MONTGOMERYLAND (PACIFIC JAZZ)

WES MONTGOMERY (1958/4/18,1959/10/1)

MONTGOMERYLAND


【パーソネル】

WES MONTGOMERY (g) BUDDY MONTGOMERY (p) MONK MONTGOMERY (el-b)
PONY POINDEXTER (as) <#1-4> HAROLD LAND (ts) <#5-11>
LOUIS HAYES (ds) <#1-4> TONY BAZLEY (ds) <#5-11>

【収録曲】

(01-02) MONK'S SHOP / SUMMERTIME
(03-04) FALLING IN LOVE WITH LOVE / RENIE
(05-06) FAR WES / LEIRA
(07-08) OLD FOLKS / WES TUNE
(09-11) HYMN FOR CARL / MONTGOMERYLAND FUNK / STOMPIN' AT THE SAVOY
【解説】 ( 2011年12月11日更新 / 連載 1,010回 )

 先々週の岐阜基地航空祭に続いて、先週は新田原基地の航空祭でありましたな。 新田原というのはどこにあるのかと言うと、宮崎県。 去年、頑張って福岡県にある築城基地の航空祭に行って、ついでに大分県の別府まで足を延ばしたんですが、宮崎は遠いですなー。 別府から特急に乗って宮崎駅まで3時間以上かかるみたいです。 新田原駅までなら名古屋から4時間弱で行けるみたいなんですが、生憎、新田原駅は築城駅の隣で、新田原基地まではめっちゃ遠かったりするんですよね。 ちなみに基地のほうは 「にゅうたばる」 で、駅は 「しんでんばる」 。 紛らわしいので、よくネタにされます。 で、愛知県には田原市というのがあるので、田原 (たはら) 駅とか新田原 (しんたはら) 駅とかもありそうなんですが、調べてみたら田原駅のほうはありました。ただし所在地は兵庫県加西市田原町。 田原市には豊橋鉄道の三河田原駅というのがあるようです。 その他、JRの紀勢本線には紀伊田原駅、長野の上田電鉄別所線には上田原駅というのもありますな。 前者は普通に 「きいたはら」 で正解のようですが、上田原は “上の田原” ではなくて “上田の原” で、 「うえだはら」 。 福島県の南会津町にある新田原は 「しんでんはら」 と読むみたいだし、長崎県諫早市小長井町新田原は 「しんたばる」 。 日本語、難しいっすなぁ。。。

 ということで、今日は地名について考えてみたいと思います。題して 『致命的に知名度の低い地名の話』 。 いや、普通に知名度の高い地名しか出てこないかも知れませんが、ということで買ってみました、 『日本の地名の意外な由来』 。 日本博学倶楽部って、何だかいかにもつまらないオッサンの集団といった感じで、あまり多くは期待出来そうにもありませんが、¥539 (税込) も投資しちゃった以上、元を取らなければなりません。 さ、頑張りましょう。 中身まで真面目に読むだけの時間はないので、ぱらぱらと中身を見て、気になる地名をいくつかピックアップして、それをテーマにアドリブで話を進めて、収拾がつかなくなったところで適当にオチをつけて、おしまい。 そういう方針でいこうと思うんですが、まずはじめに 「はじめに」 のところに出てくる 「間人」 という地名について検証することにしましょう。 「人間」 ではありません。 航空自衛隊に 「入間基地 (いるまきち) 」 というのがあって、ここの航空祭はとにかく人がたくさん押し寄せるので、別名 「人間墓地 (にんげんぼち) 」 と呼ばれているんですが、「人間」と書いて 「にんげん」 。  となると、 「間人」 は 「げんにん」 と読んでも不思議ではないんですが、そうはならないのが日本語の難しいところ。 じゃ、何と読むのかというと、 「たいざ」 。 読めねいし! …とハメネイ師が憤慨したそうですが、日本人でも難しいのに、イラン人なら尚のこと。 ちなみに 「間人」 というのは聖徳太子のカーチャンの間人皇后に由来する地名なんだそうですな。 蘇我氏と物部氏との抗争を避けるため、丹後半島の片隅に身を寄せたと。 この地に身を寄せて、寄せ鍋を食べたり、寄せて上げるブラを装着したりしたこの間人皇后が 「たいざ皇后」 という名前ならまだ納得がいくんですが、こっちのほうは 「はしひと」 もしくは 「はしうど」 と読むんだそうで、ワケがわかりません。

 間人=はしうど。 分からんでもないですな。 大木凡人=おおきぼんど。 それが認められる以上、 「人=ど」 という読み方は需要せざるを得ません。 「間=はし」 のほうは今ひとつ納得がいかないんですが、 「間人=たいざ」 よりはマシだと思って、諦めるしかありません。 で、どうして 「たいざ」 と読むようになったのかというと、日本博学倶楽部の説だと、ここでいきなり聖徳太子の弟というのが登場します。 で、この弟がいきなり鬼を退治します。 鬼を退治したから 「たいじ→たいざ」 なのかと思ったらそうではなくて、鬼を退治した後、カーチャンの間人皇后と対座したんだそうです。 で、その後、退座したんだそうです。 よって 「間人=たいざ」 。 今ひとつ説得力がありませんな。 一方、 『邪馬台国大研究・ホームーページ』 の ここ を見ると、聖徳太子の弟の出番はなく、無論、鬼を退治するといった見せ場もなく、間人皇后本人が退座した。 それだけの地味な話になってます。 が、この地を去る際、皇后は自らの名をこの地に贈ったが、住民たちは 「恐れ多くて呼び捨てにするなど。」 と、皇后が退座(たいざ)した事にちなんで 「たいざ」 という呼び方にしたとされる。 この部分は何となく説得力がありますな。 呼び捨てが畏れ多いのなら 「はしっち」 とか 「うどぴょん」 とか、そういう方向でもよかったのではないかという気もするんですが、 とまあそんなことで、とりあえず問題解決。

 ということで、次です。 「先斗町」 。 いつだったか、うちの会社の某課長が 「御徒町」 という地名が読めなくて、悩んでいたことがありました。 しばらくしてポンと膝を叩いて、 「ぽんとちょう!」 と、間違った答えを出しておりましたが、おんとちょう→ぽんとちょう。 ま、発想は悪くなかったと思うんですけどね。 ただ 「おんとちょう」 の時点で既に間違っているのが致命的だったりするんですが、御徒町というのも何やらいわくがありそうな地名だったりしますよね。 ということで先斗町よりも先に 「おかちまち」 のほうを片付けておこうと思うんですが、江戸時代、江戸城や将軍の護衛を行う下級武士、つまり騎乗が許可されない武士である御徒 (徒士) が多く住んでいたことに由来する。 ほぉー。 オカピ=鯨偶蹄目キリン科に属する哺乳動物とは、何も関係が無かったんですな。 ま、最初から何か関係があると思っていたわけでは無いんですが、御徒町界隈に世界三大珍獣のひとつが棲息しているとも思えないしー。 近くの上野動物園には棲息していたような気がするんですが、とまあそんなことで、続いて先斗町。 「斗=と」 のほうは極めて普通の読み方なので、問題は 「先=ぽん」 の一点に絞っていいと思うんですが、そもそもどうして 「ぽんとちょう」 などという、微妙に 「フォン・ド・ボー」 っぽい名前が付いたのかというと、ポルトガル語に由来しているんだそうですな。 “ponta” → ポンタ → ぽんと。 そういう事なんだそうです。 そっかぁ。 村上 “PONTA” 秀一って、 「先斗町秀一」 やったんかぁ! 新たな発見にポンと膝を叩きたい気持ちで一杯でありますが、生まれてから4歳半になるまで京都の祇園に預けられ、母親の親友の芸妓 「ポンタ姐さん」 に育てられた。 そういう経歴からすると、あながち間違ってはいませんよね。 で、“PONTA”というのはどういう意味なのかというと、先端。 英語の “POINT” に相当するんだそうです。 先斗町がどういうふうに先端なのかは分かりませんが、先端だから 「先」 という字を使って、先斗町。 無理やり感が漂っているんですが、納得出来ないワケではないので、ま、この辺で手を打っておこうではありませんか。

 で、次。 「太秦」 。 分かっているから普通に読めるんだけれど、知らなければ絶対に読めない。そんな地名ですよね。 小学校の修学旅行で 「映画村」 に行ったことがあるなら、小学生だって読めます。 えいがむら。 正解っ! そっちじゃなくて 「太秦」 のほうが読めるかどうかは本人の資質に関わってくるんですが、学研の 『ムー』 の読者なら大丈夫でしょう。 編集部がネタに困ったとき、切り札のように繰り出してくる頻出ネタ 「秦氏」 に因んだ地名ですからね。 『失われた原始キリスト教徒 「秦氏」 の謎』 『シルクロードから来た謎の渡来人 秦氏の秘教』 と、ムー・スーパー・ミステリー・ブックスだけでも最低2冊は出ているようなんですが、総じて面白くないのが常なので、総力特集が 「秦氏」 だったりすると、心の底からガックリしてしまいます。 最近はあまり読む暇が無いし、暇があっても読む気になれないので、ぜんぜん買ってなかったりするんですが、ちなみに最新号の総力特集は何なのかと思って調べてみたら、 『緊急検証!! 「艮の金神」 大予言2012』 っすか。 総力特集ほどには気合が入ってない2色刷り特集のほうは 『世界の超常現象ファイル2011』 。 その他、 『東日本大震災とタイムスリップ現象の謎』 というのもあるみたいだし、うーん。意外と楽しそう? 大予言の大ハズレっぷりを検証するのって、けっこう楽しいですしね。 少なくとも1回分のネタにはなりそうなので、もし次回が 『ムー』 の話だったりしたら、ネタに困って、せっぱつまってオカルト雑誌に手を出しちゃったものと判断して頂いて結構なんですが、とまあそんなことで、太秦。 シルクロードから来た謎の渡来人 「秦氏」 の中でも、とりわけ太い。 そういうヤツにちなんで、こんな地名が付けられたみたいです。 で、どうしてこれで 「うずまさ」 と読むのかというと、ヤマト政権に税を納める際、絹を 「うず高く積んだ」 ことから。 そんな説があるみたいです。 説得力は今ひとつなんですが、ま、所詮は謎の渡来人のやった事なので、あまり深くは考えないことにして。

 で、次。 「坂祝」。 博学多識な日本博学倶楽部の人たちも知らなかったようで、例の本では何も触れられていないんですが、個人的に気になる地名なので取り上げてみたいと思います。 岐阜にあるんですよね、坂祝。 さ…さかしゅく? もしくは、さかいわい? 普通に考えれば、それくらいしか読み方が思い浮かばないんですが、正しくは 「さかほぎ」 。 難読ですなぁ。 町役場のところにも、難読地名がどうのこうの。 そんな看板が立っています。 僕は隣の美濃加茂市に仕事上の野暮用があった時、よく坂祝のデイリーヤマザキに寄って、焼きたてのパンを買うんですが、 “ナンドック” がお気に入り。 難読地名ならやっぱり “ナンドック” やろ? それが言いたいために、いつも同じパンを買っちゃうんですが、こんなしょうもないネタはもう2度と使えないので、今後は束縛されずに済みそうですなぁ。 ま、普通に美味しいので、今後も買い続けるつもりではいるんですけど。 で、 「坂祝=さかほぎ」 なんですが、言われてみれば何となく納得はいきますよね。 新春を言祝ぐの 「言祝ぐ」 が 「ことほぐ」 なんだから、 「祝=ほぎ」 も、アリかな? そんな気がしますよね。 で、この地名の由来に関しては こんなブログ がありました。 昔、ある武将が戦に勝利し、そこで酒を飲んでお祝いをしたから「酒祝・坂祝(さかほぎ)」(岐阜県加茂郡坂祝町)という地名になった。 ほぉ〜。 物凄く説得力があるし、心の底から 「なるほど」 と納得出来る由来でありますな。 そう思って感心していたら、ストンと落とされてしまったんですが、なるほど、後付けっすか。確かに世の中、そういうものかも知れませんな。 となると、他の話も何だか怪しく思えてくるんですが、 「間人」 とか、たまたま漢字が聖徳太子のカーチャンと同じなので、「昔、この辺に来てたんちゃう?」 みたいな。 「じゃ、なんで “たいざ” って読むねん?」 と突っ込まれて、 「んーと…、それは多分、はしうど皇后が “退座” したからやろ。」 みたいな。 ぜんぜん答えにもなっていないような気がするんですが、ま、それもまた人生。

 で、 「太秦」 なんかも実は、秦氏とは何の関係も無かったりするのかも知れません。 泰葉 ( ← 春風亭小朝を 「金髪豚野郎」 と罵倒 ) が、京都の片隅で聖徳太子と出会って、不純異性交遊の結果、デキちゃった。 そういう史実に基づいた地名だったりするとか。 その子供が 「太秦くん」 だったんですよね。 太子+泰葉=太泰。 父親と母親から一文字ずつ取って子供の名前にするというのは、動物園なんかでもよくある手法ですよね。 カバの “フクコ” と、ロバの “ダイスケ” の間に生まれた子供だから、ババの “フクスケ”。 そんなパターン。 カバとロバとの相の子が “ババ” なのかはともかくとして、ま、ここまではよくある話ですよね。 問題は、 「じゃ、なんで “うずまさ” って読むねん?」 と突っ込まれた時、返答に困ってしまうところにあるんですが、んーと…、それは多分、不純異性交遊の場に、聖徳太子以外に、プロゴルファーのタイガー・ウッズと、プロレスラーのマサ斉藤も居合わせていたからではなかろうかと。 4Pの果てに授かったお子様なので、正直、誰が父親なのかよく分からんわけです。 表面上は太子の子ということにして、でもウッズとマサの子である可能性も否定出来ないので、 「太秦」 と書いて、うっずまさっ! とまあそんなことで、書いているうちに収拾がつかなくなってきたので、オチはないんですが、おちまい♪

 とまあそんなことで、今日はウエス・モンゴメリーです。 ジャズ・ギターがさほど好きではない僕にとっては辛い日々が続いておりますが、ウエスなら大丈夫。 彼ならきっと何とかしてくれると思います。 というか、僕が何とかしなければ何ともならないんですが、何とかしようという気はあります。 ま、それなりに。 ということで 『モンゴメリーランド』 。 僕の持ってるCDではウエスくんのリーダー作っぽい体裁になっているんですが、ジャケットを見る限り、特定のリーダー名は記載されておらず、写真には3人の姿が映っております。 ウエス、バディ、モンクのモンゴメリー3兄弟であるものと思われ、実質的には “モンゴメリー・ブラザーズ” の作品であると判断していいでしょう。 ちなみにウエスくんのメジャー・デビューは1960年なんですが、本作はそれに先立つ58年と59年の吹き込み。 マイナー時代のウエスを知ることが出来る、しるこサンドのような貴重な遺産だったりするわけですが、で、A面とB面、それぞれ1人ずつのサックス奏者がフィーチャーされるという、そういう造りになっております。前半はアルトのポニー・ポインデクスター。 小型のウマ+巨乳なデクスター・ゴードン。 そんな感じの名前だったりするんですが、で、後半はテナーのハロルド・ランド。 ハロルド・ランドがモンゴメリーランドで大活躍。 そんな展開が期待されるですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはウエスくんのオリジナルで、 「モンクス・ショップ」 。 何だか色々と文句を言われそうで、ちょっと嫌な店なんですが、ファンキーな香りのするハード・バピッシュなナンバーで、文句というよりもミンク鯨の店。そんな感じだったりします。それならそれでシーシェパードから文句が出そうなんですが、ギターが主導するテーマ部に続いて、ソロ先発もウエスくんでありますな。 ちょっぴりたどたどしい田所博士っぽいところがあったりもするんですが、この人らしさはそれなりに確立されていて、けっこう頑張ってくれていると評価していいのではなかろうかと。 で、続いて登場するポニーたんのアルトは普通にパーカー派っぽい仕上がりでありますな。 何となく、中間派っぽい古くさいスタイルの持ち主なのではなかろうかと心配していたんですが、これでもう、すっかり安心院。 大分にある地名ですよね、安心院。 これで本当に 「あじむ」 と読んでいいのか、ちょっぴり不安に駆られたりするんですが、で、続いて3兄弟の末弟、バディくんのピアノ・ソロが登場します。 この人はどちらかというとヴァイブ奏者の印象が強いんですが、このアルバムではピアノに専念していて、で、それがなかなかの出来。 ケニー・ドリューっぽいオーソドックスなスタイルは僕に安心感を与えてくれるんですが、安心感と書いて 「あじか」 と読む。そんな地名はどこにもなさそうですね。 で、最後は as → ds → g → ds の4バースでそれなりに盛り上がって、でもって、テーマとは違った感じの合奏パートが出てきて、おしまい。 そんなに長い演奏ではないんですが、なかなかの充実ぶりでありました。

 続いては歌物ナンバーの 「サマータイム」 。 タンバリンなんかも登場する丹波哲郎なアレンジは正直、あまりにも下世話過ぎて評価が分かれるような気がするんですが、ギター主導のテーマに続いて登場するバディくんのピアノ・ソロも、変に張り切り過ぎちゃってるしー。 ま、弾いているうちにそれなりに落ち着きを取り戻してくるんですが、で、続くポニーのアルト・ソロはちょっぴりアーニー・ヘンリー風といった感じでしょうか? 決して変ではないんですが、ヘンリーではあります。 で、その後、ウエスのソロが出てきて、テーマに戻って、おしまい。 超有名曲だけに、普通には演りたくないよねー。 そんな意欲が空回りしちゃった1曲だったと思います。 続いてもスタンダードで、 「フォーリング・イン・ラブ・ウィズ・ラブ」 。 日本語のタイトルは 「恋に恋して」 でありますな。 恋と言えば、あまり役には立たなかった地名の蘊蓄本に 「池鯉鮒」 というのが出てくるんですが、い…、いけこいふな? ではなくて、これで 「ちりゅう」 と読むようです。 今では 「知立」 というすごく普通の漢字になっていて、藤田屋の “大あんまき” の産地として、名古屋圏では広くその名を知られております。 で、演奏のほうはというと、ピアノによるバラード調のテーマが微妙にパウエルっぽくて、なかなか。 で、そこにギターがすぅーっと入って来るという流れも秀逸っすな。 物静かな亀井静香。そんな情緒が感じられるんですが、で、続いてポニーたんのソロがあって、最後にウエスがギターでテーマを弾いて、おしまい。 そこそこ有名な曲を無難に仕上げた。そんな1曲だったと思います。

 続く 「レニー」 はウエスのオリジナル。 エレキベースの呼びかけにピアノ+ギター組が応答するテーマが微妙に 「ソー・ホワット」 だったりするんですが、続いて登場するウエスのソロはブルージー&ファンキーで、ちっともモーダルではなかったりします。個人的にはそのほうが嬉しかったりするんですが、で、続くポインデクスターは微妙にルー・ドナルドソンっぽい吹きっぷりだったりします。 続いてバディ・モンのいい感じのソロがあって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 3分22秒という短い演奏でありましたが、小粋な小品といった感じで、よかったっす。 で、次。 同じくウエスのオリジナルで、 「ファー・ウエス」 。 「遠くにボロ布」 っすか。 ウエスというとどうしても、藤原千秋ちゃんの好きな これ が浮かんでしまうんですが、そういうブルーカラーの人は少なくないと思います。ちなみに現場労働者を意味するブルーカラーって、青色ではなくて 「青い襟」 だったんですな。 青い作業服を着ていることからそう呼ばれているようですが、ちなみに僕はブルーカラーではありません。 アイボリーっぽい色ですからね、僕の作業服。 アイカラーというか、ボリカラーというか、そういうことになろうかと思うんですが、で、この 「ファー・ウエス」 はアレです。 ゆったりしたテンポの気怠い雰囲気の佳曲でありまして、ギターとアルトのユニゾンでテーマを演奏するというアイデアもなかなか。 AABA形式のうち “B” の部はポニーたんが抜ける形になるんですが、その趣向もとっても洒落ていると思います。 で、ソロ先発はウエス。 この人は後にイージーリスニングの世界で世俗的な人気を得たりするんですが、その素性を感じさせる酢醤油。 そんな一面があったりもします。 で、続いてアルトのソロがフィーチャーされて、その後、ピアノが出てきて、最後にもう一度アルトが短く登場して、でもって、テーマに戻って、おしまい。 A面の最後を飾るに相応しい、リラックスした好セッションでありました。

 で、ここからが後半。 ポニーくんの代わりにハロルド・ランドが入り、タイコもルイス・ヘイズからトニー・ベイズリーという人に代わります。 ベイズリーというのがどういう人なのか寡聞にしてよく知らんのですが、恐らくゾウリムシ柄のネクタイとかを愛用しているキャラなのではなかろうかと。 ていうか、よく見たら5曲目から既に後半のセッションに入っていたんですな。 そうとも知らず、何か適当なことを書いてしまったのではないかと危惧しておりますが、面倒なので訂正はしません。反省もしません。各自、 (誤) アルト→ (正) テナー、(誤) ポニーたん→ (正) ランドりん、(誤) A面の最後→ (正) B面の最初…と置換して読んで頂きたいと思うんですが、で、続く6曲目は 「レイラ」 。 これまたウエスのオリジナルです。 この人は譜面がさっぱり読めなかったそうですが、そんなことはお構いなしに普通にいい曲を書いちゃうんですよね。 テナーのギターの絡みで演奏される本作も、しみじみとしたいい感じのバラードに仕上がっておりまして、構成としては “B” の部でテナーが抜けるという点で、先ほどのボロ布ナンバーと似たような趣向だったりはするんですけど。 ただ、ギターのソロの後、セカンド・テーマみたいな合奏パートを持ってくるなど、新機軸も打ち出されていたりもします。 でもって、本テーマに戻って、おしまい。 派手さはないんですが、この後半のセッション、何ともいえないレイジーな雰囲気があって、んー、たまらんっ♪

 で、続いては歌物ナンバーの 「オールド・フォークス」 。 聞かなくても安全パイであることが確約されたようなものなんですが、聞いてみたら実際、安心・安全の源氏パイ。 そういった仕上がり具合でありました。 ウエスがギターでしみじみとテーマを奏でるんですが、カナディアン・ロッキーの雄大さとは好対照な、仮名手本忠臣蔵な日本的なワビサビ。 そういったものを感じさせます。 で、ランド → バディ・モンの順でソロが披露されるんですが、特にピアノの出来が秀逸っすな。転がるようなタッチは土地転がし好きの地上げ屋をも改心させる会心の出来でありまして、大化の改新にして、この上なく総本家貝新。 最後だけ桑名人にしか分からないネタなのがちょっとアレなんですが、最後はウエスがギターできっちり締めてくれております。 オクターブ奏法の萌芽のようなものが覗えるのも、なかなかの萌え要素だったりするんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 で、続いては 「ウエス・チューン」 。 作曲の才能に恵まれたウエスくんも、それに名前を付けるのはちょっと苦手だった模様ですが、ま、ほとんどが適当だったりしますからね、ジャズ・オリジナルのタイトルなんて。 名よりも実。 そういうことなんだと思うんですが、で、この 「ウエスの曲」 はというと、明るく正しい正統派のハード・パップ。 そんな感じの仕上がりだったりします。 ギターとテナーのユニゾンでテーマが演奏された後、ウエス → ランド → バディ・モンの順で、各自の良好なソロがフィーチャーされて、最後は g → ds → ts → ds の4バースで大いに盛り上がって、もって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、B面の最後を飾るに相応しい、リラックスした好セッションでありましたな。

 まだ3曲あるじゃん。 そう思った人がいるかも知れませんが、残りはすべてCD用のオマケなので、適当にあしらっておけば大丈夫。 ということで、まずは 「ヒム・フォー・カール」 なんですが、これはハロルド・ランドのオリジナルでありますな。 名前からして恐らく、カール・パーキンスに捧げられたナンバーではないかと思われるんですが、これがまた、オマケにしておくのが勿体ないような哀愁味に溢れた好ナンバーだったりします。 テーマの後、作曲者特権でランドが最初のソロを取って、以下、ウエ・モン、バディ・モンと続くんですが、いずれもよい出来となっていて、どうしてこれが没になっちゃったのか、理解に苦しむレベルだったりします。 で、続いてはウエスくんが作った 「モンゴメリーランド・ファンク」 。 アルバムのタイトル曲になってもよさそうなネーミングなんですが、ま、所詮はシンプルなリフ・ナンバーなので、軽くあしらわれちゃったのかも知れません。 テーマの後、参加者各位のソロがフィーチャーされて、テナーとギターの眺めのチェイスもあったりして、必要十分に正式発表レベルに達していると思うんですが、さすがに9曲目ともなると、ちょっぴり飽きてきちゃうのも事実。 で、CDの最後を飾るのは 「ストンピン・アット・ザ・サヴォイ」 。 ノリのいいナンバーで、各自の充実したソロを堪能することが出来ます。 ということで、以上です。

【総合評価】

 前半のポインデクスター入りのセッションも悪くないんですが、後半のハロルド・ランド入りのほうは、もっといい感じです。 で、いい感じのほうを後ろに持ってきたおかげで、全体としてのイメージも好感度アップ。 ま、余計なオマケ曲が入ったおかげで、終盤にちょっとダレちゃうのがちょっとアレなんですが、中では 「ヒム・フォー・カール」 が嬉しい追加分でありました。 9曲目までなら完璧な出来だと言えるでしょう。 しかもこれ、 『JAZZ名盤999 BEST&MORE』 シリーズの一環で、お値段はたったの999円♪ 総本家貝新の「あさり時雨」 (80g) 788円よりはちょっと高いんですが、貝よりも断然、こっちのほうが買い。 そんな1枚なのでありました。


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