KATANGA (PACIFIC JAZZ)

CURTIS AMY & DUPREE BOLTON (1963/2/3)

KATANGA


【パーソネル】

DUPREE BOLTON (tp) CURTIS AMY (ts,ss) RAY CRAWFORD (g)
JACK WILSON (p) VIC GASKIN (b) DOUG SIDES (ds)
【収録曲】

(01-03) KATANGA / LONELY WOMAN / NATIVE LAND
(04-06) AMYABLE / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS / A SHADE OF BROWN
【解説】 ( 2012年06月17日更新 / 連載 1,036回 )

 特に意味はないんだけど、無駄にちょっと贅沢をしてやるぅ! そんな衝動に駆られて、小さな旅に出ることにしました。 僕の年間お遊びプランによると、8月末の土曜日に熱海に泊まって花火を見て、翌日は箱根に移動して、ジャズの流れるレトロな宿にお泊まりして、月曜日は有給休暇を取って、仕事をサボってやるぅ! そういう方向ですっかり話が進んでいたんですが、何だか雲行きが怪しくなって来たんですよね。 8月末が後期末の工事の監督業務を請け負うことになって、そんな時期に休みを取ってる場合じゃねえ! そういう状況に陥るのがほぼ確実になってしまいました。 とりあえず箱根の宿はキャンセルすることにしたんですが、果たして土曜日にちゃんと休ませて貰えるのか、それすらちょっと危ういような気も…。 数日前、下請の土建屋のオッサンが工程表を出して来たんですが、毎週毎週、土曜日にもしっかり仕事をセッティングしてくれていたんですよね。 自分のところが週休二日制でないからって、その腹いせで、こっちまで巻き込むなって! 土建屋をどげんかせんといかん。 そんな思いに駆られずにはいられませんが、 「土曜日も仕事入るんすかぁ?」 と、遠回しに拒絶的な態度を取ってみたところで、 「当たり前じゃん。」 と言われて、それで終わりのような気がするし、となると、今のうちに遊んでおいたほうがよさそうな気がしますな。 工程表によると、来週の木曜日から現場に入ることになっていて、土曜日も何だかすっかりヤル気になっちゃってるみたいなので、こうなったらもう、今すぐにでもどこかに行ってやるぅ!

 そこで考えたのが、金曜日の午後から半休を取って、プチ旅行に行ってやるぅ! …というプランなんですが、金曜日の夜なら旅館も平日扱いなので、お値段がお値打ちだったり、お一人様でも受け入れてくれたりして、何かと好都合なんですよね。 岐阜から電車で2時間くらいの近場に行って、旅館に早めにチェックインして、部屋でゴロゴロして、のんびりと温泉に浸かって、夜は肉を食いまくって、焼酎なんかもちょっぴり飲んで、もう1度温泉に入って、部屋に戻ってゴロゴロして、仕事とか、土建屋とか、この原稿のオチをどうしようかとか、そういう事は一切忘れて、ゆっくり爆睡すると。 いいじゃないっすかぁ♪ で、次の日は朝から温泉に入って、朝食のバイキングでウインナーとか、ハムとか、ソーセージとか、ベーコンとか、とにかく畜肉加工食品を食いまくって、で、ゆっくりめにチェックアウトして、近隣のちょっとした観光スポットを散策して、お昼にはB級グルメっぽいもの (←ハムカツとか、フランクフルトとか、アメリカンドッグとか) を食って、で、家に帰ると。 いいじゃないっすかぁ♪ 何だかこう、考えているだけで気分が盛り上がってきちゃいますなぁ。

 で、問題は行き先をどこにするかなんですが、どこに行くにしろ、お泊まり場所として外せないポイントが2つほどあります。 まずは大浴場があること。部屋のユニットバスではぜんぜん寛げませんからね。 で、欲を言えばその大浴場は温泉だったりすると嬉しいです。 ついでに露天風呂があったりすれば文句の付けようがないんですが、その上で敢えて、ささやかな願望を述べさせて貰うとするなら、露天風呂付き客室という線で、ひとつヨロシク! で、もうひとつのポイントとしましては、晩飯はとにかく、肉っ! 鶏でも豚でもいいので、とりあえず肉っ! 何でもいいからとにかく肉さえたらふく食わせて頂ければ、それ以上は何も望みません。 僕は魚介類の類があまり好きではないので、 「タラとフグをたらふく食べるプラン」 とか、そういうのにはまったくソソられるものがないんですよね。 鶏の陶板焼きとか、豚しゃぶとか、そういうのでいいので、とにかく肉が出れば文句の付けようがないんですが、その上で敢えて、ささやかな願望を述べさせて貰うとするなら、和牛ステーキという線で、ひとつヨロシク! ま、自分で金を出すんだから、気が済むまで勝手に贅沢すればいいだけの話なんですが、そういった条件をいろいろと勘案した結果、そうだ、下呂に行こう! そういう結論に達したのでありました。

 いいですよね、下呂。 銘菓 「下呂の香り」 というのは本当に存在するのか、それを確かめるだけでも一度は行ってみる価値がありますよね。 以前、下呂の町を通過したことはあって、その際、 「下呂牛乳」 という看板は見たことがあるような気がするんですが、下呂にお泊まりして、ゆっくり散策したことはないんですよね。 正確に言うと、まだ物心の付かない幼児期に家族旅行で行ったことがあるみたいなんですが、まったく記憶には残っていないので、行ってないも同然。 で、下呂にはですね、僕の欲望を満たしてくれる、素晴らしい宿があることが判明しました。  下呂観光ホテル 。 通称 “ゲロカン” っすな。  露天風呂付きダブルルームの一人利用、 “あみ焼き朴葉味噌ステーキなど★納得の飛騨牛づくし” というぷらんが、25,300円っ♪ 高いと言えばクソ高いんですが、これだけ出費すれば、意味もなく無駄遣いしたった♪ そんな気分に浸れること、請け合い。 現実逃避するには、浪費をするか、頭皮を刺激するか、選ぶ道は二つに一つですからね。頭皮で逃避出来るなら、そっちのほうがずっと安上がりでいいような気もするんですが、刺激し過ぎて頭の皮から血が出たりしても嫌だしー。

 とまあそんなことで、頭の中はすっかりゲロモードになってしまったんですが、そんなとある水曜日の朝。 土建屋の高木クンから電話が掛かってきました。  「金曜日、測量と丁張りで現場に入るでー。」 って、マジっすかぁ!?  ま、確かに来週の木曜日から入るという工程表を見て、 「もっと早く入れるんなら、入って貰ってもいいっすよ!」 という旨の発言をしたのは僕なんですが、それはまあ、何というか、嘘も方便というか、クソも大便というか。 クソも大便って、大便がクソじゃなかったら、何がクソなんや!? …という気もするんですが、僕が言うところの 「もっと早く」 というのは、来週の火曜日とか、それくらいの早さを希望してたんですけどねぇ。。。 はっきり口に出さなくても、高木クンならきっと、その微妙なニュアンスを汲んでくれる筈と信じていたんですが、ちょっと買い被り過ぎましたかね? えーと、買い被り、かいかぶり。 「貝かブリ」 とか、 「皮かぶり」 とか、そんなのしか思い付かなかったので、ここではボケずに先に進みたいと思いますが、えーと、進みたい、すすみたい。 「煤みたい」 とか、 「スズメダイ」 とか、そんなのしか思い付きませんな。 金曜日の午後からの “ゲロまみれプラン” がいきなり駄目になってしまって、動揺しているので、いつも以上につまらないネタしか浮かんで来ないんですが、僕のせいではありません。 みんな高木のオッサンが悪いんですが、下呂は諦めるにしても、プチ旅行だけは無理矢理にでも強行しないと心の収まりがつかなくて、こうなったらもう、金曜の夜は現場の近くに泊まってやるぅ!

 ということで、僕は今、とある宿に来ています。 岐阜、大垣、羽島あたりで、無駄に浪費出来るような宿泊スポットはないのか? …と思って調べてみたところ、発見しましたぜ、かんぽの宿岐阜羽島。 会社から家までの帰宅ルートからほんのちょっとだけ離れたところにあって、あまりにも身近すぎて今まで眼中に無かったんですが、そういえばこんなところもありましたなぁ。 露天風呂付き客室も、客室には付いてない普通の露天風呂もないので、ソソられる度合いは決して高くないんですが、大浴場はあるし、一応は温泉だったりすうるので、うーん、まあまあ? が、僕をすっかりその気にさせる、素晴らしいプランがあることが判明しました。  “飛騨牛会席プラン” 14,000円っ♪ 高いと言えばそれなりなんですが、すでに下呂で25,300円浪費する覚悟が決まっていたので、それに比べると、何だかとってもお得に思えてしまいます。 羽島なんてちっとも飛騨ではなくて、美濃地方バリバリだったりするんですが、 “美濃牛のミノ満喫プラン” とか、そういうのでは無くて、あくまでも飛騨牛。 ホルモンがあまり好きではない僕としては、むしろ好都合なんですが、とまあそんなことで、僕は今、岐阜羽島の 「かんぽの宿」 に来ています。 行程でいうところの、旅館に早めにチェックインして、…というのは無理だったんですが、測量と丁張りは思ってたよりも早く、午前中には片付いてしまって、こんなことなら午後から半休取って、ゲロればよかった! そんな思いに駆られたりもしたんですが、夕方4時過ぎに超重要な任務を適当にしつらえて、 「羽島に寄って、そのまま帰りまーす!」 と言い残して会社を出て、適当な時間に宿にやってまいりました。 一応、直退可能時間の16時45分まではそれなりにきっちりと任務をこなしたので、もしこれを会社の誰かに読まれちゃったとしても、まったく問題は無いんですが、何だかちょっぴり後ろめたい。 そんな思いに駆られつつ、部屋でゴロゴロして、夜は肉を食いまくって、酎ハイなんかもちょっぴり飲んで、のんびりと温泉に浸かって、で、今の時間帯は部屋に戻ってゴロゴロして、仕事とか、土建屋とかの事を思い出しつつ、これを書いてるところだったりします。 今日、土建屋の高木クンと一緒に仕事をして、もしかしたらこのオッサン、そんなに悪いキャラではなかったりするんじゃないか? そんな気がしないでもない感触が得られたので、ちょっとだけ気が楽になったんですが、その代わりにというか、関連工事をやってる電気工事屋のオッサンのほうが、何というか、長縄クンっぽいキャラであることが判明して、ちょっと気が重いっす。ネチネチと嫌みったらしいことを言われて、来週からの土建屋作業が大幅に先送りされちゃいそうな気配なんですが、でもまあ、せっかく旅館に泊まってプチ旅行気分を味わっているところなので、仕事のことも電気屋もことも忘れて、で、この原稿のオチをどうしようかとか、そういう事も一切忘れて、とか言ってるうちに何だか眠たくなってきちゃったので、とまあそんなことで、じゃ、おやすみ〜♪

 ということで、今日はカーティス・アミー&デュプリ・ボルトンなんですが、今現在、次の日は朝から温泉に入って、朝食のバイキングでウインナーを食って、で、ゆっくりめにチェックアウト…する、その前の段階だったりします。 この辺り、散策するようなちょっとした観光スポットと言えば 「おちょぼ稲荷」 くらいしかないんですが、そんなところは今日でなくても、いつだって好きな時に行けるし、おまけに雨も降ってるので、おとなしく真っ直ぐ家に帰ることになろうかと思うんですが、宿に関する詳しいレポートはまたいずれ、7月1日にお届けすることにして。 どうして日付指定なのかというと、その日にあるんですよね、土木工事施工管理技術者の試験。 毎年、9月の頭に受けていた電験3種に見切りを付けて、今年はこっちにシフトすることにしました。 うっとうしい電気工事屋なんかには、さっさと見捨てて、これからは土建屋の時代だぜぇ! 日曜日が試験で、その前日は超付け焼き刃でお勉強しなければならないので、とてもジャズのレビューやジャケ絵を書くような余裕は無いものと思われます。 ということで、その週は 『宿-bird 組曲』 の更新でお茶を濁させて貰うことにして。 春の連休に広島と岩国に行った時のネタがまだ残っているので、羽島にまで手が回るかどうかは甚だ心許ないところではあるんですけど。 というか、ネタに困って、来週のこのコーナーに出てくる気配が濃厚だったりするんですが、とまあそんなことで、家に帰ってきたので、 『カタンガ』 です。 そもそも、カーティス・アミーデュプリ・ボルトンって、誰? …というところから話を進めなければならないんですが、この人たちのことはですね、僕もよく知りません。 が、アミーくんのほうは前にもこのコーナーで取り上げたことがあります。 ここっすな。 よく分からん人だったので期待度はゼロだったんですが、聴いてみたら、結構いいじゃん! そんな感慨を持ってしまったので、この人について調べてみたところ、この 『カタンガ』 にたどり着いた。そんな経緯でCDを購入した次第でありますが、一方、相方のボルトンくんのほうはどういうキャラなのかというと、クリフォード・ブラウン以来の逸材と評されながらも、ジャズ界の第一線で名前を聴くことが少ない幻の天才トランペッター。 そういう位置付けなんだそうです。 いいぢゃん♪ 日本の自称ジャズ通って、こういうレア物が大好きだったりしますよね。 僕もまあ、ジャズ通の端くれ…というか、ジャズ痛風予備軍というか、そういう立ち位置だったりするので、このアルバムには大いにソソられるものがあるんですが、ただ問題があるとすれば 『カタンガ』 という変な名前でありますか。 恐らく、三重県の鳥羽だったか志摩だったかのほうにある 『マコンデ美術館』 の親戚か何かだと思うんですが、まったくギャルには受けそうもありませんよね。 アフリカンお面みたいなジャケットも何だか気色が悪いし、でもまあ、書くのは簡単そうなので、その点では悪くないと思うんですが、通心をくすぐられるピアノのジャック・ウィルソンが入っていたりもするし、とまあそんなことで、では演奏を聴いてみることにしましょうかぁ。

 まずはアルバム・タイトル曲の 「カタンガ」 。 この名前を見て思い出すのは 「マコンデ」 ともうひとつ、「ザザンボ」 でありますな。 これ っすな。 これを書いた時点でちょっぴりオトナになったフミキは、実は何の進歩もしてなくて、ついこの前も無断で勝手にペタペタとポスターを貼りまくって、静岡県の条例違反か何かで捕まっておりましたが、おお、 これこれ 。 4月13日 [会場] 静岡市民文化会館、豪華5本立てやんっ! 「ザザンボ」 がないのはちょっと残念なんですが、映画 「金正日」 って、ちょっと楽しそうですな。続編の映画 「まさお」 にも期待♪ …とまあ、それはそうと 「カタンガ」 なんですが、岡崎正通クン (←最近、こいつばっかり。) の書いた日本語ライナーによると、タイトルの意味するところは、コンゴ共和国の南部に位置している州で、アルバムが録音された63年当時は独立を目指していたが、これはならなかった。 そういう経緯に基づいたものであるようです。 コンゴ動乱 というヤツですか。 音楽にこういう政治のドロドロが絡んでくると、ロクなことにならないというのは、マックス・ローチの 『ウイ・インシスト!』 なんかがいい例なんですが、これを作ったボルトンくんにとって、さほど深い意図は無かった模様です。 とりあえず、最近よく耳にするアフリカンな地名をタイトルにしてみました。 その程度のノリだったものと思われ、曲そのものもさほどカタンガやザザンボしている風でもなく、モーダルな新主流派風の仕上がり。 マイルスの 「ソー・ホワット」 やコルトレーン 「インプレションズ」 と同様のコード進行が、24小節のテーマの中で揺れ動く。 そう、岡崎クンが解説しておりますが、コード進行というか、Dドリアンやら何やらのモードというか。 で、こういうのが嫌いではない僕にとっては、変なジャケットのイメージが瞬時に払拭されて、何よりな展開であると言えるんですが、わりとシンプルなテーマに続いて飛び出してくるボルトンのソロが何とも言えずにスリリング。 クリフォード・ブラウン以来の逸材との触れ込みなんですが、それもあながち、単なる社交辞令であると切り捨てることは出来ないかも知れないような気がしないでもない。 そう思わせてくれるだけの実力は持ち合わせているような気がします。 スタイルとしてはブラウニーよりもやや前衛寄りで、ブッカー・リトルほど悲劇的ではなく、わりとオーソドックスなウディ・ショウといった感じですかね? 悪くないです。 終盤はそこにカーティス・アミーのテナーが絡んできて、ちょっぴりカオスな様相を呈しそうになるんですが、大事に至る前にジャック・ウィルソンのソロに転じるので、一定の秩序は保たれることになります。 で、その後は ts→ds→tp→ds の4バースで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 3分06秒という短い演奏なんですが、何と言うか、アフリカの新興国の熱く滾る思いのようなものが感じられ、そういう意味では確かに 「カタンガ」 でんがな。 そう、納得させてくれる1曲でありました。

 で、続いては 「ロンリー・ウーマン」 。 オーネット・コールマンの奴ではなくて、カーティス・アミーのオリジナル。 ブルージーなソプラノ・プレイとともに、レイ・クロフォードのギター・ソロもよい味を出している。 そう書かれているので恐らく、そういうアレなんだと思うんですが、そういえばこれ、ギターも入っていたんですな。 1曲目ではまったく存在感がなかったので、あるいは存在していなかったのかも知れませんが、ここでは冒頭からカントリーな田舎っぽいギターの音が聞こえていて、個人的には余計なお世話のような気がしないでもありません。 都会的なソプラノとの相性も、やや疑問視されるところでありますが、ま、確かにブルージーではありますな。 アフリカ中部のブルンジを思わせる麒麟児。 そういった感じですかね? ソプラノにギターとトランペットが絡むスローなテンポのテーマに続いて、ソプラノ、ギターの順で各自のソロが披露され、その間、残ったメンバーが適当に絡む。 そういった仕上がりだったりします。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 3分48秒という短い演奏で、個人的にはやや消化不良な思いを持ったのは確かなんですが、ということで、次。  「ネイティブ・ランド」 。 これもアミーくんの自作曲です。 3連のビートがエキゾチックなムードを煽るなか、やはりアミーのソプラノをはじめとするメンバーの個性的なソロ・リレーを耳にすることが出来る。 そう、日本語ライナーに書かれているので、かなり期待が持てるんですが、いいっすよね、エキゾチック。 少なくともエキノコックスよりはいいです。単なる寄生虫ですもんね、あんなの。 フィギュア も出ているみたいですが、こんなもん、売るな! …と思わずにはいられません。 扁形動物門条虫綱多節条虫亜綱円葉目テニア科エキノコックス属って、なかなか厨二心をくすぐられる属性ではあるんですけどね。 とまあそれはそうと、曲のほうはアレです。 エキゾチックにして、液状地区。 そんな浦安っぽいムードが漂っているんですが、ま、液状化に関しては桑名も人のことは言えないんですけどね。 東海、東南海、南海の3連動が来ちゃったら、確実にグチョグチョになると思うんですが、3連動と言えば、3連のビートがどうのこうのと書いてありましたな。 それの意味するところは僕にはよく分からんかったんですが、何となく複雑っぽいビートが異国情緒を醸し出していて、いい感じです。 で、ソロ先発はアミーのソプラノっすか。 マコンデっぽさが色濃く感じられて、秀逸です。 続くボルトンくんも凄いっす。 クロフォードのギターも今回はさほどカントリーではなくて悪くないし、でもって、ジャック・ウィルソンのピアノは、最高♪ とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 10分22秒という長い演奏であるにも関わらず、書くことはほとんど無かったんですが、ま、総括すれば、アミーのソプラノをはじめとするメンバーの個性的なソロ・リレーを耳にすることが出来る。 そういう出来であったと評価していいのではなかろうかと。

 ということで、次。  「アミアブル」 。 僕がすっかり行く気になっていた下呂観光ホテルは “網あぶる料理” がウリのようですが、飛騨牛とか原木の椎茸とかを網で炙って食うという。 何だかめっちゃ美味そうなので、いつかは行ってみたいところでありますが、で、これはアレです。 ジャック・ウィルソンのオリジナルです。 タイトルは恐らく、カーティス・アミーの名前に懸けたものだと思われますが、ベースと2管とのコール&レスポンスが印象的なテーマはファンキーな雰囲気が漂っていて、いいっすな。 ソロ先発のレイ・クロフォードのギターもブルージーな味があって、いいっす。 いつぞやは邪魔者扱いしたりして、申し訳ございませんでした。 そう謝罪しておいたほうがいいかも知れません。 でもまあ、あの時、邪魔に思えたのは確かなワケだし、下手に謝罪して賠償を求められても嫌なので、ここはひとつ、気付かなかったふりをして、そのまま通り過ぎることにして。 で、続いて出てくるボルトンくんはアレっすな。 まんま、マイルスっす。 で、それに続くジャック・ウィルソンのクール・ファンクな弾きっぷりは、もう、最高♪ 熟練した挽肉職人でも、なかなかこうは挽けません。 熟練した加藤智大でも、なかなかこうは轢けません。 …って、あまりにもブラックなネタなので、書いた本人がちょっと引いてしまうんですが、ピアノ・ソロの終盤に2管のハモリが絡んでくるという演出はなかなかに秀逸で、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、なかなかよかったっす。 で、5曲目は歌物ナンバーの 「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ」 。 日本名 「恋を知らないあなた」 でありますな。 その邦題はちょっとどうか? …という気がしないでもないんですが、ま、 “excite翻訳” 先生の模範解答、 「愛は何か知りません。」 よりは幾分マシかと。 もっと酷いのが出てくるかと期待したら、意外とまともだったので、ちょっと拍子抜けなんですが、で、演奏のほうはアレです。 出だしのギターがちょっぴりカントリーなのがアレなんですが、ソプラノをフィーチャーしたテーマ部と、それに続くボルトンのソロ、共に、うーん、まあまあ? ま、悪くはないと思うので、別にいいとは思うんですけど。

 で、アルバムの最後を飾るには 「ア・シェイド・オブ・ブラウン」 。 サックス奏者のクリフォード・ソロモンという、あまりよく知らん人が作った曲のようです。 このソロモンのほうのクリフォードくんは、ブラウンのほうのクリフォードくんと共演したこともあるそうで、タイトルはそれにちなんだものであるようなんですが、けれん味の無い真っ直ぐなハード・バップといった仕上がりで、なにより。 クロフォード、ボルトン、アミー、ウィルソンと続くソロはどれも溌剌としていて、なにより。 とまあそんなことで、今日は以上っす。

【総合評価】

 趣味が最悪なジャケットを見て、買うのやめようか? …と躊躇しているそこのキミ、買えっ! レジのお姉さんに見られるのが嫌だったら、家に帰って “Amazon” で買えっ! そう、激しくオススメしたくなる1枚なのでありました。 ちなみに幻のトランペッター、デュプリ・ボルトンの演奏が聴けるのは本作とハロルド・ランドの これ と、もう1枚、全部で3枚しか無いそうなんですが、ハロ・ランの 『ザ・狐』 に参加しているとは気付きませんでしたな。 ところでこのアルバムに入っているトランペッターのデュプリー・ボルトンって、誰?この人、はっきり言って期待度は皆無だったんですが、実際に演奏を耳にしてみると、ブラウニー直系の素晴らしいソロを披露しておりまして、思わぬ拾いものでありますな。 そんなふうに何年か昔の僕が感想を書いておりますが、そんな彼の貴重なプレイを楽しめるという点でも、買えっ!!


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