ALL THAT’S GOOD (BLUE NOTE)

FREDDIE ROACH (1964/10/16)

ALL THAT'S GOOD


【パーソネル】

CONRAD LESTER (ts) CALVIN NEWBORN (g)
FREDDIE ROACH (org) CLARENCE JOHNSTON (ds) & Voices
【収録曲】

(01-03) JOURNEYMAN / ALL THAT'S GOOD / BLUES FOR 007
(04-06) BUSTED / CLOUD 788 / LOIE
【解説】 ( 2012年04月22日更新 / 連載 1,028回 )

 もうすぐゴールデンウィークですなぁ。 みんな、レジャーの計画は立てたかな? そういえばそろそろ、宿を探さなければならないなぁ。 そんな悠長なことを言っていては完全に手遅れだと思うので、郵貯でもして夏休みに備えるしかないんですが、僕は大丈夫です。5月の宿はとっくの昔に押さえてあります。 夏の宿も押さえました。ついでに11月の宿も押さえたので、これで今年の旅計画はコンプリート。 いろいろと予定を考えている段階が楽しかったりするので、何だかちょっと寂しかったりもするんですが、宿選びはまだこれから。 そんな人たちのために、少しはお役に立つかも知れないけれど、多分、どーでもいい。 そう思われるに違いない情報をお届けしてみようかと。 題して 『 “JAZZ” が楽しめる (かもしれない) 宿特集』 。 混じりっ気なしの源泉掛け流しジャズ・サイトである “塩サバ通信” で旅を語る以上、当然そういう流れになるわけですが、僕が宿を選ぶ際に重要視するのは、立地>リッチ度>風呂>飯>寿司。 そういう順位だったりします。 そこそこリッチであるに越したことはないんですが、夕食がリッツ1箱とかで無ければ我慢出来るし、飯が寿司だって一向に問題は無いので、この不等号はほとんど意味が無かったりするんですが、何が言いたいのかというと、アレです。 宿を選ぶ際に “JAZZ” が楽しめるかどうかなど、ほとんど考慮しない。 そういう事実を述べたかったワケなんですが、ただ 「JAZZが流れるお洒落な雰囲気」 などと書いてあったりすると、若いギャルがたくさん押し寄せたりして、いいかも? そんな気がしないでもありません。 実際のところは、むさいオッサンが集結していてウザいだけだったりするのかも知れませんが、とりあえず僕がちょっと気になったところをいくつか紹介してみたいと思います。

 実際に泊まったことのないところがほとんどなので、“JAZZ” が楽しめるかもしれないし、楽しめないかもしれないし、“JAZZ” は駄目かも知れないけど鴨は出るかも知れないし、どう転ぶか責任は持てないんですが、とりあえず、まずは 『びっくりりえたん』 。 今からもう7年も前の話なので、ほとんど記憶には残っておりません。 が、読み返しているうちになんとなく思い出して来たんですが、長野在住のギャル系読者ともすっかり疎遠になっちゃったし、りえたんの趣味がジャズらしいというだけの話で、そっち方面のニーズにお応えできる宿では無かったような気がします。 で、僕は7年前、ビジネス館の看板は今すぐ撤去して、 “ペンションびっくりりえたん” とかにしたほうが今後の為ではないか? そのように提言させて頂いたんですが、先ほど楽天トラベルのリンクを見たら “ビジネスイン飯山” と出てきたので、ちょっと焦りました。そっちの方向で心を入れ替えたんですかね? さすがにあの名前では土建屋が寄り付かなかったとか? あるいは “りえたん” を名乗るのがちょっぴり恥ずかしいお年頃になっちゃったとか? 僕もそろそろ “さばぴょん” などという恥ずかしい名前は卒業して、 “飯山” を名乗ったほうがいいっすかね? それだとサイトの名前も 『塩飯山通信』 に変えなければならなくなって、そんなのは嫌だから、やっぱりヤメときますけど。

 で、次。 『手打ち蕎麦と美味い酒 ジャズの流れる民芸の宿 旅館すぎもと』 。 松本市郊外の美ヶ原温泉という、桑名人にとってはお手頃な立地だし、12畳リビング+8畳和室+6畳寝室 (リビングには、山水のオーデイオがあります。) …などという、リッチなお部屋もあるし、温泉さん (女性 / 50代) や、三毛子さん (女性) も口コミで絶賛しているし、いいぢゃん♪ あ、でも、よく見たら “お一人様プラン” が無いから、駄目ぢゃん! 僕がここにお泊りしてレビューを書けば、全国各地から1.00000人くらいのジャズ・ファンが駆けつけて、もう、ウハウハ♪ そういう状況も期待できたかも知れないのに、すぎもと君の一人旅に対する狭い了見のおかげで、せっかくの商機が台無し。 ま、すぎもと君がいきなり、 「杉、もっとぉ!」 と叫び出して、花粉症が悪化したりしても嫌なので、こんなところに泊まらなくて正解かも知れません。もういいっ!他を探すっ! ということで、探してみました。 ホテル森本 。 ここならいくら森本クンが 「森、もっとぉ!」 と叫んだところで、僕の鼻水の流出量が増えるとは思えないので、安心。 もっとも、その森が杉ばかりの森だったりしたら、杉本クンと何ら変わりがないんですが、片山津温泉というのも桑名人にとってはお手頃な立地だし、柴山潟に面した立地も悪くないです。 一人旅も歓迎してくれるみたいだし、温泉もよさげだし、夏にはショボい花火を毎日やってるみたいだし、日の出の写真も撮れそうだし、で、ジャズがどういうふうに絡んで来るのかと言うと、 これ 。 本格焼酎バーっすか。 僕は正直、焼酎の良し悪しはよく分からんので、本格焼酎バーよりも、あずきバーとかホームランバーのほうが嬉しかったりするんですが、女将が選曲したJAZZが流れるバーで語らいのひとときを。 これはいいっすよね。この女将の実力が如何ほどなのかは不明なんですが、オカメ以下の女将ということは無いと思うし、石川県選挙区選出の参議院議員よりはマシな選曲をしてくれるのではなかろうかと。 ロクなのいませんもんね、あの選挙区。 一川保夫クンとか。

 で、このホテルには泊まる気満々で予約を入れて、このコーナーでも取り上げたことがあるんですが、えーと、 ここ の前半の後ろのほう。 が、結局、キャンセルしちゃいました。 何故かと言うと、ただ何となく。 別に森本クンのことが嫌いになったワケではないので、またいつかチャンスがあれば利用してみたいとは思っているんですが、今年はあまり片山津な気分では無かったので、またそのうちに。 で、次。 『竹家荘旅館』 。 甲子園の近くの安宿を探していて、発見しました。館内にはオシャレなジャズバー 「Bamboobar」 あり・・Jazzが流れる宿。 「バンブーバー」 という名前のセンスがちょっと、ばぶー。 by イクラちゃん。 そんな気がしないでもないんですが、ま、竹=バンブーなので、仕方のないところではあるんですけど。 竹家荘旅館という名前を捨てればいいんですけどね。 『りえたん家荘旅館』 にするとか。 ちなみにジャズバーは平日だけの営業のようで、となると、観光目的でのジャズと宿の兼務はちょっと難しいかも知れません。 というか、本格的なジャズバーに一人で行くのって、個人的にはちょっとハードルが高いような気が。 運動系は全般に渡ってさっぱりな僕なんですが、特にハードルは苦手ですからね。 どんな低いハードルでも蹴倒してコケそうになっちゃうので、もし “竹バー” が営業していたとしても中に入る勇気がなく、外に漏れ出てくる音を盗み聞きながら、自販機で買った缶チューハイを飲みながら、穴の開いた魚肉練り製品をカジる。 そんな “竹輪バー” 状態で終わってしまうような気がしないでもありません。

 いっその事、メシを食うところが本格的なジャズバーになっている。 そういうシステムになっていれば、否応なしなので何とかなると思うんですが、果たしてそういうところがあるのかと言うと、ありました。 『cafe&bar Chandra』 。 チャンドラっすか。 レイモンド・チャンドラーみたいで、ハードボイルドで格好いい。 そのように評価する人もいれば、 『子連れ狼』 の大五郎じゃん。 ちゃんだらぁ? そのように感じる三河人もいるかも知れませんが、語尾に 「だらぁ」 が付くんですよね、三河弁って。 「スケベそうだよね?」 は 「スケベそうだらぁ?」 、「透けてるよね?」 は 「透けとぉだらぁ?」 、カマボコの原材料は 「スケトウダラぁ?」 みたいな。 で、このチャンドラはライブも行われる本格的なジャズバーで、お泊り部門のほうはどちらかと言うとオマケみたいな感じ。部屋にはテレビも無いようですが、下のバーから聞こえてくるジャズを子守唄代わりに、眠りにつく。いいじゃないっすかぁ♪ ジョージ・シアリングの 「バードランドの子守唄」 あたりだと、いい夢を見られそうですよね。 コルトレーンの 「オム」 とかだと、うなされそうなんですけど。 基本は素泊まりか朝食のみのプランのようですが、 “バーを楽しむちょっとリッチなプラン” なら自家製オードブル2種、ピザまたはパスタ、グラスワイン。 その程度のものは提供して貰えるみたいです。 清里のちょっと下という立地は昭和のギャルにはウケがよさそうだし、いいかもー? かなり有力な候補であると思えるんですが、ただやっぱり、一人で行くのはちょっと勇気がいりますな。 誰か一緒にお泊りしてくれませんかねー? 無論、ギャル限定なんですが、昭和のギャルでも一向に構わないので、お返事、お待ちしておりまっす。

 ・・・・・。 しばらくお待ちしてみたんですが、何の反響もなかったので、他を当たることにして。 何というか、あまり真剣にジャズというのではなく、薄っぺらに表面だけジャジー。 その程度でよかったりするんですが、雰囲気作りにロビーで有線のジャズを流してみましたぁ♪ そういう感じでいいんですが、となると、 『炭平』 とか。 どこにあるのかというと、間人。 間人の炭平って、何だかちょっぴり間寛平みたいで、リゾート気分が台無しなんですが、いいところですよね、間人。 行ったことはないんですが、 難読地名ネタ で取り上げたことがあるので、読み方は分かります。 で、この炭平では、どういうところでジャズが楽しめるのかというと、 ここ 。 ジャズが流れるお風呂、入ったことありますか? 僕はありません。 が、この企画はいいかも知れませんな。 少なくとも、ソーメンが流れるお風呂よりはソソられるものがあるんですが、マイルスの 『リラクシン』 あたりを聴きながら湯に浸かったりすると、リラックス出来そうですよね。 『ビッチェズ・ブリュー』 とかだと、湯あたりしちゃいそうですけど。 オフィシャルサイトを見る限り、おもてなしをしてくれる縁の下の力持ちさんが蛭子能収っぽいのがちょっと気掛かりなんですが、というかここ、めっちゃ高そうですよね。 お一人様を冷遇する、すぎもと君みたいなキャラである事も懸念されたんですが、その点、蛭子サンは大丈夫でした。 ちゃんと一人旅も受け入れてくれるみたいです。 お値段のほうも夕日と紺碧の海を望む 「6畳+広縁(マッサージチェア付)」 の “夏満喫!但馬牛と海の幸プラン” が休前日で 21,150円。 無駄に小金を貯め込んでいる僕にしてみれば、ぜんぜん許容の範囲内。 いいぢゃん♪ 是非とも一度お泊まりしてみたいものですが、ただ今年はどうも、間人の気分では無いんですよね。 経ヶ岬分屯基地 というところで毎年6月頃にプチ航空祭みたいなものがあるので、出来ればそれと絡めたいところなんですが、今年は5月に岩国のフレンドシップデーに行かねばなりません。 そう、毎月毎月遊びに行くわけにもいかんので、ま、ここは来年の課題ということにして。

 とまあそんなことで、 『ホテルニュータカハシ』 です。 ここはジャズが楽しめるとは思えない宿なんですが、夏旅用に押さえてしまったので、とりあえずご紹介まで。 一度、熱海の花火大会というのを見てみたいものであるな。 そう思って今年度の日程を調べてみたところ、 こうなって おりました。 毎年、嫌がらせのように平日とか日曜日とか祝日とかに開催されていて、駄目じゃん! そんな印象があったんですが、今年はちゃんと土曜日にもセッティングされておりますな。 じゃ、8月25日(土)に行ってやるぅ! …というので宿を探してみたところ、このタカハシくんがヒットしました。 ホテルを名乗ってはいるんですが、部屋は和室で、朝食も夕食も部屋出し。 和室・ハーバービュー (シングルユース専用客室) というのがあって、お一人様でもぜんぜん大丈夫。 で、 “メイン料理を2品選択♪プリフィックス・Aコース” というのだと、4種類の中から好きな食い物を2つ選ぶことが出来るんですなー。 その4種類というのは、赤貝、バイ貝、バカ貝、マテ貝。 …とかだったら、まったくソソられるものが無いんですが、和風ステーキ、伊勢海老黄金焼、ズワイガニのお造り、金目鯛の煮付けという、なかなか豪華な顔ぶれ。 伊豆らしさという点で言えば、断然、金目鯛なんですが、伊豆と言っても所詮は熱海だし、魚の煮付けは、躾の悪いガキと同じくらい好きではないし、カニもそんなに好きではないし、夏の熱海で出るカニなんて冷凍バリバリに違いないし、これはもう、 (陶板で焼いたステーキを和風ダレで) &】(ハーフサイズの伊勢海老を香ばしく焼き上げました) で、決まり♪ エビというのもカニと同じくらい、そんなに好きではなかったりするんですが、基本、殻とかヒゲとか足とか目玉が嫌なだけですからね。 伊勢海老の半身を焼いた奴なら大丈夫でしょう。 で、お値段のほうはというと、暇な時期が 14,300円で、夏休みの土日とかだと 15,300円〜16,800円。 で、花火の開催日は 17,300円。 足下を見られ感が半端ないんですが、ただここ、ロケーションは抜群ですからね。 (当館屋上から撮影) という写真があるんですが、ここに写っている防波堤。 ここが恐らく花火の打ち上げ場所であるものと思われます。シングルユース専用客室のプランにも 「花火大会開催日は客室から花火をお楽しみいただけます。」 と明記してあるので、タカハシくんが嘘つきでない限りは、期待大。 もし駄目だったとしても屋上に上れば大丈夫だろうし、熱海温泉ホテル旅館協同組合加盟宿にご宿泊の方は、親水公園内に宿泊者専用観覧スペースに入場できます。 そういう特典もあるようなので、ま、何とかなるのではなかろうかと。

 夏休みの土曜日で、花火は目の前、料理は部屋出しで、ステーキと伊勢海老が付いて、このお値段なら、けっこうお得だと思うんですが、どうっすかね? で、あと 15,700円ほど追加すれば “気まま旅&グルメ旅/☆コンパニオン付きコース” なんてのもありますなー。 ステーキと伊勢海老は付かないと思うんですが、その代わり、コンパニオン1名120分付き。おおっ♪ 普通、コンパニオンというのは6〜8名につき1名くらいの割合で付くものなんですが、この高密度は、マジっすか? 120分付きといっても8人分の掛け持ちで、お一人様あたり15分だったりしませんか? 「ホテルニュータカハシ コンパニオン」 でググると、風俗トラブルでお困りなら…大変な事になる前にまずは相談を。個人で解決できない問題を徹底解決! そんな広告が出てくるんですが、大丈夫っすかー? とりあず熱海の秘宝館あたりで妥協しておいたほうが、悲報をお伝えしなくて済むような気もするんですが、で、もう1件紹介しようと思っていた宿に関しては書くスペースが無くなっちゃったので、とまあそんなことで、後半に続く。

 ということで、今日はフレディ・ローチです。 『塩サバ通信』 の読者の間ではもっとも顔の知られたジャズマンであると言っていいんですが、というのも トップページ を飾っているのがこの人ですからね。 ちなみに、元ネタは これ なんですが、この頃は前半部分も短めで、読みやすくって、いいですなぁ。 最近は無駄に引っ張ることに躍起になって、自分でも読み返すのが面倒になっちゃうんですが、後半くらいはシンプルに参りましょう。 ということで、 『オール・ザッツ・グッド』 。 フレディ・ローチの手持ちのアルバムがこれしか残っていなかったので、選択の余地が無いんですが、今ひとつ気が進みません。 ローチ以下、無駄にコンパニオン風のギャルを6名も集めてくれたジャケットは、どう考えても書くのが面倒。 1人で我慢しろって! そう思わずにはいられません。 逆に、飲み屋のネーチャンが女子会 (笑) で熱海に来て、男のコンパニオン、略して “男ンパニオン” を1名調達したと考えれば、密度的には妥当なところなんですが、ま、書くのが面倒という点では何も替わりは無いんですけど。 で、これ、クソ面倒なジャケ絵を描くだけの労力が報われるとは思えないような内容だったりするので、余計に気が進まないんですが、でも大丈夫。 先週のうちにやっかいな仕事は片付けてしまったので、もう何の心配もいりません。 顔を似せようとか、そういう余計な事さえ考えなければ、思ったよりも楽だったんですが、とまあそんなことで、1曲目。 ローチのオリジナルで、 「ジャーニーマン」 。 「旅男」 っすかね? だとすれば今日の展開にはぴったりなんですが、調べてみたらどうやら、Journeyman = 職人。 そういう意味があるみたいです。それも、ただの職人ではなくて、一人前の職人。 そんなニュアンスが込められているようですが、昼飯のラーメン1人前を作るのなんて、朝飯前。 それくらいの技量を有しているんでしょうな。 昼に食べるラーメンを朝飯の前に作られても、麺が延びちゃうだけで迷惑な話なんですが、で、演奏のほうはアレです。 いきなり “声” が出てくるので、ちょっと焦ります。 原田和典クンが書いたライナー・ノートには、フレディ (フレデリック) ・ローチのブルーノート最終作は、男女計3名からなる混声コーラスを加え、これまで以上にゴスペル色を感じさせるものになった。 そういう記載が見られるんですが、まさしく、モロにゴスペル、略して、モロペルって感じぃ? この手の作風があまり好きではない僕にとって、これはちょっとアレなんですが、で、テーマに続いて、コンラッド・レスターのソウル・テナーが炸裂します。 バックの手拍子っぽいノリと相俟って、非常にベタな仕上がりとなっております。 参加者全員がとっても楽しそうにしているので、端から見ている人がとやかく言う筋合いはなくて、で、続いてカルヴィン・ニューボーンのギター・ソロが登場します。 この人はフィニアス・ニューボーンの弟なんだそうですが、それなりに頑張ってくれていて、でもって、最後にリーダーのオルガンが登場して、コーラス付きテーマに戻って、おしまい。 コーラスなんて、所詮はカルピスのパチモンだしぃ。 そう考える人にとっては、何とも安っぽく聞こえてしまうに違いありませんが、これもまた60年代ジャズの一面であるわけで、その意味ではまあ、アレでした。

 で、次。 アルバム・タイトル曲の 「オール・ザッツ・グッド」 。 超スローなブルースで、アーシーなディープさが半端ありません。 コンラッド・レスターのテナーの背景で、混声3人組が 「おぉぉぉー、やぁぁぁぁー♪」 を繰り返す。 そんな構成だったりするんですが、以下、ギターの人とオルガンの人が出て来て、時おり、 「おぉぉぉー、やぁぁぁぁー♪」 ま、そんなアレだったりします。 黒人ライフにどっぷりと浸りたい。 そういう人にはいいかもしれませんな。 温泉で流れてたりすると、グッタリしちゃいそうではあるんですけど。 ということで、次。  「ブルース・フォー・007」 。 リーダーのオリジナルが続きます。 これまた、ゆったりとしたテンポが採用されているんですが、小粋な泥臭さが感じられて、悪くはないと思います。 基本、このローチくんはオルガン弾きには珍しいインテリ系のキャラだったりして、ライナーノートも自前で小洒落たプチ小説みたいなのを寄稿してくれてたりするんですが、いい意味での小賢しさが垣間見える、そんな仕上がりであると言えるのではなかろうかと。 「こ…こかしこさ?」 ではなく、 「こざかしさ」 。 そう、正しく漢字を読める程度の知能は有していると思うんですが、ヴォイス付きのテーマに続いてコン・レスが出て来てソロを取って、その後、フレ・ローとカル・ニューが続いて、その背後では、時おり3人組の声が聞こえてきたりして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ま、総じてそんなに悪くはないと思うんですが、積極的に賞賛したくなるほどイケてるとも思えなくて、ほとんど書くことがなかったりするんですが、ということで、次。

 『箱根強羅温泉 竹の葉』 。 ジャズが流れるレトロな宿で、しかも 「竹」 。 キャラ的に 『竹家荘旅館』 と、かぶる物があるんですが、まったく観光という気分にはならない阪神電鉄出屋敷駅東出口とは違って、こちらは天下の箱根ですからね。 ソソられる度合いとしては、数段上。スーダンよりも上。 あまり見るところが無さそうですもんね、スーダン。治安は悪そうだしー。 で、一口に箱根と言っても、けっこう範囲が広かったりするんですが、この宿があるのは強羅っすか。 何か、強引な地名ですよね。 恐らく、箱根山が噴火しまくって、溶岩ゴロゴロだから、強羅。 そういうことだと思うんですが、ジャズやボサノバが流れる昭和情緒が懐しい箱根強羅温泉 竹の葉。 源泉掛け流しの露天風呂は、3つのお風呂でゆっくり長湯が楽しめます。強羅公園至近、駅から徒歩圏で観光に便利でリーズナブル! うん、悪くないっすな。 ジャズやボサノバは温泉の部ではなく、ロビーとか食事の部とかで流れているようなんですが、 “大好評!【1泊2食付】のんびり一人旅プラン” が 9,900〜11,900円と、お値段のほうも確かにリーズナブル。 クチコミを見る限りでは飯も風呂も評価が高いし、いいぢゃん♪ あ、でも、よく見たらお一人様プランは土曜日除外で、駄目じゃん! …というので、諦めていたんですが、あ、でも、8月25日(土)に熱海に泊まって、26日(日)に箱根に泊まって、月曜日のお仕事をサボることにすれば、大丈夫じゃん♪ 8月は稼ぎ時だと踏んでいるようで、基本、平日でもお一人様は拒否する方針のようなんですが、ちょうどうまい具合に26日からは大丈夫になってました。 今、じゃらんを見たら26日は何だか駄目っぽくなっていたんですが、僕との間の契約は成立した筈なので、今さらアレは間違いだったとか、言わないっすよね? ま、泊めてやってもいいけど、 「ただし夕食はイワナっす。」 とか、言わないっすよね? +1,000円で夕食アップグレード可能なんだそうで、それだと地元の足柄牛を使ったすき焼きが付くらしいんっすよね。 熱海でステーキ食って、次の日は、すき焼きを食ってやるぅ! 下痢、上等! もうすっかりその心意気なので、今さら駄目とは言わせませんが、とまあそんなことで、次。

  「バステッド」 は、ハーラン・ハワードとかいう人が作った作品。 レイ・チャールズも歌っているそうなので、そっち系の曲なんでしょうが、なるほど、言われてみれば確かにソレっぽい感じの仕上がりだったりしますな。 声付きのテーマ、テナーのソロ、ギターのソロ、オルガンのソロ、でもって、テーマに戻って、おしまい。 もはやルーティン化していて、正直、ちょっぴり飽きてきちゃった感はあるんですが、でも大丈夫。 続く 「クランド788」 も、ほぼ同じパターンです。 ローチのオリジナルなんですが、曲そのものの出来はいいので、我慢しましょう。 ということで、ラストです。  「ロイエ」 。 これはアレです。 ケニー・バレルのオリジナルです。 アイク・ケベックの 『ボサ・ノヴァ・ソウル・サンバ』 。 あのヴァージョンが強く心に残っている人が多いのではないかと思われますが、一歩間違えば昼のメロドラマの不倫シーンのBGMにでもなりそうなメロディ。 原田宗典クンに、そんなふうに書かれておりますな。 ムード歌謡っぽくて、日本人の耳にもスーッと入ってくるんですが、ヴォイス入りのこのヴァージョンも、なかなかムーディな仕上がりで、悪くありません。 熱海や箱根あたりの寂れた温泉宿に、しっくりフィットする感じなんですが、ギターのカルヴィン・ニューボーンが 「ブルー・ボッサ」 っぽいメロディを弾いたりするところも趣が深くて、とあまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 ぶっちゃけ、声担当の3人組は余計な気がしないでもなくて、せめて2曲くらいで抑えてくれたほうがよかったとは思うんですが、彼らは今回初めて一緒に歌ったが、楽曲に対する自然なアプローチが証明してくれる。我々と同じように彼らも深くて、溯れないほどルーツを持っているのだ。だが誰がそんなことを気にする? みんな最高さ。 そう、ローチくんが自作ライナーに書いているので、ま、端から見ている人がとやかく言う筋合いはなかろうかと。 ちなみに、この締めの 「みんな最高さ」 。 英語の原文を見たら “All That's Good” となっておりました。 こういう知的なセンスがいかにもローチっぽくて、最高さ♪


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