SONNY CLARK TRIO (BLUE NOTE)

SONNY CLARK (1957/9/13)

SONNY CLARK TRIO


【パーソネル】

SONNY CLARK (p) PAUL CHAMBERS (b) "PHILLY" JOE JONES (ds)
【収録曲】

(01-03) BE-BOP / I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS / TWO BASS HIT
(04-06) TADD'S DELIGHT / SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE / I'LL REMEMBER APRIL
【解説】 ( 2012年10月14日更新 / 連載 1,049回 )

 君はスマートフォンとかデジカメとかの、液晶とかの保護シートを貼るのが得意かな? 僕は駄目です。 どう頑張ったって埃が挟まったり、気泡が入ったり、端っこのところがピッチリとうまく密着しなかったりして、不完全な仕上がりになってしまいます。 完全主義者である僕にとって不完全な貼り具合の保護シートほど不快なものはなくて、どうにも我慢がなりません。 ま、僕もオトナなので不満をすぐに外に吐き出すのではなく、2週間くらいは何とか我慢して使っているんですが、そのうちに段々とイラついてきて、 「こんなもん剥がしてやるぅ!」 と心の中で叫んで、ペリっと剥ぎ取って、くしゃくしゃに丸めて、プラスチックごみ用のゴミ箱に捨てることになります。 ムカついていてもちゃんとゴミの分別をするあたり、さすがは分別のあるオトナという感じなんですが、ちなみに2週間も生き延びることが出来るのは、たいてい2代目だったりします。 いつも失敗した時用を含めて2枚買うことにしているんですが、案の定1枚目は失敗に終わって、初代は貼られた直後に剥ぎ取られて、プラごみと化すのが常なんですよね。 1回は失敗出来るという安心感から、やっつけ仕事で雑になっちゃうのが駄目なんすかね? ぎりぎりまで追い詰められないとヤル気が出ないタイプですからね、僕。 失敗が許されない後のない状況になって、初めてそこそこの仕事が出来るようになるんですが、ま、出来たところでそこそこなので、出来栄えのほうもそこそこ。 そういう結果に終わっちゃうんですけどね。

 とまあそんなことで、 前回 に引き続き、android搭載デジカメ “coolpix S800c” のお話です。 ネット通販では液晶保護フィルム…というか、有機ELフィルムがおまけで付いてくる店もあったんですが、 「失敗した時用」 までは付いてこないんですよね。 ということはつまり、一発勝負 → 失敗 → プラごみ。 そうなるのは目に見えているので、となると、最初から何もついてこないのと何ら変わりは無いな…と。 で、本体だけを買うことにしたんですが、その結果、わずか数日で画面が傷まるけになっちゃいました。 そんな手荒に扱ったつもりはないんですが、擦り傷のような細かい線が無数。 普通に写真を撮ったり、暗い画像を見たりする分にはさほど気にならないんですが、android機能で背景が真っ白なアプリを立ち上げたりするとめっちゃ気になって、駄目っす。 こんなことなら保護シートを貼るのに失敗して気泡まるけになったほうがよっぽどマシなんですが、いやあ、失敗しましたなぁ。。。 今の奴は最初から無かったことにして、新しいのをもう1台買っちゃおうか? そこまで思い詰めてしまうほどのダメージだったんですが、さすがに約4万円ともなるとなかなかそこまでは踏み切れません。 見た目は傷物になっちゃったんですが、中身はまだまだ新品同様ですからね。 一層のこと、再起不能なくらい完璧に傷傷になってくれれば踏ん切りも付くんですが、ということで、駄目モトで画面の修復に挑戦してみることにしました。 ネットで調べてみるとどうやら、歯磨き粉が使えるみたいなんですよね。 中に細かい研磨剤が入っているので、そいつで表面を綺麗に削っちゃうんだとか。 何か、余計に傷が付くだけのような気もするんですが、ま、そうなったらそうなったで、本望ですからね。 ネットのガセネタを真に受けて、大変なことになってしまった。 僕はちっとも悪くないっ! そう、被害者面をすることが出来ますからね。 場合によっては謝罪と賠償を要求することが出来るかも知れないし、とまあそんなことで、やってみました。 方法はとっても簡単。 少量の歯磨き粉を画面に塗りつけて、眼鏡拭きの布でこする、こする、こするっ。 ただひたすらこするっ! で、歯磨き粉が乾いたら拭き取る。 これだけのことで、あら不思議。 画面の傷が綺麗に・・・、消えません。 危惧したように余計に傷が付くということも無かったんですが、多少なりともマシになったとかそういうこともなくて、まったくの無駄。時間の無駄。 僕の貴重な 「体育の日」 をどうしてくれる? そんな結果に終わってしまいました。

 やはり、本物の 「歯磨き粉」 じゃないとダメなんすかね? 僕が使ったのは粉ではなくてペースト状のやつで、研磨する気とか、まったくありません。 そんな気配が色濃く漂ってましたからね。 最近は研磨剤の入ってない歯磨き粉も多いみたいだし、そんな軟弱な奴らでは話になりません。 車用のコンパウンドとか、あっち系のほうが効果はありそうですよね。 それこそ再起不能なくらい事態が悪化しちゃうような気もするんですが、クレンザー+金属たわしのコラボよりはマシなような気もするしー。 で、いろいろと調べているうちに、何だかよさげなものを発見しました。 アクリサンデー研磨剤 ♪ ★アクリル板・アクリルケースの仕上げに★表面の細かなキズや汚れを落とし光沢をだす★ おお、素晴らしい♪ 名前からして何となくアクリル板とか鈴木亜久里とかの研磨に使えそうなんですが、傷の付きっぷりが何となくアクリルっぽい感じなんですよね、僕のクールピクスたん。 通販だとマンデーに注文して、サンデーが届くのは早くてもチューズデーなんですが、このサンデーは家の近くのミスタートンカチに売っていたような気がします。 ということで、行って来ました。売ってました。 売れ残りのようでパッケージが黄ばんでおりましたが、黄ばんだアクリサンデーだって研磨してやればピッカピカ。 アクリサンデー ウェルシー というのも売っていたので、ついでに買ってみたんですが、ということで、家に戻って、研磨開始。 方法はとっても簡単。 少量の研磨剤を画面に塗りつけて、ウェルシーでこする、こする、こするっ。 ただひたすらこするっ! で、研磨剤が乾いたら拭き取る。 これだけのことで、あら不思議。 画面の傷が綺麗に・・・、やっぱり消えません。 何だか研磨っ気が希薄に感じられたので容器をよく振ってやったら、今度はいい感じに粉っぽい奴が出て来たんですが、効果の程はというと、ほぼ歯磨き粉レベル。 期待が大きかっただけに落胆の度合いも半端なかったんですが、こうなったらもう、本格的に研磨してやるぅ!

 人間、自棄になるともう、怖い物なし。 こうなったらもう、ウェルシーを割り箸の割れてないほうに巻き付けてやるぅ! こうでもしないと力が全然入らないんですよね。 この時点でもう、壊す気満々で、布を巻いた割り箸で画面をガシガシと削ってやったんですが、すると、おおっ。 いちばん力が入る画面の真ん中付近が何だか妙にピカピカになったような? どうやらこれ、表面がコーティングされているっぽいんですよね。 で、傷が付いているのはどうやらそのコート部分だけみたいです。 もしかしたらこれ、何とかなるかもー? 俄然、やる気になって、1時間くらいかけてゴシゴシして、表面の傷を完膚無きまでにこそぎ取ることに成功したんですが、アクリサンデー研磨剤、恐るべし! 手が痛くなって、指先に力が入らなくなる程の重労働でありましたが、達成感は抜群。 表面のコーティングを完全に剥がしちゃった事による何らかの不具合が生じる可能性は十分にある…というか、剥がしていい事などある筈がないんですが、とりあえず傷が綺麗に消えたから、いいやぁ♪ 駄目モトでやってみたら、やっぱり駄目になった。 そんな経験は多々あるんですが、とりあえずのところ、今回の荒療治は成功だったのではなかろうかと。 ただ、今度また傷が付いちゃたら、同じ手は使えませんからね。 慌ててもう一度ミスタートンカチに行ったんですが、いい液晶保護フィルムがなくて、仕方がないので遠くのカインズホームまで行って買いました。  で、家に戻って、貼りました。 失敗 → プラごみ。 ああん! でも大丈夫。 こんなこともあろうかと思って、ちゃんと2枚買ってありますからね。 後がない状況で再チャンレンジしてみたんですが、気泡が3箇所と、端っこのビロビロ剥がれかけが2箇所ほど。 うーん。。。 自分で好きなサイズに切って使うタイプなんですが、フィルムのペラさが半端なくて、安物感が満載なんすよね。 仕方がないのでネット通販で純正の保護フィルムを2枚注文したんですが、今日あたり家に届くのではなかろうかと。 保護フィルム貼りは 風呂場で全裸 が最強! そんな話をよく聞くんですが、一度試してみますかねー? 貼ってるうちに誤ってカメラのスイッチが入って、誤って自分の局部を激写してしまって、そいつが誤って Wi-Fi経由で全世界に流出したりしないか、ちょっと心配だったりするんですけどー。

 とまあそんあこんなで、このカメラ、何度か現場監督業務に持ち出す機会があったんですが、動作がちょっと不安定な時がありますな。 心配した通りバッテリーの減り具合も半端なくて、予備電池は必至だしー。 が、そんな欠点を補って余りある、画期的な androidアプリがあることが判明しました。 こんなこといいな、出来たらいいな、あんな夢こんな夢、いっぱいあるけど〜♪ 僕が現場監督用カメラに求める要素はいくつかあるんですが、中でもいちばん切望するのが 「完成写真撮影機能」 。 工事の世界では “着工前” と “完成” の現場の様子を撮影して、2枚並べて対比させる 「完成写真」 というのを提出させられることが多々あるんですが、 “着工前” と同じアングルで “完成” を撮ってやらないと、完成度の低い完成写真として、完成検査の検査員の心象が悪くなっちゃうんですよね。 そこで僕はよく “着工前” の写真をプリントアウトした紙を手に持って構図やアングルのチェックをするんですが、その作業をカメラ内で完結させることが出来れば、どんなに楽になることか。 具体的に言うと “着工前” の写真をすぐ呼び出せるよう所定のフォルダにコピーするなどしておいて、で、カメラの横長のディスプレイの左半分にそいつを表示させると。 で、画面の右半分には普通の撮影画面が表示されて、左側と見比べながら構図を決めると。 完璧やんっ! スマホのアプリなら、何かそんなのがあってもよさそうな気がするんですが、どうなんっすかね? と思って、調べてみました。 『定点写真』 。 おおっ、よさそうなのがあるやんっ♪

 (前略) 「定点写真」 は (中略) 以前と同じ構図で撮影できるオーバーレイ機能を使って (後略) 。 ほほぉ。 僕の考えていた左右比較方式ではなく、ひとつの画面に重ね合わせる感じで表示されるんですが、試しに使ってみたら、こっちのほうが完璧やんっ! これこれ。 こういうのを探していたんだって!! 求めていたものがあまりにも簡単に見つかってしまって、ネタにもならないんですが、おかげで、どうでもいい画面研磨の話で無駄に行数を稼ぐ羽目になってしまったんですが、と思ったら、このアプリには致命的な欠点があることが判明しました。 どうやらこれ、写真サイズが640×480でしか撮れないみたいなんですよね。 お散歩記録とか、そういうどうでもいい写真ならそれで十分なんでしょうが、工事写真用としてはあまりにも低スペック。 惜しいんですけどねぇ。。。 で、他を当たってみた結果、 『定点カメラ』 というのを発見しました。 似たような名前だけに、機能的にも似たようなもの。 が、こちらは2048×1536とか、大きなサイズまで大丈夫。 やりぃ♪ ただこれ、coolpixとは今ひとつ相性がよろしくないようで、何か操作をしようとする度、ジーコ、ジーコ、ジーコと3回くらいレンズが出たり戻ったりして、すぐに本体が壊れちゃいそうで、何か嫌。 おまけに使い勝手も、何か面倒。 その他、似たような機能のアプリがいくつかあったんですが、画像を保存出来なくて、メールで送信するしか手立てがなかったり、coolpixだとアスペクト比が崩れて変になっちゃたりと、微妙なところで使えない奴らばかりでありました。 結構いい線までは行ってたんですが、うーん、無念。。。

 その他、 『黒板付カメラ』 なんてのもあって、現場監督員は思わず狂喜乱舞しそうになったんですが、これまた使い勝手は今ひとつ。 似たようなのなら、まだ 『SiteShot!』 のほうがいいかもー? 980円と、ちょっとお高いんですが、黒板の位置や大きさや項目もカスタマイズ出来るし、外部カメラが使えるので、coolpixの性能をフルに発揮することが出来ます。 いちいち黒板に書く文字を入力するのがクソ面倒なんですが、黒板が使えない場面でメモ書きを入れたい時とかには使えるかも? で、一方、完成写真撮影機能については諦めモードだったんですが、意外なアプリが僕の目的に叶っていることが判明しました。 『聖地巡礼!! あのしーんカメラ』 ♪ あのシーンと同じ構図で写真を撮ろう! このアプリは 「アニメ」 や 「ドラマ」 などのワンシーンと同じ構図で写真が撮れるアプリです。 何、このオタ向けアプリ? 僕の人生において、まったく何の関わりもなさそうな気がするんですが、好きなシーンや、気になるシーンを用意して読み込む事でカメラプレビューにそのシーンをオーバーレイして表示します。 ん? もしかして、それって!? で、試しに入れて使ってみたら、まさに僕の意図していたものにジャストフィット♪ オーバーレイさせたい裏画像はこのアプリで撮ったものじゃなくても大丈夫だし、表示の濃さも任意に調整出来るし、大きなサイズで撮影も出来るし、完璧やんっ! まさか “聖地巡礼” が現場監督の役に立つとは思いもよりませんでしたが、もしかしたら “聖水プレイ” とかも仕事で何か役に立つことがあるかも知れないので、また試してみることにして、とまあそんなことで、今日は以上です。

 とまあそんなことで、今日はソニー・クラークっす。 本コーナー設立の趣旨は 「JAZZ名盤ガイド」 の類とか、他人様のほ→むぺ→じとかで取り上げられるような有名盤ではなくて、素人にはあまり知られてないんだけど、内容的には悪くない。 そういった類のアレを紹介しよう。 そういうところにあったりしたんですが、さすがに連載1,000回を超えると、ネタが枯渇しちゃいました。 よって今回は 「JAZZ名盤ガイド」 の類とか、他人様のほ→むぺ→じとかで必ず取り上げられる超有名盤で何とかしなければならんのですが、とまあそんなことで、 『ソニー・クラーク・トリオ』 。 この超シンプルなタイトルの作品は2種類あって、どちらかというとタイム盤のほうが玄人っぽい。 そんな印象があったので、本コーナーでも既に取り上げられております。 これ っすな。 すまた町(仮名)第1水源地管理棟新築工事・杭の位置がずれた問題。懐かしいっすなー。 今では、すまた町も市町村合併で大垣市の一員ということになっているんですが、周辺自治体との不仲が祟って、反対方向の旧・上石津町を含めてダブル飛び地になっちゃってます。 ここ に無駄に詳しい一夜城レポがあるので、暇な人は読んで貰うとして、で、もう一方のブルーノート盤のほうはというと、スタンダードとバップ曲ばかりを演奏しているので、どちらかというと初心者向けのイメージが。 僕もまだ超ド素人だった頃に買った記憶があるんですが、マンハッタン・ジャズ・クインテット(笑)とコンピ物を除いたガイジン系ジャズのアルバムとしては、恐らくウイントン・ケリーの 『ケリー・ブルー』 の次くらいに聞いたのではなかったかと。 「朝日のように爽やかに」 がお気に入りで、それが入っている奴を集めていたんですよね。 結果、 「朝さわ」 に関しては大満足だったものの、それ以外に関してはあまりいい印象がなかったりします。 それもこれもみんな、東芝EMIが悪いっ! そう言わずにはいられませんが、僕の持ってたCDには別テイクが3つ入っていたんですよね。 いちばん最後にオマケで付いているだけならさして害もないんですが、同じ曲を2つ並べてあります。 しかもご丁寧に、オリジナル盤の曲順を無視して録音順に並べ替えてあるという、超マニア向け@大きなお世話仕様。 1曲目が 「時さえ忘れて」 (別テイク) って、何やねん!? お蔭でこの曲に関してはオマケのほうが耳に馴染んじゃったんですが、ジャズに対する探究心が完全に裏目に出ちゃった感じでありますな。 余計なこと、すな!!

 ということで、今回はオリジナルに乗っ取って話を進めたいと思うんですが、1曲目はディジー・ガレスピーのオリジナル、 「ビ・バップ」 。 アップ・テンポで超テンションの高いコイツが冒頭に出てくると、アルバムの雰囲気も随分と変わりますな。 そういう点も踏まえて曲順を決めているワケなので、それを勝手に変えちゃうなんて、プロデューサに対する冒涜としか思えないんですが、ライオンくんに謝れー! そういえば最近、さよなライオンをとんと見掛けなくなったような気がするんですが、真面目にやってるんですかね? すっかりグレて、 「俺、ライオンやめて、伊藤リオン容疑者になるぜ!」 とか、ワケの分からんことを言ってるんじゃないかと心配でならないんですが、それはそうと、この演奏はですね、長いっす。 9分53秒というのはピアノ・トリオとしては異例と言っていいと思うんですが、ガレスピーのオリジナルに準ずるイントロに続いて、メロディの主旋律をちょっと変えた形で弾いて、そして、とてつもないアドリブのマラソンに一気に飛び込む。 原文ライナーに書かれたレナード・フェザーくんのレビューを要約すると、概ねそういう事になろうかと。 手癖とも言えるお馴染みのフレーズが頻発するんですが、隣の家に干してあるパンツを盗むような手癖の悪さを感じさせるものではないので、ま、いいかと。 手癖というのはその人の個性のようなものなので、ま、歯糞よりはマシだと思って、受け入れるしかありません。 延々と続くピアノ・ソロは最後まで緊張の糸が切れることなく、フィリー・ジョーの暴走スレスレのドラミングも壮絶で、終盤にポール・チェンバースのアルコ・ソロが出てくるのはちょっとアレなんですが、ま、我慢出来ない範囲では無いしー。 で、最後、タイコのソロが短くフィーチャーされて、テーマに戻って、おしまい。 やはりアルバムの冒頭は、こういう 「勢いだけ」 みたいなヤツじゃないと駄目っすなー。

 ということで、次。  「アイ・ディドント・ノウ・ホワット・タイム・イット・ワズ」 。 僕の持ってるCDだと最初に出て来る、日本名 「時さえ忘れて」 でありますな。 ロジャース=ハートの作品なんですが、クラークはこいつをミディアム・ファストでブルージーに料理しています。 「ずっと好きな曲だったんです」 とソニーはいう。 「いつかレコーディングしたいと思っていました」 。 そう本人が語っているようですが、何だかえらく丁寧な口調ですな。 僕の頭の中では、映画 『三丁目の夕日』 の淳之介の声で脳内再生されたんですが、いつかレコーディングしたいと思っていたんだ。 普通はそんな感じで喋りますよね、ジャズマン。 (訳/古野徹) の中でクラークはどうやら 「いい子キャラ」 として認識されているようなんですが、それはそうとこれ、改めて聞き直してみると、さほど悪くはない出来だったりしますよねー。 が、アドリブの何たるかをまったく理解していないド素人の段階で、同じ曲を2回続けて聞かされた苦痛をそう簡単に忘れることは出来なくて、今ひとつ素直に楽しむことが出来ない自分がいたりします。 別テイクに馴染んでしまった身としては、本テイクのアドリブの展開がちょっと新鮮だったりもするんですが、どちらのほうが出来がいいかと言われると、仮面ライダー1号と2号、どっちのほうがカッコいい? そう聞かれるのと同じくらい難しいものがあるんですが、個人的にはV3派だったりするしー。

 ということで、次。 ガレスピーとジョン・ルイスの共作らしい 「トゥー・ベース・ヒット」 。 やきう用語っぽいんですが、楽器のベースとも掛けてあるっぽいっすな。 タイトルに関わらず、ソニーは今回、この曲をポールよりむしろフィリー・ジョーのショーケースに仕立てている。 レナード・フェザーくんはそんな解説を加えております。 クラークとかチェンバースとか言って貰わないと日本人にはピンと来ないんですが、アメリカでは名前で呼ぶのが普通なんすかね? ま、確かに金正男は名前でちゃんと 「まさお」 と呼んであげないと、ぜんぜん雰囲気が出ませんからね。 で、演奏のほうはというと、派手、派手派手、とにかく、ど派手。 クソ喧しいのと紙一重なフィリー・ジョーのタイコとの絡みがなかなか壮絶だったりするんですが、これほど元気でご陽気なソニー・クラークというのも、ちょっと珍しいかも知れません。 ちなみに僕の持ってるCDだと、本テイク → 別テイクの順で2回も聞くことが出来て、もうお腹一杯なんですが、take-1が3分44秒、take-2が4分02秒で、後のほうがちょっぴり長くなっています。 で、採用されたのは最初のほう。 今ひとつ納得がいかなかったのでもう1回演ってみたんだけど、やっぱり、さっきのほうがよかった。 そのように判断された模様です。 聞き比べてみると、確かに最初のほうがよかったような? 集中力が薄れて来たんですかね? 僕もそろそろヤル気が枯渇しかけていたりするんですが、枯渇が木を切る〜、ヘイヘイホ〜♪

 ということで、こっからB面。 こちらのほうは最初に余計な別テイクがひとつ入るだけで、基本的にオリジナルと曲順が同じなので、わりと素直な気持ちで楽しめるんですが、まずは 「タッズ・ディライト」 。 勃起時不能論でお馴染み、タッド・ダメロンの作品です。 股間が枯渇しちゃうと、駄目論。 そういう認識でいいかと思うんですが、これはアレですな。 先ほどの 「2塁打」 ほど派手派手ではないものの、雰囲気としては似たような感じで、そんなところも当時、まだ素人だった僕には今ひとつ受けがよくなかった要因なのではなかろうかと。 基本、ビ・バップがそんなに好きではないですからね。 パンピーは好きだったんですけど。 美味しいっすよね、風呂上がりのパンピーオレンジ。 ということで、次。  「ソフトリー・アズ・イン・ア・モーニング・サンライズ」 。 僕のお目当て、 「朝日のように爽やかに」 っすな。 朝日新聞がちっとも爽やかではない新聞だという事実につい最近になって気付いたんですが、ま、昔から 「サンゴ汚したK・Yってだれだ」 とか、酷いやらせをやってたんですけどね。 サバ兄は 「フジ三太郎」 を高く評価していたようですが、今から思えば聖教新聞の 「バリバリ君」 よりはマシ。 その程度のレベルだったような気もします。 隣の家の電気屋が学会員だったので、義理で購読させられていたんですよね、聖教新聞。 そのうちに引っ越していったので、バリバリ君とおさらばすることが出来たんですが、後にこの空き家から火が出て、僕の家も全焼しちゃいました。 何て霊験あらたか! ま、聖教新聞をヤメちゃったので、罰が当たったということなのかも知れませんが、で、それはそうと、演奏のほうはアレです。完璧です。 ここまで今ひとつ翳りの無い、あまり日本人好みではないクラークの一面が前面に押し出されていたんですが、ここに来て、後ろ髪を引かれるようなタッチ、ばりばり解禁。 おねがい、タッチ、タッチ、ここにタッチ、あなたから〜、タッチ♪ (AA略) 詳しくは、ま、雲りんが書いているので ここ を見て貰うとして、何でもいいけど雲くん、“大きなお世話な曲順”について何も触れてないところをみると、特に不満は無いんですかね? タイム盤よりもブルーノート盤のほうが後ろ髪を引かれるという見解も、僕とはちょっと意見が違ったりするようですが、落ち着いたテンポながらも、少しずつ熱を帯びてくる様が素晴らしい。曲の途中で倍テンポになるところ、そして元に戻るところが、静かにスリリングだ。 この点に関しては完全に同意。超同意。 ソニ・クラの 「朝さわ」 は、倍テンポになる瞬間が極意。 そのように極言していいと思うんですが、フィリー・ジョーとの息もぴったりで、個人的には 「ケリー・ブルー」 よりも、こっちのほうが好きかも? ちなみにフィリーがダブル・テンポを刻むくだりは、 「僕のプレイに思わず彼が反応したんだ」 とソニーは言う。 そういうことみたいなんですが、こういうのを 「阿吽の呼吸」 と言うんでしょうな。 ジャズの即興性が生んだ奇跡。 そのように言っていいかも知れません。

 ということで、ラストっす。  「アイル・リメンバー・エイプリル」 。 日本名 「四月の思い出」 っすな。 アップ・テンポ兼ラテンのノリで、派手派手に演るのが定番なんですが、 「誰もが普通、この曲をとても速く弾くんだ」 とソニーは不満げである。 「とっても愛らしい曲で、もとはバラッドなのにね。」  何でもいいけど、微妙にキャラが変わってやしないか、(訳/古野徹)? そんな気がしないでもないんですが、 「誰もが普通、この曲をとても速く弾くんです。」  こうでないと、淳之介っぽくないです。 ま、いずれにしろ、クラークくんはこの曲を意表をついた無伴奏ソロのバラードで演奏しているんですが、このラスト2曲の流れが、いいっ♪ とっても、いいっ♪ 凄く、いいっ♪ とまあ、そんなことでまあ、以上っす。

【総合評価】 改めて聞き直してみると、悪くないっすな、これ。 無論、別テイクは無視して、オリジナルの曲順で聞くという条件が付くんですが、東芝EMIが余計なことをしなければ、もっと前から好きになれたかも知れないのにぃ。 で、素人にも分かりやすい 「朝さわ」 と 「四思い」 以外の曲は、どちらかというとプロ向けだったりするんじゃないか? そんな新たな発見があったりして、藤原新も納得♪ いや、アラタくんのロンドン五輪での走りっぷりはまったく納得のいくものではなかったんですが、改めて 「新(あらた)」 って、ちょっと変な名前でありますなぁ。 そんな気がしてならない、とある初秋の1日なのでありました。


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