GOOD FRIDAY BLUES (PACIFIC JAZZ)

THE MODEST JAZZ TRIO (1960/4/1)

GOOD FRIDAY BLUES


【パーソネル】

JIM HALL (g) RED MITCHELL (p) RED KELLY (b)

【収録曲】

(01-03) GOOD FRIDAY BLUES / WILLOW WEEP FOR ME / I REMEMBER YOU
(04-06) BILL NOT PHIL / WHEN I HAVE YOU / I WAS DOIN' ALRIGHT
【解説】 ( 2011年12月18日更新 / 連載 1,011回 )

 月食でしたなー。 日本では11年ぶりの皆既月食で、午後11時前後という、よい子のみんなもちょっと頑張れば起きていられる時間帯。 しかも土曜日だから夜更かししても大丈夫という、絶好の観測条件が整っておりました。 おまけに、ちょうど満月の日に重なったのはこの上なくラッキーでありましたな。 新月の日に皆既月食になってくれたところで、ちっとも嬉しくないですからね。 満月と皆既月食が重なるのって、もしかして1000年に1度くらいの確率なんじゃないっすかね? そう思って調べてみたら、皆既月食というのは満月の時にしか起こらない。 そういうものである事が判明したんですが、理屈はよく分かりません。 天文は専門ではいですからね、僕。 天文よりも肛門のほうが好きになって、そっちのほうに走ってしまったんですが、道を踏み外してしまったのは僕のせいではありません。 さば兄が天才で無かったのが諸悪の根源だったりします。 「天才クイズ」 に出場して、全問正解で見事 “天才賞” に輝いて、賞品として天体望遠鏡を貰ってくる筈だったのに、途中でコケちゃったんですよね、あのオッサン。 いや、当時はまだオッサンではなかったと思うんですが、天才でも秀才でもなく、おまけに敢闘もしなかったんですよね。 ま、敢闘賞の賞品は 「広辞苑」 だったので、敢闘してくれなくてもまったく問題は無いんですが、参加賞以外に貰ってきたのは勝ち組賞の食パン10斤だけでありましたな。 甘食パンよりはマシという程度の、とってもショボい “勝ち組” でありました。

 あの時、天体望遠鏡をゲットしてくれなかったので、変態潜望鏡プレイ好きの大人になってしまった僕でありますが、とまあそんなことで、先週の月食は見ずに終わってしまいました。冬だから寒いし、夜だから眠いし、おまけに暗いしー。 月食が昼間だったら見てもいいかと思っていたんですが、時間帯が悪過ぎました。そもそも月なんてやつはほぼ毎日のように満ちたり欠けたりしているし、月に1度くらいは見えなくなっちゃうので、皆既月食と言われても、そんなに嬉しくないんですよね。 日食と比べると、インパクトがあまりにも低過ぎます。 僕の個人的な 「食」 に関する興味の度合いでいうと、

  日食>>>>>肉食>>>(越えられない壁)>>>草食>月食>甘食

 と、そんな位置関係だったりします。 口の上の裏側のところにくっつくないだけ、甘食パンよりはマシ。 そんなレベル。 でもまあ11年ぶりということなので、ちょっと気になってネット配信で見たりはしました。 思っていたよりも結構なスピードで欠けていくものなんですな。 細くなった時も三日月とはまたちょっと違った感じの欠け具合で、それなりに興味深いものでありました。 ちょっとベランダから外を覗いてみようかと思ったんですが、その前にスマホで位置関係を確認してみることにしました。 ここ の前半の真ん中あたりに登場する Sun Surveyor というアプリ。 こいつがこういう時には役に立ちます。 太陽の位置関係を調べるのに導入したんですが、月にだってちゃんと使えます。 で、早速、カメラを使って月がどの辺りに出ているのかを調べてみたんですが、ほぼ真上なんですな。ベランダから覗いてみたところで観察出来るとは思えないような位置だったので、生で見るのは諦めました。 ネット配信でねっとりと観察することにしたんですが、皆既状態になっても消えちゃうわけではなくて、赤黒く光って見えるんですなー。 パソコンの画面上ながらも、それなりに神秘的な光景でありまして、僕の中で月食の地位が少しだけ上昇しました。 草食以上、肉食未満へと大躍進♪ 次回はちゃんと生で見よう。そう心に決めたんですが、次に日本で皆既月食が観察出来るのは 2014年10月8日の20時頃でありますか。 秋だからそんなに寒くはないだろうし、子供の頃 「8時だよ!全員集合」 を前半までしか見せて貰えず、8時半には布団に入っていた僕でも大丈夫な時間帯。 暗いのだけは我慢しなければなりませんが、いやあ、3年後が待ち遠しいですなぁ。

 が、よく考えたら3年待たなくても、来年、ごっつい天体ショーがありますよね。 そう、 これ です。 5月21日、金冠日食ぅ〜♪ 忘れないように 「キンカン監禁プレイ、ごっつい (5・21) ええ感じ」 と、語呂合わせで覚えておくといいと思うんですが、キンカン監禁プレイというのはアレです。 部屋に閉じこめて身動きできないようにして、全身にキンカンを塗りまくるという、そういうお遊戯です。あんなとこやら、こんなとこ。 ああん、そんなとこまでぇ♪ 刺激が強すぎてちょっぴり危険なので、よい子のみんなは決して真似をしてはいけません。決死の覚悟が必要ですからね。 とまあそれはそうと、今回の金冠日食はトカラ列島の悪石島とか、そんな僻地まで行かなくても、東京、名古屋、大阪といった都市圏でも普通に観測出来るというのがポイントです。 桑名もちゃんと帯の中に入ってます。 ただ、帯の中に入っていればどこでも平等にキンカンなのかと思ったらそうではなくて、中心線に当たる地点ではバランスのいい金の輪っかが見られるんだけど、中心から離れるにつれて黒い部分が中心からずれて、ちょっといびつなキンカンになっちゃうんですな。 横浜、静岡、和歌山県の先端、それと鹿児島あたりだと完璧なんですが、名古屋あたりだと目で見ても分かるくらい片寄りが生じてしまいます。 一生に一度あるかどうかの千載一遇のチャンスなのに、何か無念。 こうなったらもう、中心線を目指す旅に出かるしかないっすかねー?

 うちから近いところとなると静岡あたり。 で、静岡といえば富士山。 ここは是非、富士山とキンカンを絡めた写真をモノにしたいところでありますな。 ちなみに金冠日食が見られる時間帯は午前7時半前後。 日食と言えば何となく、ランチタイムにヤマザキのランチパックを食いながら見るものという印象があったんですが、朝なんっすな。 ま、夜中に日食をやられるよりはぜんぜんマシなんですが、で、その日、その時、太陽はどっちの方角に出ているのかと思って調べてみたら、ほぼ真東となっておりました。 ということは、地図上で富士山から真っ直ぐ左に線を引いてやれば、そのライン上が絶好の撮影スポットということになります。 そっち方面で、どこか景色がよさそうなところが無いかと思って探したら、ちょうどいいのがありました。 田貫湖。 逆さ富士やダイヤモンド富士の撮影スポットとして知られているところでありますな。 日食の時間帯は方位的に太陽がちょうど山のてっぺんに重なるというワケにはいかないんですが、いい感じで富士山と絡めることが出来そうです。 キンカン富士は俺が貰ったぜ! ということで、早速 カシミール というアプリを使って見え具合のシミュレートしてみることにしました。 このソフトはインドのカシミール地方とはあまり関係がなくて、目標となる山が見える範囲を示した地図、いわゆる “可視マップ” を見ることが出来るので、可視ミール。 そういうものだったりするんですが、地図上のある地点に “カメラ” を設置して方向を示してやると、どんな感じで向こうのほうの山が見えるのかをシミュレートしてくれたりもします。 日時指定で太陽の位置も表示させることが出来るので、“日食の友”としては最強のツールと言えるのではなかろうかと。 とまあそんなことで、その結果です。

   2012年5月21日朝、たぬき湖からの富士山見え状況♪ ( ← Click Here!! )

 “S” とあるのがサド、“M” のほうがマゾ…ではなくて、 “Sun” と “Moon” だと思うんですが、時間の経過と共に太陽と月 (←たぶん新月) の距離が近くなって、これが重なると日食が始まるという、そういう仕組みなんでしょう。 それはそれで非常に納得のいく結果で、分かりやすくていいんですが、午前5時40分の段階で太陽はかなり高くなっちゃうんですな。 朝日や夕日の写真を撮る時は必ず地面や水面のところから出たり沈んだりするので、深く考えたことがなかったんですが、日食の場合は太陽の高度も考慮に入れなければならないんですな。盲点でありました。 で、7時半前後の時点で太陽の高度はどうなっちゃっているのかというと、場所によって微妙に変わるんですが 東京:34.1° 静岡:33.0° 名古屋:31.8° 大阪:30.6° 高知:28.9° 鹿児島:26.1°っすか。 一般人の感覚で言うと、あまり大した角度ではないと思われるかも知れませんが、スキー場なら上級コース。手強いです。コケて下腿骨を骨折しちゃっても不思議ではないレベル。 このカシミールの撮影結果は35mm判換算で焦点距離28mmのレンズを使った場合のシュミレートなんですが、7時半の時点では完全にファインダーから太陽は消えちゃいますな。 たぬき湖から富士山までは15.5kmほど離れているようなんですが、33°の高さまで昇った太陽が山の頂上にくるような写真を取るには、もっと山に接近しなければなりません。その距離 (L) はというと、えーと、富士山の高さが 3776m=3.776kmなので

  tan33°=0.649
  3.776km÷L=0.649
∴ L=3.776÷0.649=5.818km

 富士山の山頂から6キロ弱の地点っすか。 よくは分かりませんが、これってもしかして、既に富士山の何合目だかまで登山している途中だったりするんじゃないっすかね? 標高でいうと1370mくらいになってる感じだし、となると富士山との標高差は2400mくらいになるから計算し直しということになって、えーい、わからんっ! 富士山は面倒だから、やめるっ! ということで、作戦変更。 人工の建造物であればすぐ根元まで接近することが出来るので、太陽の高度が高くても何とか絡めることが出来そうなんですが、建造物と聞いてまず最初に頭に浮かぶのは丹下健三なんですが、キンカン東京都庁とか、いいかもー? が、東京にはもっと旬のものがありますよね。 そう、東京スカイツリー。 故意か偶然か、スカイツリーの開業日は日食の翌日だったりするので、金環スカイツリーを狙っている人は少なくないに違いありません。 ブログとかを見ても、日食がスカイツリーの先っちょと重なって見えるに違いない地点を突き止めた! そんな記述がちらほら見られます。 が、そいつらは決まって、具体的な地点を書いてくれてはいません。 人に知られて、とっておきのスポットを荒らされては困る。 そんな了見の狭い奴らばかりで嫌になっちゃいますな。 その点、僕はとっても心が広いので大丈夫です。 例えその地点に日食ヲタが押し寄せるような事態になったとしても、場所を公表することで 『塩サバ通信』 のサイトのアクセス数が増えるのであれば、魂だって売っちゃうぜ! ということで、さ、計算してみましょう。 東京での太陽の高さは34.1°で、スカイツリーの高さは 634m=0.634kmなので

  tan34.1°=0.677
  0.634km÷L=0.677
∴ L=0.634÷0.677=0.936km

 ずばり、最高の撮影スポットは ここ っす! 隅田川の流れと、天に聳えるスカイツリー。 そしてキンカン。 完璧っすな♪ ま、僕の計算が合っていればの話なんですが、珠算は4級で挫折しちゃったし、三角関数は超苦手だったし、三角関係に悩むほどギャルから相手にされることもなかったし、今ひとつ自信は無かったりするんですけど。 で、このところ太陽の位置関係ばかりが気になるようになりました。 で、今の時期 (12月中旬) 、太陽が以外と低いところにあることに気付いたんですが、調べてみると昼間のいちばん高くなる時で、ちょうど30°くらいなんですな。 夏場だとほぼ真上まで昇るのに、季節によってこれ程まで高さが変わるというのは、知識としては知っていたんですが、ちょっぴり新鮮な驚き。 こんな低いところにまでしか日が昇らないようでは、寒い筈ですよね。昼の時間もめっちゃ短いし−。 そういえば 12月22日が冬至なんですよね。 朝の7時半には30°まで太陽が昇っちゃう5月がくるのが待ち遠しいんですが、日食の時の太陽の高さをイメージするには、今の時期の真っ昼間に見ておけばいいということになります。 ただし方角は真南なので、本番とは90°違うということを頭に入れておきましょう。 ということで、これでキンカン撮影のロケーション選びは完璧ですな。

 が、日食について更に調べを進めているうちに、微妙にテンションが下がってきちゃいました。 金環日食って、ほぼ皆既日食だよね。 そのような認識のもとでワクテカしていたんですが、実際のところは部分日食の一種。 その程度のものだったりするみたいです。 皆既日食の時は夜のように暗くなるんですが、キンカンの場合は普通に昼間らしいんですよね。 太陽の95%くらいが陰に隠れるので、光量は1/20くらいになっちゃうんですが、人間の目のほうが慣れちゃって景色とかも普通に見えちゃうんだとか。 カメラでも絞り1〜2段分くらい暗くなる程度で、普通に風景が撮れちゃうみたいです。 で、太陽そのものを撮影するには “ND-100000” という、光の透過を 1/100000にまで減らす特殊なフィルターが必要となります。 これ ですな。 フィルター径77mmで定価 15,480円。 高っ! ま、実売価格はステップアップリングを含めて1万円ちょいだったんですが、それでも、高っ! ま、買いましたけどね。 貝増 で 蛤[150g]/あさり[250g]/昆布[250g] の 「ご贈答セット」 を2つ買います。 …という無駄遣いに比べれば、個人的には納得のいく出費なので、悔いは無いっす。 「金環日食撮影ガイド」 も付いてきたし、日食直前になると超品薄になって、ヤフオクなんかで超ぼったくり価格になるのは目に見えているので、早めに手を打っておいて大正解。 で、このフィルターを装着して、カメラのほうはどのような設定にすればいいのかというと、食分95%の金環日食の場合、ISO100、絞りが F5.6の時のシャッタースピードの目安は 1/250秒。 光の透過を 1/100000に減らすフィルターを付けてこの設定って、もしかして富士山とかスカイツリーとか、真っ暗けで何も写らなかったりするとか??? 金環と風景の両方を写すのって、どう考えても無理っすよね? いやあ、いろいろと計算するだけ、まったくの無駄でありましたなぁ。。。 とまあそんなことで、旅に出るのはヤメにして、会社にいく途中、どこか適当にその辺で太陽だけを写すことになるのではなかろうかと。 ちなみに今後、日本で観測出来る日食のスケジュールは以下のようになっております。

年 月 日 札幌 仙台 東京 桑名 大阪 広島 福岡 那覇
2012/05/21 0.840 0.929 0.969 0.949 0.944 0.919 0.913 0.901
2016/03/09 0.128 0.217 0.259 0.237 0.232 0.206 0.202 0.335
2019/01/06 0.539 0.469 0.422 0.392 0.378 0.349 0.318 0.143
2019/12/26 0.264 0.348 0.389 0.372 0.369 0.347 0.345 0.474
2020/06/21 0.291 0.401 0.417 0.517 0.538 0.578 0.619 0.838
2023/04/20 ---- ---- ---- ---- ---- ---- ---- 0.149
2030/06/01 0.958 0.859 0.795 0.753 0.733 0.697 0.659 0.458
2023/04/20 ---- ---- ---- ---- ---- ---- ---- 0.159
2032/11/03 0.632 0.554 0.511 0.511 0.508 0.511 0.501 0.358
2035/09/02 0.814 0.954 0.992 0.949 0.929 0.899 0.862 0.614

 数字は “食分” と呼ばれる数値で、数字が1に近いほど食われる割合が大きくなります。 1.0で完食、0.5で半食い、0.2でつまみ食い程度。 のところが金環日食なんですが、2035年9月2日の東京は食分が “0.992” であるにも関わらず、金環ではなくて、ただの部分日食なんですな。 中心が微妙にずれていて、輪っかのほんの一部分が切れちゃうみたいです。 こうしてみると、金環日食というのはやはり、けっこうレアなものなんですな。 で、2035年9月2日はこの分だと、日本のどこかで皆既日食が観察されても不思議ではなさそうですよね。 ちなみにこのデータは つるちゃんの日食ソフト というので調べたものなんですが、つるちゃんの皆既日食に関する情報が ここ にあります。 能登半島から長野、前橋、宇都宮、水戸といったあたりは皆既っちゃうんですな。 もうすこし詳しい地図でいうと、 これ 。 能登半島や富山のあたりだと海から昇る日の出と皆既日食で、1日に2回楽しめそうで、いいっすよね。 行くぜ! 泊まりがけで行くぜ!! さば君、67歳。 ま、その頃まで生きているかどうかは微妙なんですが、で、撮影用以外に、肉眼で見るためのグッズも用意しなければなりませんな。 この時 に買った “日食かもめがね” は既にどっかにいっちゃったしー。 間際になると品切れになる可能性が高いので、今のうちにポチっておいたほうがいいっすよねー。 が、あまり早く買い過ぎるとまた無くしちゃう恐れがあるので、念のため2個買うことにしました。 来年の5月は地元で観察するつもりなんですが、 「さばクンと一緒に金環を見たいナ♪」 というギャルがおられましたら喜んで出張致しますので、お気軽に申し出て下さい。 “日食はなめがね” を進呈致します。 オプションで “キンカン監禁ぷれい♪” も付けますので、ヨロシク☆

 ということで、今日はザ・モデスト・ジャズ・トリオです。 「ザ・適度なジャズ3人組」 っすか。 聞いたことのないコンボっすな。 恐らく、恒久的に活動していたワケでなく、この 『グッド・フライデイ・ブルース』 というアルバムを吹き込むにあたって、臨時で結成された “でっちあげバンド” ではないかと思われるんですが、メンバー構成のほうはジム・ホールレッド・ミッチェルレッド・ケリーとなっております。 ジムくんが実質的なリーダーであるもの判断して、ギター編で取り上げることにしたんですが、で、これ、パーソネルのところに “RED MITCHELL - PIANO” と書いてあったりするんですよね。 レッド・ミッチェルはベースやろ? 間違ってるやんっ! そんなふうに思ってしまった僕でありますが、別に間違ってはいませんでした。 余興でピアノも弾いちゃうみたいなんですよね、赤ミッチェル。 で、ベースのほうは赤ケリーという人が担当しているようでありまして、とまあそんなことで、1曲目です。

 まずはアルバム・タイトル曲の 「グッド・フライデイ・ブルース」 。 「いい金曜日のブルース」 っすか。 金曜日というのは翌日からお休みになる人が多いので、確かに “いい曜日” だったりするんですが、で、日曜日の夕方が来るとブルーになったりしますよね。 ちなみに僕の場合、日曜日の夜というのは、この原稿が書き上がって、ジャケ絵が仕上がってさえすれば、ほっと一息つける時間帯だったりするんですが、で、今日の3人組はアレですな。 先週 のモンゴメリー兄弟のように、3人揃って全身で写真に登場するような愚行を犯していなくて、立派ですな。おかげで気が楽です。欲を言えばカモメっぽい鳥は3匹だけでよかったような気もするんですが、で、演奏のほうはアレです。落ち着いた感じのブルースに仕上がっております。 作曲したのはレッド・ミッチェルで、このセッションが金曜日の夜に挙行されたのでこんなタイトルを付けたみたいです。 田舎っぽい雰囲気が都会派の僕の趣向には今ひとつマッチしないんですが、ジム・ホール、赤ミッチェル、赤ケリーの順で、各自、寛ぎまくったアドリブが展開されております。 中でもミッチェルのピアノはとても余技とは思えないようなレベルに達していて、新春かくし芸大会でも十分に食っていけるレベル。 ジャズ界の堺正章と言っていいかも知れませんが、なんでかフラメンコっぽくはないので、堺すすむの域には達していないんですけど。 で、最後は g→p→g→p の4バースで地味に盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ま、適度に手頃な感じで、悪くはなかったと評価していいのではないかと思います。

 で、次。 歌物ナンバーの 「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」 。 日本名 「柳よ泣いておくれ」 でありますな。 いつも思うんですが、柳のような日本的情緒に溢れた樹木を洋楽の世界に持ち込むのは間違っているような気がして、今ひとつ好きにはなれない曲だったりします。 柳ジョージの 「雨に泣いてる」 のほうが、よっぽどマシ。 ま、雨で無くて柳が泣くほうも、ジャズ・バラードの素材としては悪くない選択だとは思うんですが、ギター、ピアノ、ベースの順で、各自のブルージーなアドリブが展開されたりはしております。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ということで、次。  「アイ・リメンバー・ユー」 。 これまたお馴染みの歌モノなんですが、今度はピアノがテーマを主導していて、ちょっぴり変化を付けてきてくれましたな。 そうでもしれくれないと、ほとんど書くことがないまま終わってしまうところだったんですが、ヴィクター・シャーツィンガーが映画のために書いた 「アイ・リメンバー・ユー」 はビ・バップ以降、ジャズ演奏の素材としてしばしばとりあげられている。メンバーたちにとっても、何度となくプレイしてきたこの曲。ここでは3人のソロを存分にフィーチャーしながらも、スマートにまとめあげている。 そう、日本語ライナーで岡崎正通クンが書いている通りの演奏が展開されております。僕が付け加えるようなことは特にありません。 強いて言うなら、 ヴィクター・シャーツィンガーって、ローマ字仮名漢字変換しにくいやんっ!…という苦情を追記するくらいなんですが、ギター、ピアノ、ベースの順で各自の歌心に富んだアドリブが展開されて、最後は3者の掛け合いでそれなりに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 そういった展開でありました。 決して派手さはないんですが、その代わりに地味で、ま、これはこれでアレなのかも知れません。

 ということで、ここからが後半です。 全部で6曲入りという節度を保った構成なので、僕としても気が楽なんですが、あまりにも書くことがなさ過ぎて、場が持たない恐れは多分にあるんですけど。 で、 「ビル・ノット・フィル」 。 ウディ・ハーマン楽団などで活躍したトロンボーン奏者、ビル・ハリスの作品。ハリス自身によってもヴァーブに吹き込まれているスインギーなナンバーで、簡潔なアレンジがほどこされているあたりが、やはりこのトリオらしい。 そう、岡崎クンが書いている通りの演奏が展開されております。 このパターンを使えるのも2度が限度なので、この先、どうやって間を持たせればいいのか、考えただけでも気が重くなっちゃうんですが、で、この 「ビル・ノット・フィル」 はアレです。 ギターとピアノのユニゾンでテーマが演奏されていて、今までとはちょっぴり変化が付けられておりますな。 岡崎くんが言うほどスインギーではなくて、どちらかというとコスイギン。 そんな感じだったりするんですが、昔、ソ連の首相をやってましたよね、コスイギン。 小さな水銀っぽくて、微妙に毒性がありそうなネーミングなんですが、で、アドリブ・パートに入るといつも通りのまったりとした演奏が繰り広げられていて、毒にも薬にもならん。 そんな空気が漂い始めているような気がしないでもありません。 毒と言えば、よく “ドクトリン” という言葉を耳にするんですが、どういうものなんすかね? 小林製薬の解毒薬? とか言ってるうちに、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。  「ホエン・アイ・ハブ・ユー」 。 ハブだけに毒蛇のような危ない世界が期待されたんですが、普通に綺麗なバラードだったりしております。 テーマ部はピアノ主体、ソロ先発はジム・ホール。 で、以下、ミッチェルとケリーの両レッドのソロがフィーチャーされて、テーマに戻って、おしまい。 とまあそんなことで、ラストっす。 もはや、間を持たせようという努力さえ放棄しちゃったんですが、放棄と言えば、よく民衆が 「ほうき」 したりしますよね。 みんなで箒を持って掃除するのかと思って感心してたらそうではなくて、みんなで蜂起して暴れまくる。 そういう行事だったんですな。 ひとつ賢くなったところで、ラストです。  「アイ・ワズ・ドゥーイン・オールライト」 。 デクスター・ゴードンが似たような名前の曲を演っているのでソレなのかと思ったら、何だか違ったアレであるように思えるんですが、スインギーな小唄といった感じで、ま、悪くないのではなかろうかと。 各自のソロも平等にフィーチャーされていて、とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 超モデラートな演奏でありましたな。 レッド・ミッチェルのピアノが予想以上に達者だったのは思わぬ拾い物でありましたが、敢えてリーダーを特定しないという方針が裏目に出て、悪平等的に全曲でベースのソロがフィーチャーされちゃったりとか、いろいろと問題も生じております。 全般的にやや一本調子な感は否めませんが、ザ・適度なジャズ感はそこそこ味わえるので、ま、それなりかと。 で、今ふと気付いたんですが、 “THE MODEST JAZZ TRIO” という名前はもしかして、 “THE MODERN JAZZ QUARTET” のもじり? M.J.Q.好きの人なら、もしかしたら、こっちのM.J.T.のほうも大丈夫かも知れない。 そんな気がしないでもない、そんな1枚なのでありました。


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