- 【アルバム名】
- GUMBO! (PRESTIGE)
- 【リーダー名】
- PONY POINDEXTER (1963/6/27)
- 【パーソネル】
- PONY POINDEXTER (ss,as) BOOKER ERVIN (ts) AL GREY (tb) GILDO MAHONES (p)
- GEORGE TUCKER (b) JIMMIE SMITH (ds)
- LARRY YOUNG (org) JERRY THOMAS (ds)
- 【収 録 曲】
- FRONT O' TOWN / HAPPY STRUT / CREOLE GIRL / 4-2-44 / BACK O' TOWN /
- MUDDY DUST / FRENCH MARKRT / GUMBO FILET / MOODY'S MOOD FOR LOVE /
- BLUE AND SENTIMENTAL / WADE IN THE WATER / ABSOTIVELY POSALUTELY /
- YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS / ~ (at.takes) / AUTUMN LEAVES / OLD FOLKS
- 【内 容】
- 『ザザンボ』という映画を知ってますか?それほどメジャーな作品ではないので
、「ザザンボぉ?“笹うんこ”なら知ってるんだけど・・・」という人が多いかも知れ
ませんね。いや、私は“笹うんこ”というのは知りませんけどね。で、この『ザザンボ
』という映画のキャストを見てみると
-
- 製作................ 渡辺文樹
- 監督................ 渡辺文樹
- 脚本................ 渡辺文樹
- 撮影................ 渡辺文樹
- 照明................ 久米成男
- 出演................ 渡辺文樹、秋山誠、小勝新、鈴木法之、森田まゆみ、
成田珠巳
-
- となっていて、要は渡辺文樹クンが「ひとりで出来るモン♪」とか言って、ほとん
ど自分で作っちゃった映画みたいなんですが、どうやって“撮影”と“出演”を両立し
たんでしょうね?セルフ・ヌードみたいなもんですかね?初めて楽器のキーボードを手
にした人がとりあえず“きらきら星”を弾くように、初めてビデオカメラを手にした人
はとりあえず自分のコドモとか、家の中とか、ネコとか、けった通学の女子高生とかを
撮影するのが常ですが、それに飽きてくると自分の局部を写してみたりしますよね?ス
チールカメラだと写真屋さんがプリントしてくれないから駄目なんですが、ビデオなら
大丈夫。自分で納得のいくまで撮っていただいて結構なんですが、『ザザンボ』という
のもそういった世界なんですかね?と思ったら、さにあらず。“ザザンボ”というのは
東北のとある地方の方言で“葬式”の意味らしく、決して九州地方における“ぼ○・ブ
ラジル”的なものではありませんでした。で、映画の内容のほうはというと、とある東
北の寒村で起きた殺人事件をテーマにしたものらしいんですが、中身はともかく、町中
の電柱にベタベタと貼られたポスターが印象的でありました。ホラー映画を思わせるお
どろおどろしいポスターの下に、手書きの紙が貼ってあるんですけどね。そこに一言、
「失神します!」
-
- 失神。私は恥ずかしながら、このトシになるまで失神したことがありません。女
の子を失神させたこともありません。所詮はその程度の実力であるわけですが、あ、で
も湿疹が出たことはあるから、大丈夫だよね?きっと。で、この“手書きのフレーズ”
は手書きだから他にもいろいろとバリエーションがありまして、うちの近所でよく見か
けたのは「決して一人では見ないでください。」というものでありました。見ないで!
と言われると余計に見たくなるというのは“鶴の恩返し”の昔から人間心理の上での常
識なんですが、この場合「2人以上なら見てもいいよ♪」と言ってるわけでございます
。見るな!と言われると余計に見たくなるんだけど、1人で見るな!と言われると「じ
ゃ、見ねーよ!」と思ってしまい、結局は見にいかず仕舞になっちゃったんですが、話
によると、ぜんぜんつまんない映画らしいですけどね。
-
- 要はマトモな映画じゃないから普通の映画館では上映してもらえず、市民会館と
かを借りて自主上映しているわけですが、ぜんぜん客がこないもんだから“ゲリラ的ポ
スターべたべた貼りまくり戦術”に出たわけでありますな。それが見事に当たり、「失
神します!やて。あ〜ん、なんかオモロそうなのぉ♪」と思った地元女子高生が大挙し
て押し寄せ、期待に胸を弾ませて、失神が失禁にまで進展しちゃう事態に備えて尿瓶ま
で用意してきたというのに、いざ始まってみれば実際の内容とポスターのイメージとの
ギャップは甚だしく、上映終了時には「金返せ〜!」の大合唱という有様だったようで
す。それはそれで、何だかおもしろそうですけどね。
- ちなみにワタナベ監督は映画のモデルになった事件の当時者から名誉毀損で訴えら
れたり、電柱に勝手にポスターを貼ったのがタタって条例違反で捕まったりしておりま
したが、ぜんぜん懲りずに、しばらくすると町中の電柱には新しい映画のポスターが貼
り出されたのでありました。題して、『バリゾーゴン』。このとき見られた“手書きフ
レーズ”は30にものぼるそうです。キーワードは『ザザンボ』同様“失神”でありま
して、「失神者続出!」「失神者出てます!」「失神者必ず出ます」などのほか、「倒
れる時は必ず肘をついてネ♪」なんてのもあります。失神するのにそんな余裕はない!
という気もしますが、“失神”に加えて今回は“吐く”というのも重大なポイントにな
っておりまして、「アワを吐いて倒れてダメ」「会場で吐け!気分超悪し!」「会場で
ゲロ吐いてまわりにかけないで!」「各会場のフロア吐いて汚さないで!」って、もぉ
、所轄署の名物刑事“オトシのヤマさん”も真っ青の吐かせっぷりでありまして。会場
で吐け!と命令しておきながら、会場でゲロ吐いてまわりにかけないで!と懇願すると
は、いったいどっちやねん!という気もしますが、要は「吐いても、まわりにかけるな
。」ということでありましょう。ま、社会人として最低限のマナーですよね。
-
- 『今月の技術課目標』 − 飲むなら吐くな。吐くなら飲むな。吐くなら便所かゴ
ミ袋。
-
- うちの近所ではまだ見たことがないんですが、シリーズ第3弾の『ハラハラとけ
ー』というのも全国に出没しているようです。さすがの渡辺文樹監督も、ゲロ吐くよう
な映画を作っておいてアフター・ケアなしでは申し訳ない。。。と反省したのか、今度
のキャッチコピーはこんなのでありました。
-
- 「ゲロ袋、用意あります!」
-
- ちょっぴりオトナになったね、フミキ♪
-
- @ ということで今日は『ガンボ』というアルバムです。いや、この“ガンボ”
から何となく“ザザンボ”を連想して本日の前半部分をでっちあげたわけでありますが
、リーダーはポニー・ポインデクスターという人であります。誰やそれ?って、そんな
こと私に聞かれても困るんですが、私が買った輸入盤CDにはオリジナル・アルバムの
8曲のほかにオマケが8曲(別テイク1曲を含む)も入っていて、ジャケットにはポイ
ンデクスターのほかにブッカー・アービンとラリー・ヤングの名前が同じ大きさの字で
書かれております。おまけに地名度の高いアービンのほうが上に買いてあるもんだから
、てっきりアービンのリーダー作だと思って買ったんですけどね。で、データを整理し
てみると
-
- 1〜8:ポインデクスター、アービン、曲によってはアル・グレイが参加(オリジ
ナルの『ガンボ』)
- 9〜11:ポインデクスターのワン・ホーン(1曲ボーカルあり)
- 12〜16:アービンのワン・ホーン(ラリー・ヤングとの共演)
-
- 7曲目以降は未発表作ということでありました。ちなみに“GUMBO”というの
は何のことかと思ったら“オクラ”のことでありました。億良らは、今はまからん・・
・って、山上億良のオクラじゃなくて、切り口が星の形をしているネバネバ野菜のオク
ラですね。『オクラ』というタイトルのアルバムと、オクラ入りしていたセッションを
抱き合わせたわけでありますが、とりあえずまあ、1曲目から聴いてみましょうね。
-
- 「フロント・オーズ・タウン」。原文ライナーを読んだところ、ポニ・ポイちゃ
んはニュー・オリンズ出身であると判断してもあながち間違いではないのではないかと
いう気がしないでもないので、「“O”の街」というのはニュー・オリンズのことかも
知れませんね。だって、オリンズっていう単語は“O”で始まるんだモン♪じゃ“ニュ
ー”はどこへ行ったんだ?と追及されると困るんですが、おそらく雪印の乳製品と一緒
に回収されちゃったんじゃないかと。で、「“O”の街(前方)」はアル・グレイのト
ロンボーンがとってもニュー・オリンズなムードを醸し出しているノスタルジックなナ
ンバーでございます。アーシーの極みといった感じのスロー・ブルースでありまして、
はじめて聴いたときは「なんじゃこりゃ?」と思ってしまいました。ジャズは都会の夜
のアンニュイだよね。と思っている人にはとうてい受け入れ難い世界ではなかろうかと
思いますが、そうこうしているうちにポインちゃんがソプラノ(←たぶん)で登場いた
します。
- シドニー・ベシェを思わせるスタイル(←おそらく)は悪くないですね。で、その
後はボントロとソプラノが数フレーズずつ交替でチェイスを繰り広げ、演奏は次第に熱
くなってきて、テンポもだんだん速くなってまいります。まずまず盛り上がってきたか
な?と思っていると、ここで満を持してギルド・マホーネスが登場。
-
- ・爺さんも 火葬を過ぎると もう骨っす
-
- > アセンション・プリーズ。
-
- いいですなぁ、マホーネスぴょん。ブロック・コードを交えてノリのいいプレイを
披露してくれるんですが、ソロは短めで、再びアーシーなテーマに戻って、型通りのエ
ンディングを向かえます。結局、アービンの出番は最後までなかったような気がします
が、ま、いいでしょう。続く「ハッピー・ストラット」はハッピーにスイングするアッ
プ・テンポのハード・バピッシュなナンバーです。3管ユニゾンによる軽快なテーマに
続いて、ポインデクスターが今度はアルトで登場。パーカー派と言ってもよいプレイを
展開しております。ソロの後半にホーンが絡んでくるアレンジもいいですな。グレりん
、マホぴょんとソロ廻しがおこなわれ、テーマが再現されて最後はフェードアウト。3
分足らずの小品でありました。ここでもアービンはホーン・セクションの一員としてし
か出番がなくて、アービン目当てでこのアルバムを買った僕の立場は?という気がしな
いでもなんですが、ポインデクスターが思ったよりもずっと“聴ける”ので、そんなこ
とはどうでもよくなってまいりました。やはりこれはポニ・ポイちゃんのリーダー作な
んですな。全曲、彼のオリジナルですしね。
-
- 3曲目「クレオール・ガール」。クレオールというのは白人(特にスペイン・フ
ランス系)と黒人が、とある行為をおこなった結果、生まれてきた人種ではなかったか
と思われますが、ちょっぴりアフロ・キューバンというか、お風呂で吸盤ごっこという
か、そういったリズムのマイナー調の曲でありまして、いかにも日本人受けしそうな感
じですな。アル・グレイはお休みで、アービンとポニ・ポイがユニゾンでテーマを吹い
たあとはソプラノ・ソロになります。1曲目に比べると随分モダンな感じのソロなんで
すが、この人の本質はこっちのほうが正解なのでありましょう。で、皆様、お股!ここ
で待望のアービンのソロと相成るわけですが、もぉ、アービンそのものといった感じの
プレイが展開されるもんだから、思わず嬉しくなっちゃいますね。ベースの短いソロも
聴けます。ということで、はい、次。全部で18曲もあるから、のんびり構えている場
合ではありません。「4−2−44」は、タイトルは意味不明ですが、キャッチーなメ
ロディが印象的なナンバーです。これもアービンとポインデクスター(ソプラノ)の2
管編成ですね。ここでのポイン君はモーダルなようなコーダルなような、歌うような軽
快なソロを繰り広げて、くどくどアービンにバトンタッチします。マホーネスがイント
ロに用いられたフレーズを反復した後、テーマが出てきて、はい5曲目。「“O”の街
(後方)」は「同(前方)」とはずいぶんイメージの違う曲ですね。ミョーなムードの
ピアノのイントロに続いて、3管ユニゾンでテーマが演奏されます。曲自体は単純明解
な反復リフ・ナンバーなんですが、そのあとに飛び出すポインデクスターのソプラノ・
ソロが圧巻でございます。で、アル・グレイのソロがあって、マホーネスがイントロの
フレーズを反復して、再びテーマに戻る・・・というのは前の曲よ同じパターンですね
。いや別にいいんですけどね。
-
- ボケがないまま6曲目。「ムーディ・ダスト」はポインデクスターのワン・ホー
ンで、ポイぴょんはアルトを吹いております。これまた印象的なメロディの曲でありま
して、作曲家としての実力もなかなかなものでありますな。で、けれん味のないワン・
ホーン編成だけに、ポインデクスターも正統的なプレイを展開しております。7曲目「
フレンチ・マーケット」。おそらく、ハレンチ学園の近くにあるマーケットではないか
と思われますが、これもわりといい曲です。アルトとテナーの2管編成で、ソロ1番手
はアービン。ミディアム・テンポで、最初のうちこそ抑え気味ですが、そのうちだんだ
んクドくなりはじめ、そろそろヤバいかな?と思っていると、タイミングよくポインデ
クスターにバトン・タッチします。
- ソロではソプラノにスイッチしてますね。アルトよりソプラノを持った時のほうが
より自由奔放、痔には漢方といった感じのポイぴょんでありますが、8曲目は「ガンボ
・フィレット」。“ガンボ”がオクラなのはわかりましたが、じゃ“フィレット”は何
?と思って調べてみると“髪をリボンで束ねる”というような意味でありました。髪を
リボンで束ねるオクラぁ?はやってるんですかね?アメリカのオクラの間では髪の毛を
リボンで束ねるのが。。。と思って原文ライナーを見てみると“ガンボ・フィレット”
というのはニューオリンズで最も有名な郷土料理の名前らしいです。シーフード(カニ
、エビ、カキ、ナマズ)、チキン、海ガメ、ワニのしっぽ、おこめ、オクラ、トマトと
スパイスで作る・・・って、いったいどんな料理や!といった感じでありますな。もし
かしたら、見た目がゲロに酷似していると伝えられる「しもつかれ」のようなものかも
知れませんが、海ガメやワニのしっぽというのは、いかにもアメリカ人らしい、いっつ
・あめりかん・じょーく!なのかも知れませけどね。で、曲のほうは「ぴゃ〜ぁ♪」と
いう“尻上がりフレーズ”と、「がんぼぅ、ふぃーれっと!」というコーラスが印象的
なナンバーです。例えれば、顔がスケベそうなピアニストでないほうの、トロンボーン
を吹いてるほうのベニー・グリーンみたいな“おとぼけジャズ”の世界。あんな感じで
あります。ソロ一番手のポインデクスターもブッとんでおりますし、2番手のマホーネ
スはちょっぴり抑え気味ですが、続くアービンのソロの出だしの部分など、ヤケ意外の
何物でもありません。テーマの再現のあとは「がんぼぅ、ふぃーれっと!」を繰り返し
つつ、フェードアウトしていきます。と、やっとこれでオリジナル・アルバム分の解説
が終わったんですが、まだ同じだけオマケ曲があるんですな。。。
-
- 9〜11曲目はアービン、グレイ抜きのワン・ホーン編成になるんですが、中で
もジェームス・ムーディ作の「ムーディズ・ムード・フォー・ラブ」はポインデクスタ
ーのボーカルをフィーチャーした貴重なナンバーです。いわゆる“ボーカライズ”と言
うんですか、
-
- ・兄貴の棒 カリいいっす あ〜ん♪
- とでも申しましょうか、ジェームス・ムーディのアドリブ・フレーズに歌詞を付け
て歌っているんですが、実はこれ、ジョージ・ベンソンが『ギブ・ミー・ザ・ナイト』
というアルバムでまったく同じことをやっております。元祖はエディ・ジェファーソン
ですかね?歌ははっきり言ってベンソンのほうが数倍うまいので、オクラ入りにされち
ゃうのもやむなし。。。といった感じでありますが、ま、それもまたご愛嬌です。ヘタ
であるが故に、しみじみとした哀感はポインデクスターのほうが上ですな。で、10曲
目。「ブルー・アンド・センチメンタル」はちょっぴり中間派を思わせるアルト・プレ
イ、オリジナルの「ウェイド・イン・ザ・ウォーター」ではソプラノを吹いております
が、曲、演奏共、オクラ入りが不思議なくらいの出来栄えでございます。以上でポイン
ンデクスター編はおしまい。
-
- 残る5曲はがらっとムードが変わって、ブッカー・アービンにラリー・ヤング、
ジェリー・トーマスというメンバーになります。ポインぴょんは登場しませんが、12
曲目の「アブソティヴェリー・ポサルテリー」はポインっちのオリジナルです。ラリー
・ヤングはあの“『ユニティ』のラリー・ヤング”になりかけ、といった状態でありま
して、アービン共々、出だしの部分こそ抑え気味でありますが、次第に本性を丸出しに
して、大ブロー大会を繰り広げております。残る4曲目(別テイク1曲を含む)は有名
スタンダードのオン・パレードといった感じでありまして、「恋を知らないあなた」に
「枯葉」に「オールド・フォークス」ですからね。演奏自体はアービン&ラリ・ヤンと
いうメンツからすれば、ちょっぴり物足りないかな?という気がしないでもありません
が、ま、ヨシとしておきましょう。
-
- ということで以上、計75分37秒でございました。内容は充実しておりました
が、疲労困憊、限りなし。。。週末はゆっくり休んでくださいね。ということで、今週
はおしまい♪
-
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