THE STYLINGS OF SILVER (BLUE NOTE)

HORACE SILVER (1957/5/8)

THE STYLINGS OF SILVER


【パーソネル】

ART FARMER (tp) HANK MOBLEY (ts)
HORACE SILVER (p) TEDDY KOTICK (b) LOUIS HAYES (ds)
【収録曲】

(01-03) NO SMOKIN' / THE BACK BEAT / SOULVILLE
(04-06) HOME COOKIN' / METAMORPHOSIS / MY ONE AND ONLY LOVE
【解説】 ( 2012年09月30日更新 / 連載 1,048回 )

 android搭載デジカメを買いました。 これ っす。 こんなもん誰が買うんや? そう、疑問に感じた人も少なくないかと思うんですが、僕が買いました。 スマホのカメラに何の不満も疑問もない人にとっては 「超いらない子」 なんでしょうが、現場監督心を激しく擽るものがあったんですよね。 何でもいいけど無駄に難しい漢字ですなぁ、擽 (くすぐ) る。 漢字テストで 「しんきょうくすぐるじちく」 とか出題されたりしたら、まずお手上げですよね。 ま、新疆にそんな自治区はないので出題される心配はないんですが、それ以前の問題として 「疆」 なんて、字もまず書けなかったりするんですけど。 とまあそれはそうと現場監督なんですが、この職種はですね、その業務の80%くらいが字を書くことに費やされる。そう言ってしまっていいかも知れません。 工事黒板に字を書いて、写真を撮る。 ほぼ、それで1日が過ぎてしまいます。 漢字が思い出せなくて5分ほど無駄に過ぎちゃうこともよくあります。 前の携帯電話には辞書が搭載されていたのでそれで何とかなったんですが、機種変更したらそれが無くなってしまって、けっこう不便。 で、携帯電話は電卓機能もよく利用するんですが、ぶっちゃけ、使い勝手はあまりよくありませんよね。 かといって電卓を持ち歩くというのもけっこう邪魔くさいし、工事用ファイルとかもけっこう嵩張るし、この 「かさばる」 という漢字ですら、いざという時にちゃんと書ける自信はまったくなかったりするし、何かいい手はないものですかねぇ。。。

 と、そんな現場監督の悩みをかなえてくれる魔法のアイテムがスマートフォンなんですが、これさえあれば工事資料もPDFにして簡単に持ち運べるし、辞書や電卓だって好きなアプリを選べるし、おまけに電話だって出来ちゃいます。スマホとカメラさえあれば、何とか生きていけそうですよね。 スマホさえあれば、カメラもいらなくね? そう思われるかも知れませんが、いくらスマホのカメラの性能が向上したとは言え、まだまだ工事写真を撮るには力不足な気がして、どちらも手放せません。 どちらも手放せないんですが、両方持って現場に行くのはけっこう邪魔だったりするので、スマホは手放さざるを得ないんですが、手放さないと手鼻もかめなかったりするしー。冬場の現場はクソ寒くて、鼻が垂れたりしますからねー。 カメラだけは手放せない…というか、首放せないので、首からぶら下げて業務に励んでいる毎日でありますが、さて、そこで登場、android搭載デジカメ。 これさえ首からぶら下げておけば、工事写真の撮影だって、書類の閲覧だって、漢字だって、計算だって、読書だって、なめこの栽培だって、1台だけで何だってOK♪ ぶっちゃけ、監督業務って、暇で暇でどうしようもない時があったりするんですよね。 塗装屋が一生懸命にペンキを塗ってる様子を監督する業務だとか、左官屋がお盛んにモルタルを塗ってる様子を監督する業務だとか。 一生懸命だったり、お盛んだったりするわりには、見た目的にあまり作業が進まなくて、工事写真も1時間に2枚くらいしか撮りようがなかったりするんですよね。 手伝おうにも素人が手をだせる分野でもないし、ただ、ぼーっとコトの成り行きを見守るしかありません。 いやあ、暇っすなぁ。。。 かといってスマホで読書に励んだりするというのも、あからさまにサボっているのが丸分かりで、気がひけるので今まで自重していたんですが、もう大丈夫。 カメラの画面をじっくり眺めていたところで、現場写真の出来栄えを隅々までチェックしている、めっちゃ仕事熱心な監督さん。 そうとしか思えないに違いなくて、尊敬されることはあっても、職人の勤労意欲を削ぐような事態にはならないのではなかろうかと。 これはもう、買うしかありませんな。 仕事中に本を読みたいから、このデジカメ、買って♪ …と会社に申請したところで、即座に却下されちゃうに違いないので自腹で何とかしなければなりませんが、8月は休日出勤とか残業とかを頑張ったおかげで給料をけっこうたくさん貰えたので、41,500円 (税込) くらい、いいやぁ♪

 ということで、届きました。 見た目、普通のデジカメっすな。首からぶら下げてもさほど邪魔にはならなくて、いい感じです。 ぶっちゃけ、カメラとしては月並みなコンデジといった感じで、絞り優先AEとか、シャッタースピード優先AEとか、マニュアル露出とか、RAW撮影とか、そういうのは一切なくて、ちょっぴり物足りないんですが、遊びに行く時の一眼レフのサブカメラとしては力不足でありますな。 仕事専用だと割り切るしかないんですが、それならそれで防水とか防塵といった機能がないので、ちょっぴり心許なかったりするしー。 android搭載デジカメって、現場監督にこそ必須なアイテムだと思うんですが、この機種の場合、あくまでも、カンタン&快適なタッチ操作でスマートフォンのように、直接 Google+や Facebook、Twitter などに高画質な写真や動画をアップロードできます。そういうお洒落なユーザーをターゲットにしているみたいですからね。 現場の意見など、超蚊帳の外っすなー。 ま、そういうニーズはそのうちにカシオとかリコーあたりが何とかしてくれるのに期待するとして。 で、android端末のほうの機能としても、ごく普通の “一世代前の電話の出来ないスマホ” といった感じ。 3.5型モニターというのはちょっと小さいような気もするんですが、カメラとしての手頃感からすると、ま、適当なところではなかろうかと。 PDFファイルもわりとサクサク、さほどストレスを感じることなく閲覧することが出来ます。 写真を撮ろうとするとレンズがウィーンと飛び出して、アンドロ機能を使おうとするとレンズがウィーンと引っ込んで、元気で活発ですが、少し落ち着きがありません。 そう、通知表に書かれそうなキャラだったりします。 何だかすぐに壊れちゃいそうな嫌な予感がしますなぁ。 普通のスマホのカメラとの差別化を図るためなのか、35o判換算で25-250oという高倍率ズームを搭載しているんですが、倍率はそこそこでも、レンズがウィーンと飛び出さないタイプのほうが使い勝手はよかったかも?

 アンドロ機としては Wi-Fi環境が無ければ何ともならん感じですが、それさえあれば自由にアプリをインスコ出来るので、拡張性は高いです。 文字入力も可能なんですが、画面が小さいので QWERTYキーボードでの入力は至難の業。 携帯電話のボタンっぽい 12キーボードなら何とかなるんですが、フリック入力ではなくて、携帯電話入力方式なんですな。 例えば 「お」 と入力しようと思ったら、 「あ」 のところを5回クリックしなければなりません。 フリックに慣れちゃった身としては “今さら感” が半端ないんですが、こりゃ ATOK for Andriod を入れたほうがよさそうですなぁ。 僕の場合、他のスマホにも導入しているのでタダで済むんですが、初期投資を余儀なくされるとなると、1,500円というのはちょっと痛いっすなー。 で、読書アプリとしては kinoppy が普通に動きました。 これでもう、ペンキ屋でも左官屋でも、怖いもの無しっ! これだけで個人的にはコイツを買った意義があったと言えますが、で、電卓はプリインストールされていた奴があまりにも地味だったので、 シェイクCalcの - ポケット電卓 というのを導入。 完全にきちんとひねりを加えた電卓を特色にした。それはあなたの携帯電話を振るときに計算されます。 ほぉ。 試しにひねったり振ったりしてみたところ、別に何も起こらなかったんですが、普通に画面にタッチすれば計算出来るみたいなので、特に問題はありません。 画面を切り替えると簡単な関数も使えるようになるんですが、ボタンが大きくて押しやすいところがいいです。 “π” もあるので、パイプの外周から直径を逆算する時とかにも便利そうですな。 メジャーで外周をざっと測って471oだったら、 直径=451÷π≒150 っすよね? ゆとりなら 「3で割る」 でいいんでしょうが、シェイクくんはきちんと勉強したみたいで、π=3.141592653589 で計算してくれます。 で、 単位換算 - ConvertPad というのも入れてみました。 是一款支援一个位到多个位的非常用的小工具哦! 無料のやつと 209円のやつがあるんですが、めっちゃ金持ちな僕は迷わず有料版を買いました。 “Plus” と書いてあるので、209円分だけ何か機能が追加されているんでしょうな。 僕の場合、 kg/cm2 と MPa の変換とか、インチとセンチの変換とか、1m3って、何リットルだっけ? …とか、その程度の換算しか必要としないので、無料バージョンで十分だったような気もするんですが、そこはまあ、金持ちの道楽という奴でして。

 で、道楽ついでに 明鏡国語辞典 も買ってみました。 分からない漢字を調べるだけならメモ帳と内蔵辞書で何とかなるような気もするんですが、1,200円も払えば新疆ウイグル自治区だって、バンバンだぜっ! …と思ったら、そんな単語はどこにも収録されていませんでした。ああん。。。 やっぱり 「広辞苑第六版」 (8,500円) とかじゃないとダメなんですかね? 今後、 「新疆ウイグル排水機場ポンプ修繕工事」 とかの仕事が出ないことを祈るしかありませんが、何だか悔しいので、こうなったらもう、 KINGSOFT Office for Androidも買ってやるぅ! 自棄を起こして2,980円の有料版をポチってしまったんですが、何だかこれ、ファイルの編集がぜんぜん出来ないような? パソコンで作った Excelファイルの閲覧はぜんぜん大丈夫なんですけどね。 こんな入力しにくいデジカメで編集なんかしたくないから、見るだけでいいっ! 別に悔しくなんかないっ! ま、それなら無料版でよかったような気もするんですが、もうひとつのスマホのほうでは普通に使えたので、まったく問題はありません。 QWERTYキーボード付きの機種でもまったく使う気にはならないような使い心地だったりするんですが、いざとなったら使えないこともない。その事実が大切だったりするんですよね。 核兵器を所有することによる抑止力の行使みたいなもので。 で、このデジカメを効率よく行使するのに欠かせないアプリがあったりするんですが、 Task Switcher というのがソレです。 このデジカメでは写真撮影も androidのアプリのひとつとして動作しているんですが、その背後で他のアプリを動かしている場合、コイツが無いと何かと不便だったりします。 が、コイツがあればホームボタンを押すことによって動いているアプリを切り替えることが出来るので、何だかとっても便利♪ 言葉で説明するのは難しいんですが、騙されたとおもってとにかく使ってみて下さい。 騙されたところで無料 (ただ) だから、特に実害はないしー。 ただ、無料 (ただ) なので広告が出てきちゃうのがちょっとアレなんですが、ユーザーレビューを見ると、設定画面のエロい広告はどうにかしてほしいですね。そんな感想が書かれておりますな。 デフォルトでも特に問題はなかったので、インストールしてそのまま使っていたんですが、何故だか猛烈に設定を変えたくなってきちゃいました。 で、試しにやってみたら何も出てこなくてガックリだったんですが、あ、ちゃんと Wi-Fiに接続した状態でやらないと駄目なんすかね? で、やってみたら、おおっ、出た出た♪ 広告が出て来て嬉しいなんて、生まれて初めての経験なんですが、ただそれがちっともエロくはなかったりしたので、再び、ガックシ。 ああん。。。 こうなったらもう、自力でエロいアプリを入れてやるぅ!!

 ということで、入れてみました。 あまり人前で大きな声では言えないので、小さなフォントで、 これ 。 これで仕事中にこっそり “おさわり&なめなめ” して楽しめるねっ♪ …と思ったら、何だかうまく動作しないような?駄目じゃん! 何だ悔しいので、こうなったもう ばってり子 を入れてやるぅ! androidは電池食いで有名なんですが、こいつの場合はさらに本格的なデジカメまで付いちゃっているので、まさに鬼に金棒。みるみるうちに電池が消耗して、何だか切なくなっちゃうんですが、でも、ばってり子たんがいれば大丈夫♪ 電池が減るにつれでスカートがどんどん短くなって、そのうちに・・・。 電池、減れっ! どんどん減れっ! すぐにでも減れっ!! 意味もなく無駄に Wi-Fiとか、GPSとか、bluetoothとか使いまくって、で、ペンキ屋が一生懸命頑張って1時間ほどかけてようやく上塗りが完成して、いざ写真を撮ろうと思ったら、電池切れ。 監督、しっかりしろっ!! 結果、職人の勤労意欲を削ぐような結果に終わる気がしないでもないんですが、とりあえず来週からの監督業務、元気に頑張りまっす♪

 とまあそんなことで、今日はホレス・シルバーっす。 androidにはカメラアプリとか、仕事に使えそうなヤツとかもありそうなので、それを検証しようと思っていたら、どうでもいい話で1回分が潰れてしまって何よりなんですが、ま、続きはまたいずれ暇をみて書くとして。 で、今日は 『ザ・スタイリングス・オブ・シルバー』 というアルバムを取り上げてみたいと思います。 どっかの国旗がはためく国連ビルの前だかでポーズを決めるスタイリッシュなシルバーくん。 いいジャケットっすよね。 ラズウェル細木の漫画のネタにもなってましたよね。 ニューヨークを訪れたラズウェルが有名なジャケットの真似をして記念写真を撮るという奴。 桑名にいながら、画像の合成で有名な観光地に行ったような写真が撮れるアプリとか、探せばありそうな気もするんですが、あとはCDのジャケットを撮影すると手書きのイラスト風に変換してくれるヤツとか。 で、探してみたらやっぱりありました。 Cartoon Camera 。加藤くんも大満足のカートゥーン・カメラっすかぁ。 早速ダウンロードして、試してみました。


THE STYLINGS OF SILVER(加藤くん@その1)♪ THE STYLINGS OF SILVER(加藤くん@その2)♪


 おお、なかなかいい感じ? いくつかエフェクトを選べるんですが、後から加工するのではなく、撮ってる最中からリアルタイムで加藤くんなのが、けっこう斬新です。 今後、ジャケ絵がこれで許されるのであれば、僕としては現場監督と同じくらい仕事で楽するこが出来るんですが、そんな手抜きは許されないっすよね? 自分としても何かちょっと嫌だしー。 今後とも絵に関してはそれなりに頑張るとして、で、その代わりに後半のレビューはそれなりに手を抜くとして、で、ホレス・シルバー・カルテットと言えば、ブルー・ミッチェルとジュニア・クックのいた頃がひとつの完成形だったりしますよね。 で、本作はそれに先立つ過渡期の作品で、過渡期とか、加ト吉とかが好きな人以外からは軽く見られがちなんですが、フロント陣はアート・ファーマーハンク・モブレイ。 そういう面子だったりします。 ファンキーというより、ハード・バピッシュと言ったほうがいい仕上がりになっているんじゃないか? そんな気がしてならないんですが、とまあそんなことで、1曲目。 シルバーのオリジナルで、 「ノー・スモーキン」 。 最終曲を除いてすべて自作となっているんですが、この人の場合、作曲と演奏とで、合わせて一本。 そういう立ち位置だったりしますからね。 で、この 「熱く演らない」 はアレです。誰もがリラックスできるような、アップ・テンポのマイナーの曲です。 原文ライナーの日本語訳でシルバー本人がそのように語っているので、まず間違いないんですが、 「 “smoke” は俗語で熱く演るという意味だからね。そういうことさ。 」 そんな事も語っておりますな。 果たして本当にそんな口調で語ったのかどうかはサダカではないんですが、敢えてそこに “no” を付けるところが何ともイカしてますよね。 で、日本語ライナーを書いた上條直之クンによると、ブルースではないが8+8+8小節の計24小節からなるナンバー。 そういうアレなんだそうです。 1たす2たす1たす2たすサンバルカンと違って、計算は合ってますな。 ま、あれも1+2+1+2=3だと言ってるわけではないので、別に間違っているとも言えなかったりするんですが、で、これがまた、アップ・テンポのマイナー曲で、なかなかいい仕上がりだったりしております。 2管のユニゾンでテーマが演奏された後、ソロ・パートはいきなりピアノから始まるんですが、のっけからシルバー節バリバリ全開で、鰹節チップスの 「がんばれ!!バリ勝男クン」 みたいな世界が展開されております。 で、短い合奏パートを挟んで、ソロ2番手はモブレイ。 この人の垢抜けない “もっさり感” は都会派のアーバンな人達の嘲笑の的だったりするんですが、桑名生まれの僕からしても、やっぱりダサく聞こえちゃいますな。 ま、桑名は都会だから当然なんですが、彼は彼なりに頑張っているような気がしないでもないので、あまりモブレイに無礼な事は言わないようにして…と。 で、再び短い合奏パートを挟んでトランペットが登場するんですが、ファーマーの農民離れした生きのいい吹きっぷりは大いに評価していいのではなかろうかと。 で、最後、ルイス・ヘイズのドラム・ソロで適度に盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 のっけから大いにスモーキンで、相撲キングに昇進した日馬富士も大満足。

 ということで、次。  「ザ・バック・ビート」 。 タイトルは 「ザ・背後砂糖大根」 っすかね? サトウキビが 「ざわわ、ざわわ♪」 でブレイクしたのに対して、砂糖大根のほうは今ひとつ地味なんですが、ドイツ人に頼んで 「ザワぁー、ザワーぁ♪」 という歌でも作って貰いますかね? 砂糖大根なのに酸っぱいって、意味不明もいいところなんですが、で、この曲はアレです。 16小節が2つと8小節のブリッジ、そして8小節のエンディングという構成にホレスが初めて挑戦したものなんだそうです。 と言っても別に小難しいことはなくて、ミディアム・テンポのソウルフルな仕上がりだったりするんですが、2管のハモリによるテーマ部に続いて、モブレイのソロが登場します。 この人の場合、これくらいのテンポだとダサさがむしろ 「味」 になって、筵 (むしろ) のような素朴さが感じられて、悪くないです。 で、以下、ファーマー、シルバーと良好なソロが続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 この時点で早くも手抜きモードばりばり全開なんですが、今日は台風も近付いてますしね。 もしかしたら夜になって呼び出されるかも知れないし、ま、その場合は適当にゴネて、明日の朝に顔を出すという方向で妥協させて貰うとして。 ま、いずれにしろ、停電でパソコンが使えなくなる可能性もあるので早めに片付けておくに越したことはないんですが、ということで、3曲目。  「ソウルヴィル」 。 マイナー・ブルースの12小節の2つのフレーズのあと、通常のBフラット7のブリッジが入り、また12小節のマイナー・ブルースにもどるという曲なんだそうです。 この種のブルースをホレスが書くのは初めてなんだそうですが、このアルバムではわりと実験的なことをやったりしてるみたいですな。 と言っても別に小難しいことはなくて、ミディアム・テンポのソウルフルな仕上がりだったりするんですが、曲が進むにつれて、どんどんアーシー色が強くなってきますな。 盗撮好きの僕はアーシーよりも断然、マーシー派なので、これはあまりよろしくない傾向だったりするんですが、テーマの後、モブレイのもっさい感じのソロが出てきて、で、以下、トランペット、ピアノの順で、わりと小マシなソロが展開されることになります。 特にシルバーは冒頭、どこかで聞いたことがあるようなフレーズを引用したりして、寛いだ中にもキラッと光るものがあったりして、悪くないです。 で、終盤近くに第2テーマみたいな合奏パートが出てくるところもいかにもこの人らしくて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 始まった当初のあまりよろしくない印象が途中からすっきり払拭されて、トータルとしては、よかった。 そのように評価していいのではなかろうかと。

 ということで、次。  「ホーム・クッキン」 。 これも泥臭い曲だ。アーシーな、という意味でね。 原文ライナーの日本語訳でシルバー本人がそう語っているように、もっさい路線、ここに極まり。 そんな感じがします。 僕がシルバーにまだ素人だった頃に買ったベスト盤のCDは、このアルバムからはこの1曲が選ばれていて、結果的に僕に悪い印象を与えることになってしまったんですが、シルバーにそこそこ中堅になった今の時点で聞いても、やっぱりあまり好きにはなれませんな。 いくらなんでも泥臭過ぎぃ。 物事には節度というのがありますからね。 よく聞くと、なかなか凝った造りになっていて、シルバーの意欲が窺えたりもするんですが、好き嫌いというのは理屈ではありませんからね。 で、演奏のほうはというと、テーマに続いてモブレイが出てきて、以下、ファーマー、シルバーの順でソロが繰り広げられるという、このところお馴染みのパターンだったりします。でもって、テーマに戻って、おしまい。 で、続いては 「メタモルフォーシス」 っすか。 何だか小難しいタイトルを付けてくれましたなぁ。 「変態」 という意味でしたかね? 盗撮とか、覗きとか、田代まさしとか、そっちの方面ではなくて、芋虫がサナギマンを経てチョウチョに変身したりするほうの変態。 タイトルの通り、けっこう変態的な構成だったりするんですが、メロディそのものは親しみやすくて、特にサビの部分のファンキーっぽさが、もう、たまらんっ(ち会長、とか言わない。) そんなアレだったりします。 ソロ先発がファーマーだったりするのも、ちょっぴり新鮮。 で、以下、モブレー、シルバーと各自のソロが続いて、で、最後に第2テーマみたいなのが出来て、本テーマに戻って、おしまい。 アーシー路線の泥沼から這い上がってきた感じで、よかったと思います。 で、アルバムの最後を飾るのはスタンダード・ナンバーの 「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ」 。 この曲を選んだ理由について、彼はただこう言う。 「美しい曲だし、好きだから。ホーンが合奏でイントロを吹く。そのあとピアノがオクターブでメロディを弾き、その裏でホーン陣はちょっとした音形を吹いている。そしてブリッジには自分で行くんだ。ブリッジの最後のほうでホーンが戻ってくる。ソロは、アートとハンクと自分がやる。最後の8小節をやり、ブリッジをやって、みんながもどってくる。イントロのパターンをやって、終わりだ。」 何というか、この本人談がすべてを語っておりますな。僕が付け足すことなど、何もありません。 シルバーはバラードが弱いのが難点。 そんなことを言われたりもするんですが、この演奏に限って言えば絶妙なアレンジのおかげもあってか、完璧な出来である。 そう評価していいのではなかろうかと。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】 ファンキーというより、ハード・バピッシュと言ったほうがいい仕上がりになっているんじゃないか? そんな気がしてならなかったんですが、実際のところはファンキーというより、むしろソウル寄り。 そういう結果に終わりました。 特に中盤の泥沼の底感は好き嫌いが分かれるところでしょうが、最後で取り返してくれたので、トータルで言うと、よかった。 そう評価していいと思います。 ということで、今から頑張ってジャケ絵を書いて、夜に呼び出されないことを祈って、おしまい♪


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