさそうだし、独靴風呂とか温泉もたくさんあって、和歌山で個人的に泊まってみたい宿、ナンバーワン。 場所は紀伊勝浦だから、新宮から16キロほど南下した辺り。 車でも何とか行けそうなんですが、桑名駅からワイドビュー南紀で3時間半くらいなので、鉄道の旅というのもいいかも知れません。ホテル浦島へは紀伊勝浦駅から徒歩5分の観光桟橋から連絡船に乗って行くみたいなんですが、船でしか行けない宿というのも風情があって、楽しそうですよね。 実際のところは別に離島にあるわけではないので、裏からこっそり車で行けたりもするようなんですが、そういう裏の事情を敢えて表に出さないのがオトナというものでありまして。 で、一泊目はここでいいとして、せっかくの3連休なので、どこかでもう1泊してこようかと思っているんですが、思い切って白浜まで行っちゃいますかね? 一度、行ってみたいと思っているんですよね、白浜。 夏の海水浴シーズンだと心が荒んだりするんでしょうが、11月ならわりと落ち着いているんじゃなかろうかと。 かりに荒んじゃったとしても、その心を慰めてくれそうな 三段壁 という名所もあるみたいだしぃ。 東尋坊や青木ヶ原樹海や中央線快速と並ぶ有名スポットのようですが、 三段壁洞窟 というベタな観光施設もあるみたいです。 基本、エレベータで36m降下するだけのスペックみたいですが、入場料金は大人で 1,200円っ♪ 高っ! 東京スカイツリーの高さ450mの第2展望台までの料金が3,000円で、ぼったくり認定されているんですが、メートル単価に換算すると6.67円。 一方、三段壁はというと、33.33円。 ぼった度は5倍でありますな。 機械の力に頼らずに自分の力で飛び降りたほうが、安くて楽なんじゃないかと思ってしまいますが、さすがに所要時間24秒のエレベータだけでこの料金を徴収するのは心が咎めたのか、熊野水軍の舟隠し洞窟だったと伝えられる当時の様子を再現したりだとか、牟婁大辨財天様をお祭りしたりだとか、いろいろと工夫はしているみたいです。 そういう余計なのはいいから、300円にしろよ! …と言いたくなっちゃいますが、ちなみに 東尋坊に聳えるタワー は地上55mで500円。 1メートルあたり9.09円っすか。 ま、適正ですな。 ただ東尋坊の断崖絶壁度は思ってたより大したこと無かったりしたんですが、崖の高さは25mくらいなんですな。 「ドリャーおじさん」 とか、普通に飛び込んで、普通に崖をよじ登ってたしー。 対する三段壁のほうは高さが50mくらいあるみたいで、倍率ドン! さらに倍!! 洞窟の是非はともかくとして、一度くらいは見ておいたほうがよさそうですな。 で、一度くらいは飛び降りてみてもいいかも知れませんが、一度限りで二度目はないような気もするので、下に降りるのはやっぱりエレベータの力を借りることにして。 で、白浜と言えばパンダもありますな。 上野では残念ながらお亡くなりになってしまったパンダの赤ちゃんなんですが、ここ白浜では人知れず、こっそりと普通に成長しているみたいです。 個人的にパンダって、パンツほどには興味がなかったりするんですが、ま、話のタネにちょっとだけ見てやってもいいかな。 そんな気がしないでもありません。 ということで 白浜アドベンチャーワールド 行きも、決定。

 入場料、いくらすんの? 1,800円くらい? …とか思いつつ調べてみたら、大人3,800円。 高っ! アドベンチャーに和田勉ちゃんが展示されているなら、それくらいの出費はやむを得ない気がするんですが、パンダ1匹でこのお値段はちょっと、ぼったくりではないっすかね? そんな気がしないでもないんですが、よく見たらここ、パンダ1匹だけではなく、色んなものがウジャウジャといるんですな。 とりあえずジャイアントパンダだけでも8匹くらいいるみたいです。 グリコのジャイアントコーンでも8個食ったら腹が冷えて下痢になっちゃうと思うんですが、ジャイアントコーン4個とカプリコ4個。 それくらいの割合にしたほうが体にもいいと思うんですが、パンダも同様。 ジャイアントパンダ4匹とレッサーパンダ4匹。 あるいはジャイアント3匹、レッサー2匹、レッツゴー3匹。 それくらいで十分な気もするんですが、で、パンダ以外にもサファリパークみたいなのがあったり、水族館があったり、遊園地もあったりと、盛りだくさん。 ま、3,800円という出費も妥当な線かも知れません。 「嘘のサンパチ」 という言葉もあったりするしー。 どういう意味なのかはよく分からんのですが、長縄くんがよく使っておりました。 そんな長縄くんも10月1日をもって本社に転勤になってしまって、何とも寂しい限りなんですが、送別会と言うか、歓別会みたいなのをやるのかと思ったら、何もありませんでしたな。 歓んでお別れしてあげたかったのに、ちょっと残念。 で、白浜では 崎の湯 という温泉にも入ってみたいし、 円月島 というところで夕日も見てみたいし、けっこう時間を取られそうです。 で、あれやこれやと行程を考えてみた結果、

 1日目:桑名→名古屋→新大阪→白浜と電車で移動。三段壁を散策、崎の湯に浸かる。 白良浜 あたりで夕日を見る。白浜に泊まる。
 2日目:アドベンチャーワールドでパンダを見る。円月島で夕日を見る。

 こんな感じがいいのではないか? そんな気がしてきました。 で、白浜の宿をどこにするかなんですが、とりあえず目についたところに予約を入れて、あれこれプランを考えているうちに気が変わって、さっきのところはキャンセルして、やっぱりこっちにしておこう。 そんな作業を3か月ほど前から延々と繰り返しているんですが、予約 → キャンセル → やっぱりここにする → やっぱりやめた。 そんなのを3回ほど繰り返したところもあります。 毎度のことなんですが、迷惑極まりない客でありますな。 いや、結局は泊まらないんだから、客とも言えませんな。 ただの嫌がらせとしか思えないんですが、でも、しょうがないないじゃん! 気が変わったんだしぃ! (←理由になっていない上に、反省の色もなし)。 恐らく僕の名前はネット予約業界のブラックリストに掲載されていて、そのうちにどこからも予約を受け付けて貰えなくなるに違いありませんが、キャンセル料が発生する前の段階での予約取り消しだし、このまえは 「楽天」 の予約をキャンセルしちゃたから、今度は 「じゃらん」 にしておこうとか、それなりに気を使ってはいるので、ま、グレーゾーン金利というか、脱法ハーブというか、そういう位置付けであると言えるのではなかろうかと。 で、一応のところ 「湯崎館」 というところに落ち着きそうな風情ではあるんですが、窓から見える景色はまずまずで、温泉のほうはそこそこ。 そんな感じなのではなかろうかと。 クチコミを見る限り、飯の質と宿の人の愛想はよさげな感じです。僕が頼んだのはJTB (←そこしか空いてなかった) なので、この 楽天のプラン とは微妙に違うかも知れませんが、料理の質は恐らく同レベルではなかろうかと。 オフィシャルサイトや楽天、じゃらんからの予約だと、貸切露天風呂が30分無料みたいなんですが、JTBにはどこにもそんなことが書いてなかったので、もしかしたら駄目なのかも知れません。 で、楽天のプランには 「※お魚が苦手な方は、和牛会席に変更できます。前日までにお電話にてお申しください。」 という記載があるんですが、JTBのサイトにはそんなことは一言も書かれていませんでした。 お魚が苦手というほどではないんですが、あまり得意でもない僕としては和牛会席のほうにソソられるものを感じてしまうんですが、でもまあ、せっかく白浜まで行くんだから、魚でも悪くないような気がしないでもありません。 夏のプランは陶板焼きがアワビと和牛だったんですが、秋バージョンは伊勢海老と和牛になってるしー。 アワビって、姿を眺めてニマニマするには嫌いではないんですが、別にそれほど食べたいとも思わないので、伊勢海老への変更は悪くないと思います。 海老って、頭とか殻とか脚とかヒゲとかはあまり好きではないんですが、伊勢海老なら殻や頭ごと食わされることもなさそうだし、陶板焼きというスタイルで食べたことはないんですが、三種のタレというのもちょっとソソられるし、いいかもー?

 で、その他のサカナ料理はというと、まずは造り。 内訳は、よこわ、ボタン海老、かんぱち、甘いか。 大人になって、イカがあまり好きではなくなってしまった僕ではありますが、刺身ならぜんぜん大丈夫。 ボタン海老というのも殻とかヒゲとか卵とか、余計なものさえ付いてこなければ大丈夫かと。 たまに甘海老とかが子持ちだったりすることがあるんですが、そういう余計なことはヤメて欲しいです。 で、よく分からないのが、よこわ。 何かと思ってしらべてみたら、本マグロの子供みたいです。ほぉ。 海老の子供にはまったく興味がなくて、むしろ迷惑だったりするんですが、マグロならば話は別。 子供と言ってもサバくらいの大きさはあるみたいだし、恐らくマグロ的には女子中学生くらいなのではなかろうかと。 いや、女子であるという確証はどこにもないんですが、いいじゃないっすか、よこわタン♪ で、紀州梅鯛のしゃぶ鍋なんてのもあるようですが、それはいったい、どういう鯛なのかと言うと、梅から抽出したエキスを飼料に加えて育てた鯛。 おそらく、そういう鯛だと思われます。 で、もみじおろし掛けとして提供されるらしい “梅鶏” というのも同じようなものだと思われます。 梅エキスの入った餌を食ったところで、梅味の鯛やら鶏になるとは思えないんですが、鯛や鶏が 「これ、ウメーや♪」 とか言いながら梅を食っているのなら、それはそれでいいことだし、このプランでもぜんぜん問題は無さそうに思われます。 部屋食というのも個人的には気が楽だし、 「崎の湯」 や白良浜まで歩いて行けるという立地条件も嬉しいし、ま、1泊目はここで決まりかな? …と。 で、問題は2泊目なんですが、白浜でパンダと夕日を堪能してからの移動となると、「ホテル浦島」 はちょっとどうかという気がしますな。 白浜と勝浦は特急でも1時間半くらい掛かるくらい離れているんですよね。 浦島のメシは超評判が悪いみたいなので、素泊まりプランにして遅めの時間にチェックインというのでもいいんですが、あそこの温泉は15時くらいには到着していないと完全制覇は厳しいみたいですからね。 浦島はまた別の機会に回すとして、今回は違うところでお泊りすることにしようかと思うんですが、そのことについて触れる余地がなくなったので、この続きはまた、そのうちに。 ちなみに来週は恐らく 「B−1グランプリねた」 になるものと思われるので、恐らくは、ま、その次くらいになるのではなかろうかと。 そういえば月イチのペースで1級土木施工管理技士のお勉強ネタを書くという話もあったような気がするんですが、そんなこんなで、んじゃ、また。

 ということで、今日はウイントン・ケリーっす。 “jazz giant vol.35” は今回で終わりなので、最後はケリーで、けりを付けよう。そういう魂胆だったりします。 ま、30回でひとつの区切りとすることに、特に深い意味があるワケではないんですが、とまあそんなことで、 『ファイナル・ノーツ』 。  前回 、本コーナー設立の趣旨は 「JAZZ名盤ガイド」 の類とか、他人様のほ→むぺ→じとかで取り上げられるような有名盤ではなくて、素人にはあまり知られてないんだけど、内容的には悪くない。 そういった類のアレを紹介しよう。 そういうところにあるという趣旨の発言をしたんですが、幸いケリーに関しては、こんなマイナーなアルバムを愛聴している俺って、カッケぇ!  そんな厨二心を満たしてくれる作品がまだ残っておりました。 となれば、内容のほうは度外視して取り上げるのが筋というものなんですが、幸いジャケットも書きやすそうな感じだしー。 で、これ、吹き込まれたのは1968年9月22日。 さば君がこの世に生まれて半年と3日後くらいなんですが、ケリー君にとってはわりと晩年。 生没年は (1931年12月2日 - 1971年4月12日) なので、当時37歳ということになりますな。 39歳で死んじゃったんですね。ソニー・クラークは享年31歳。 みんな、若死にっすなぁ。 日本では若くしてお亡くなりになればなるほど、人気が高まる傾向にあるので、その意味ではよかったと言えるのではなかろうかと。 で、これ、タイトルが 『ファイナル・ノーツ』 なので、もしかしたら遺作かな? …と思ったら、ぜんぜんそうではなかったんですが、よく考えたらこの人の最終作は 『フル・ビュー』 っすよね、確か。 アレこそ日本人ウケのする作品で、このコーナーでもかなり早い時期に取り上げたのではないかと記憶しているんですが、えーと、 これ っすな。 短いし、今とは文体が違うし、何よりジャケ絵の適当さが半端ないんですが、ジャズのアルバム・レビューなんて本来、この程度で十分なんすよね。 それがいつの間にやら無駄に冗長になって、今さら後には引けなくなってしまっているんですが、いるのかいないのか分からないギャル系読者が一言、長すぎて読む気がしない。前半のぜんぜん関係のないつまらないネタもいらない。 そう、ビシっと核心を突いた発言をしてくれたら踏ん切りが付くと思うんですけど。 しばらく立ち直れなくて、3週間くらいは休載を余儀なくなれることになるとは思うんですが、というか、よく見たら『フル・ビュー』 って、1967年の録音なんですな。 正式なリーダー作としてはラスト。 そういう位置付けなのかも知れませんが、で、この 『ファイナル・ノート』 はというと、恐らくブートレグなのではないかと思われるライブ盤。 音質があまりよろしくないので、温室育ちの僕としては、それだけであまり真剣に聞く気になれなかったりするんですが、面子的にはジョージ・コールマンの参加がどうかと言ったところ。 マイルス・コンボの同僚なんですが、日本ではあまり人気がなかったりしますからね、この人。 個人的にも積極的に聞きたいとは思えないので、色んな意味であまり期待が持てそうにもないんですが、とりあえず、ま、聞くだけ聞いてみましょうかぁ。

 1曲目、 「イントロダクション」 。 これはアレです。 1曲目というより、ただのメンバー紹介なので、あってもなくてもよさそうなものなんですが、これがないとライブっぽさが半減しちゃうので、あったほうがいいと思います。 ただ、ここでのコレは生ではなくて、後からレコード化された際に付け足されたものっぽさが満開だったりするので、別になくてもよかったかなという気もするんですが、ということで、2曲目。  「ユニット7」 。 ベーシストのサム・ジョーンズのオリジナルなんですが、個人的には好きな曲なので、これは嬉しい選曲かと。 ケリー絡みで言うと、超有名なライブ盤 『ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリー』 で取り上げられているので、あのバージョンの印象が強いかと思いますが、あっちがギター入りなのに対して、こっちはテナー入り。 トリオ演奏によるテーマ部ではケリー君がちょっとミスったりしていて、お世辞にも完成度が高いとは言えません。 で、そのままピアノのソロへと突入していくんですが、こちらのほうはいかにもライブらしい躍動感が感じられて、粗削りながらも、ま、悪くはないんじゃないかと。 ひとしきり3人で暴れた後、ジョージ・コールマンが登場することになるんですが、やっぱりというか、案の定というか、何となく地味な雰囲気が漂っておりますな。 楽器がぜんぜん出来ない僕があれこれ言えた義理ではないんですが、一本調子にフレーズを垂れ流しているだけ。 そんな気がしないでもありません。 で、そういう状況が延々と繰り広げられることになるんですが、何せ24分41秒もありますからね。ライブだけに容赦がないんですが、生で聞かされている観客がちょっぴり可哀想に思えてしまいます。 いつ終わるのか見当が付かないし、途中で飽きたからと言って早送りするワケにもいかないし。。。 ま、時おり口笛が聞こえてきたりするところを見ると、会場はそれなりに盛り上がっているのかも知れませんが、途中、ロン・マクルーアという人のベース・ソロがフィーチャーされている間はシーンと静まりかえっていて、何だか不憫。 その後、ケリーが出てきたり、コールマンが復活したり、ジミー・コブが地味に鼓舞してくれたりして、場の空気は元の熱さを取り戻すことになるんですが、(中略) とまあそんなこんなで、おしまい。

 ということで、次。  「ピアノ・インタールード」 。 ステージの幕間に、戯れにピアノを弾いてみました。 そんな風情で悪くないんですが、如何せん、わずか19秒の小品ですからね。 あれこれ論評を加えるまでもないでしょう。 何でもいいけど 「幕間」 って、 「まくま」 って読むんじゃなかったんですな。 それだと 「間熊」 とかしか出てこないので、どうやら読みが間違っているっぽいんですが、もしかして、まくかん? 更によく調べた結果、どうやら 「まくあい」 が正解らしいと判明したんですが、ほぉ。 言われてみれば確かに、その読みは何度か耳にしたことがありますな。 またひとつ賢くなって、僕個人としてはそれなりに有意義な1日を過ごすことが出来そうなんですが、とまあそんなことで、次。  「サリー・ウィズ・ザ・フリンジ・オン・トップ」 。 翻訳サイトだと 「TOPの上の周辺を備えたサリー」 と訳されるんですが、世間一般には 「飾りのついた四輪馬車」という邦題で知られております。 どうしてそんなワケの分からんものを歌にしようと思ったのか、リチャード・ロジャースくんの意図がまったく読み取れなかったりするんですが、オスカー・ハマースタインが書いた曲のほうも何だか能天気テイスト満載で、個人的にはあまり好きではなかったりします。 ケリー絡みで言うと、超人気盤の 『枯葉』 にも収録されていたりするので、本人にとっては愛奏曲なんでしょうが、こんなのを愛奏する人とは気が合いそうにもありません。 愛想をつかしたくもなるんですが、ま、ケリーのピアノのスタイルによくマッチした楽曲ではあるんですけどね。 前曲同様、テーマから最初のソロに至る過程はトリオで演奏されることになるんですが、俗に言われる 「ケリー節」 を存分に堪能することが出来る、そういう仕上がりだったりしております。 その分、途中出場のコールマンくんの “付けたし感” が半端無かったりするんですが、…と、端から馬鹿にする気満々だったんですが、ここでの吹きっぷりは意外と悪くなかったりします。 確かに出だしの部分こそ “場に溶け込めない感” があったんですが、何かが吹っ切れたのか、その後は伸び伸びとした豪快なブロウを披露してくれておりました。 この人、無理にモード奏法とかに挑戦せずに、普通にハード・バップを吹かせてやったほうがいいんじゃないっすかね? ここでのプレイはあまり新主流派っぽさが感じられない気がしないでもないんですが、それが功を奏して普通に聞けるレベルの仕上がりになっていたりします。 かなり長めのソロが終わった後、観客からは拍手が沸き起こるんですが、よかったじゃないっすか、日の目を見ることが出来て。 で、途中、ベースのソロで小休止して、終盤、ケリーが再登場して再盛り上げして、でもって、テーマに戻って、おしまい。 まあまあよかった。そのように評価していいのではないかと思います。

 で、次。  「オン・ザ・トレイル」 。 翻訳サイトだと 「道の上で」 と訳されるんですが、「前略、道の上より」 。 昭和の時代にはそんな歌があったりしましたよね。 一世風靡セピアっすか。 ま、それなりに一世は風靡したと思うんですが、何でもいいけどセピアって、イカ墨っすよね。なかなか、いかすバンド天国だったと思います。 で、 「オン・ザ・トレイル」 のほうはというと、世間一般には 「山道を往く」とかいう邦題で知られているんですが、いや、さほど知られてはおりませんか。 少なくも僕が持ってるケリーの 『イッツ・オールライト』 ではそんな表記になっていたと記憶しているんですが、この頃になるとジャケ絵の出来もちょっぴり丁寧になっておりますな。 和歌山の毒カレー事件、いよいよ犯人逮捕も間近って感じですね。 そんな記述が見受けられるんですが、林真須美たん、逮捕直前に書かれたものなんでしょうか? 続いて「山道を徃く」。ファーディ・グローフェの組曲「大峡谷」でいちばん親しまれている曲らしいですが、確かにどっかで聴いたことあるメロディです。 そういうアレがここで再演されることになるんですが、グランド・キャニオンの風景を組曲にしたものなんだそうで。 のんびりとした長閑な曲調なんですが、口笛ピューピューで、現場はけっこう盛り上がっているみたいですな。 ま、単純なアメリカ人が喜びそうなメロディだったりしますからね。 で、ここではジョージ君がほぼ最初から出てきて、かなり頑張ってくれることになるんですが、すっかり打ち解けた様子で、めっちゃ生き生き。 こんな燃えてるコールマンを見るのは初めてのような気がするんですが、一時期、アウトドアにハマった時も高くて手が出なかったんですよね、コールマンのランタン。 仕方なくミスタートンカチで乾電池式のランタンを買ったりしたんですが、ちっとも燃えなくて、アウトドア熱も冷めました。 で、一方、演奏のほうはと言うと、燃え燃えなコールマンの後を引き継いだケリーのソロも、なかなかいい具合に燃焼しておりますな。 「ケリーは煙草に付ける火のような存在だ。ヤツがいないと俺は美味い煙草が吸えない。」 あのマイルスがそう言ったとか、言わなかったとか伝えられておりますが、ここでのケリーは自らも完全燃焼しております。 続くベースのソロは、そこに消火バケツで水をぶちまける感じになっちゃうんですが、ま、ポール・チェンバースみたいにアルコで変に自己主張しないだけマシだと思って、受け入れるしかありません。 生で弾いてる様子を見ると、なかなか楽しかったりするんですけどね、ベースも。 で、終盤、消えかけていたケリーが再燃して、くすぶった状態でテーマに戻って、おしまい。なかなかよかった。そのように評価していいのではないかと思います。

 ということで、ラストです。 ジョン。コルトレーンのオリジナル、 「ミスター・PC」 。 ベース界のアイドルで、アルコ弾きの達人と称されるポール・チェンバースの功績を讃えて作られたナンバーでありますな。 ここでは冒頭からジョージ・コールマンが、はっちゃけ全開。 もう、過去のしがらみを完全に振り切っちゃった風情でありますが、いきなりハードなアドリブで始まって、いつまでたってもお馴染みのテーマが登場しなかったりします。 で、登場しないまま、5分09秒くらいでピアノ・ソロへと引き継がれることになるんですが、ここでのケリーもなかなかいい感じに燃え上がっていて、炎上。 続くベース・ソロは…、ま、これはこれでいいとして、最後は ds→ts→ds→p の掛け合いと、かなり長めなドラム・ソロで大いに盛り上がって、最後の最後にお馴染みのテーマ・メロディが登場して、とまあそんなことで、今日は以上っす。

【総合評価】 出だしはちょっとアレだったんですが、中盤以降、炸裂しましたな。 ケリーは晩年とは思えないほど生き生きとしているし、ジョージ・コールマンの意外な熱さを体感出来たのも、思わぬ拾い物。 1曲の演奏が長過ぎるのと、音質がよく無さすぎる点で、一般人にはあまりお薦めしませんが、こんなマイナーな奴を愛聴している俺、カッケぇ♪ …な奴には、激しくお薦めしたいと思います。


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