RELAXIN’ (PRESTIGE)

MILES DAVIS (1956/5/11,10/26)

RELAXIN'


【パーソネル】

MILES DAVIS (tp) JOHN COLTRANE (ts) RED GARLAND (p)
PAUL CHAMBERS (b) PHILLY JOE JONES (ds)

【収録曲】

(01-03) IF I WERE A BELL / YOU'RE MY EVERYTHING / I COULD WRITE A BOOK
(04-06) OLEO / IT COULD HAPPEN TO YOU / WOODY'N YOU

【解説】 (2009年07月05日更新)

 7月ですなぁ。 7月になると色んなことを思い出すんですが、まずはこの原稿がアップされるであろう、7月5日。 小学5年生だった頃のこの日、家が火事で燃えました。全焼でした。携帯用の便器とか、いくつか焼け残ったものもあったので、全焼ではなくて半焼なのではないか?…と思ったんですが、50%以上燃えたら全焼なんだそうですね。子供の頃、そんな話を聞いたような記憶があります。 間違っているといけないので、オトナになった今の時点で念のために調べてみたところ、対象建物の70%以上を焼損した場合が全焼であると書かれていました。間違ってるやん! 間違った知識のままオトナになってしまったようなんですが、ま、41歳の時点で間違いに気付いたのは不幸中の幸いでありました。 それ未満であっても、残存部分に補修を加えても再使用できない場合は全焼とする。…という補足もあるようですが、僕の家はどうでしたかね? 最初から建て直したのか、それとも残存部分に補修を加えて再使用したのか、当時まだ子供だった僕にはよく分からんのですが、焼け残ったのは便器くらいのものだったので、70%以上を焼損という条件はクリアしたのかも知れません。 全焼でした。そう言い切っても、あながち間違いではない気がします。 ちなみに半焼の下に “部分焼” というカテゴリーもあるんですな。20%未満の焼損がこれに該当するようなんですが、何とも中途半端な感じのするネーミングでありますな。部外者から 「もっとちゃんと焼けよ!」 と、不謹慎な発言をされるかも知れないし、その筋の人から 「生焼けやんけ!」 と、インネンをつけられる恐れもあります。 ま、当事者にしてみれば、 「ぼやで済んで、よかった♪」 と、ほっと胸を撫で下ろすところでしょうが、当時、まだ坊やだった僕としては、 “ぼや” で終わると思っていた火事が思わぬ大事になって、明日からしばらく学校に行かなくてもよくて、ラッキー♪ …みたいな。 いや、お見舞いに来た担任のナカヒロ先生 (←おばはん) から、「教科書も何に持ってこなくていいから、明日は学校に来てネ♪」 と言われて、すごくショックだったんですけど。

 で、次。7月7日。 小学生だった頃、この日は学校で “七夕集会” というのが行なわれました。卒業文集を見たら、誰かが間違って “夕七集会” と書いていて、そりゃ、 “ゆうひち集会” やがな!…とツッコミを入れたことを思い出します。 で、その翌日の7月8日。うちで飼っていた黒猫のクロコがお亡くなりになってしまった日です。当時のことを思い出すと、哀しくて、辛くて、涙が出ちゃうので、あまり思い出さないようにしているんですが、かと言って忘れてしまってはいけませんからね。クロコの命日は “ナハの日” という事で、記憶に留めるようにしております。 せんだみつおが沖縄の那覇で、ナハナハ♪…みたいな。 で、更に2日後の7月10日。 この日は “納豆の日” でありますな。誰がそんなことを決めたのかというと、関西納豆工業共同組合が決めました。納豆なのに関西というのがちょっと意外なんですが、関西での納豆の消費拡大のために制定されたみたいです。その後、1992年になって、全国納豆工業協同組合連合会によって正式に認可されたようですが、いくら納豆のよさをアピールして貰ったところで、まったく食べる気にはなれないんですけどね、納豆。 穴守稲荷駅の近くの “ホテル梅月” というところに泊まったら朝食に納豆が出てきて、 「納豆はちょっと…」 と言ったら、食堂のおばはんに 「納豆はなっとうもならんか。」 と言われたのを思い出します。

 とまあ、7月の前半は思い出すことが立て込んでいて、ちょっとしたラッシュ状態なんですが、10日以降になると、特にこれと言った出来事は何もありませんな。 強いて言えば、 “海の日” にウニを食べると言う習慣がなくて、よかったな♪…ということくらいなんですが、あまり好きではありませんからね、ウニ。 あまり好きでないと言えば、子供の頃はウナギがさほど好きではなくて、7月の下旬だったり、年によっては8月の初めだったりする “土用の丑” というのもちっとも嬉しくなかったんですが、土用の丑は、牛を食う日にしろって!…と、ウナギ嫌いで牛肉好きの子供なら、誰もが言いそうなことを思っておりました。 幸い、オトナになったら普通にウナギ好きになったので、平賀源内の発案はなかなかよかったと思えるようになったんですが、とまあそんなことで、7月のお話は以上です。

 …と、例年ならここでネタに詰まっちゃうところなんですが、でも、今年の7月は大丈夫。 ちゃんと終盤にも盛り上がりが用意されております。 あ、そういえば7月の下旬には桑名の花火大会があるやん♪…というのを忘れておりましたが、去年はNTNが2尺玉を8発もブチ上げてくれて、近年稀に見る盛り上がりでありましたなぁ。 が、今年は不況の煽りで、アオリイカが寿司屋ではあまり売れなくなっているらしく、 ホテルの布団部屋 によると、桑名の花火も 4000万ぐらいの予算が 3000万に縮減。大きなスポンサーも諸事情で無くなっちゃうんだそうで。 大きなスポンサーって、も、もしかして、キッチン寿? …って、んなもんが撤退したところで、さほどダメージは大きくないんですが、もしNTNだったりしたら、ショックがでかいですなぁ。 ま、あの “ふくろい遠州の花火” さえ中止に追い込まれた程なので、開催してくれるだけでも有難いと思わなければなりませんが、今年の桑名の花火はしょぼいかも知れません。 となると、楽しみは7月22日だけということになっちゃうかも知れませんが、今年、日本でも見られるんですよね、日蝕

 世間では “日食” という漢字が使われているようですが、これだと何だか “毎日の給食” みたいで、あまり有り難味が感じられません。食が細くて、おかずを食べきれず、毎日が苦痛以外の何物でもなかった小学生時代を思い出して、辛い気分になったりもします。ここはやはり “日蝕” という、難しいほうの漢字を使いたいところなんですが、今年は日本でも皆既日蝕が見られるんだそうですな。日本のどこにいけば見られるのかと思ったら、奄美大島北部、トカラ列島、屋久島、種子島南部といったあたりまで行けば、見られるんだそうです。その辺で簡単に見られるのかと思ったら、トカラ列島の悪石島とか、そんな悪い石がごろごろ転がっていそうなところまで行かねばならんのですな。ちょっと残念です。そんなところに行って、石につまづいてコケたりしたら、どうしてくれる?…と思わずにはいられなくて、皆既日蝕は断念することにしました。 別にそんな変なところに行かなくたって、 『塩サバ通信』 の奄美オフを兼ねて、奄美大島でいいぢゃん。…と思われるかも知れませんが、今年の7月22日に奄美大島の北部で皆既日蝕が見られることを知ったのは、ついこの前のことですからね。心構えをするだけの時間がありませんでした。 皆既でなくて部分日蝕なら日本のどこでも見れるそうなので、全焼とはいかなくても “部分焼” くらいで、今回は手を打っておこうと思います。

  “部分焼” と言っても、ぼや程度では 「もっとちゃんと焼けよ!」 と文句を言いたくなるに違いありませんが、果たして桑名のあたりではどれくらい欠けるんですかね? 気になるので調べてみました。 専門分野だけに 国立天文台のサイト が詳しいみたいです。 福岡で 90%、京都で 80%、東京で 75% と、このあたりまでが火事で言うところの全焼エリア。 仙台で 65%、札幌で 50%と、北のほうでも余裕で半焼は確保されるみたいです。意外といけるやん♪ 桑名だと京都と東京の中間で、京都寄りということになるので、ま、 78%といったところですかね? 部分日食、ナハナハ♪…と覚えておけばよさそうですが、で、時間はというと、欠け始めるのが午前10時前、食の最大が11時過ぎ、元に戻るのが12時半頃でありますか。この日は水曜日なんですが、半日は仕事になりませんな、こりゃ。 サボって観察に励むしかないんですが、よりによって、どうしてこんな真っ昼間から日蝕をやるんでしょうね? サラリーマンの都合を考えて、夜の8時くらいから日蝕をやってくれれば真面目に仕事に取り組むことが出来るのに、主催者側に配慮が認められない以上、仕方がありません。 子供の頃に一度だけ部分日蝕を見たことがあるんですが、その時もやはり昼間だったような気がします。月蝕はちゃんと夜にやっていて、しかも肉眼で見ることが出来るので、何かと楽なんですが、日蝕観察には道具がいるので大変ですよね。 黒い下敷とか、煤をつけたガラス板とかを使うんですよね? 子供の頃はスーパーカー下敷しか持っていなかったので、慌てて黒い下敷を買いに走った記憶があるんですが、オトナになった今も、下敷などまったく使わなくなりましたからな。直前になって慌てないように、今のうちに黒い下敷を用意しておかなければなりません。

 先ほどの国立天文台のサイトの下のほうに “日食を観察する方法” というのがあるんですが、ん? 下敷きやCDを使う、すすをつけたガラス板を使う…というのは、目を痛めますので 絶対にやってはいけません!? めっちゃ赤い字で、しかも大きなフォントで書かれておりますな。 子供の頃、間違いなく、すすをつけたガラス板や黒い下敷を使えと教えられたんですが、もしかして間違った知識を身につけたままオトナになっちゃったとか? 僕の青春を返せ!…と思わずにはいられませんが、安全な観察方法として、ピンホールを使ったり、木もれ日を見たりという方法が紹介されております。 そりゃ、確かに目を傷める心配はないでしょうが、そんな地味な観察方法、僕はやだっ! 直接、太陽を見てやるぅ!! 専用の日食グラスを使えば大丈夫ということなので、こりゃ、買うしかありませんな。 ということで、ポチってしまいました、 日食かもめがね ♪ いやあ、なかなかキュートなネーミングですな。 姉妹品として “越冬つばめがね” というのも作って貰えればペアで揃えるところなんですが、ま、 “越冬めがね” なんか買ったところで、どういう時に使えばいいのかよく分からないので、いらないと言えばいらないんですけど。

 せっかくの機会なので肉眼で見るだけでなく、写真にも撮っておきたいところですよね。レンズを直接、太陽の光に向けるのは危険だと思うので、恐らく “日食かめがね” といったカメラ用メガネが必要になってくると思うんですが、調べてみたらありました。日食撮影用フィルター PRO ND10000 。 76X76mm(3インチ) 希望小売価格(税別) ¥17,500 …って、高っ!めっちゃ高っ! 今の世の中、そんな希望小売価格でモノが売れるほど甘くはないという事を、ケンコーに思い知らせてやらねばなりませんが、もういいっ!日食の写真なんか、撮らないっ!木もれ日の写真を撮るから、いいっ! それだけ投資したところで当日、曇ったり雨が降ったりしたら、アウトですもんね。もし駄目だったら、次回、日本で皆既日蝕が見られるのはいつなんですかね? えーと、2035年9月2日? サバくん、67歳。下手すると死んじゃってるかも知れませんな。 あ、でも “金環食” でいいのなら 2012年5月21日に見られるんですな。見られる地域もトカラ列島、屋久島、種子島、九州・四国・近畿・中部・東北の一部、関東の大部分などとなっていて、わりと手近に観察出来そうです。 先生!俺、皆既食は捨てるよ!3年後の金環食に賭けるよ! とまあそんなことで、今年の7月はどうでもよくなってしまったので、今日のお話はおしまい。

 ということで、今日はマイルス・デイビスです。とまあそれはそうと、死んじゃいましたなぁ、マイケル・ジャクソン。僕の頭の中では何となく、マイルスとマイケルとがオーバーラップしているんですが、とまあそんなことで、今日は 『リラクシン』 というアルバムを紹介してみたいと思います。マイケルについて語ろうと思ったら、特に何の思い出も無かったことに気付いたので、すぐ本題に戻ったんですが、マイケルはあまり聴いたことがない僕も、マイルスのアルバムはわりとたくさん持っています。選択肢はいくつもあったんですが、その中から敢えてこの1枚を選んだのは言うまでもなく、ジャケ絵を書くのが簡単そうだったから。それだけの理由です。このジャケット、いいですなぁ。めっちゃリラックスしてますもんね。胸のところに逆三角形が2つあるところを見ると、モデルはギャルなのではないかと推測されるんですが、なかなかいいプロポーションしてますよね。ウエストなんか極限までくびれていて、たまりませんな、こりゃ。スカートも超ミニで、パンツが見えそうになっておりますが、いや、パンツは見えませんか。パンツ、穿いてなさそうですもんね、これ。ノーパンのほうがリラックス出来るのぉ♪ そういうことなのかも知れませんが、僕の場合、パンツを穿いてないと、かえって落ち着かなかったりするんですけどね。 とまあそんなことで、では演奏を聴いてみることにしましょうかぁ。

 1曲目、 「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」 。 もし私が鳥ならば、あなたのところに飛んでいけるのにぃ。…という例文はよく目にするんですが、 「もし私が鐘ならば」 。そんなものになって、どうしようと言うんですかね? ワケのわからん物になりたがるという点では、柏原芳恵に匹敵するものがあるんですが、出来ることなら、生まれ変われるなら、私こんな可愛いカップになりたい♪…って、そんなもんになって、どうする? 熱い紅茶とか入れられたら、ただ熱いだけで、何のメリットもないような気がするんですけどね。 かと思えば2番の歌詞では、出来ることなら、生まれ変われるなら、私、春の綺麗な夕日になりたい♪…と、スケールだけは大きいものの、やはり、意味のよく分からん物になりたがっております。カップになる夢は、どうした? げに、アメリカ人と柏原芳恵だけは理解不能なんですが、演奏のほうはというと、日本人にも普通に分かりやすいものとなっております。 マイルス、何か喋る → 指パッチン → ピアノによるキン・コン・カン・コン、カン・コン・キン・コン♪…という導入部があまりにも有名なんですが、いやあ、改めて聴き直してみると、いいですな、こりゃ。 この出だしにリラクシンさが集約されていると言ってよく、でもって、テーマ部はマイルスのミュートでありますか。いいですよね、ミュート。 カラオケのマイク用のやつもありますよね。 これ ですか。うちのおかんに頼まれて買ったのはいいものの、果たしてちゃんと使っているのかどうか、甚だ疑問だったりするんですが、マイルスはミュートを完璧に使いこなしていて、立派です。

 テーマからそのままマイルスのソロへと流れて、でもって、ここで満を持してコルトレーンが登場。 正直、この時代のコルトレーンは、ただ勢いだけやん!…といった感じで、さほど上手いとも思えないんですが、懸命さだけは伝わってくるので、これはこれでいいと思います。 で、続くガーランドのソロはというと、これは実に、お上手ですな。 甘すぎると辛口の評価を下す人もいるかも知れませんが、彼自身のトリオによる演奏を凌ぐ、スケールの大きいアイディアで聞き手を魅了する。…と、日本語ライナーで栗村政昭クン (←誰?) が誉めているように、よく出来ていると思います。栗村クンの言ってることは正しいです。ガーランドのソロが、マイルスの傘下にある時と、自己のトリオで演奏する時とで、ガラリと風格を変えて聞こえるという説の好例となろう。…とも書いてあるんですが、それはちょっとどうかという気がします。ガラリとまでは変わらんですよね。ガリ (←生姜) と下痢 (←腹くだし) 程度の差異だと思うんですが、ま、ここでの彼のソロが立派であるというのは間違いなく、もともとマイルス・グループのレパートリーにこの曲を持ち込んだのはガーランドらしいですからね。好きな曲なだけに、隙のない演奏であると言えましょう。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 2曲目、 「ユー・アー・マイ・エブリシング」 。  「あなたは私のすべてです」 ですか。 “すべて” というと僕は “酢豚” と “すべた” を思い浮かべてしまうんですが、  「あなたは私の酢豚です」 ならまだしも、  「あなたは私のすべたです」 では、ちょっとひど過ぎます。口が滑っても 「すべた」 などと言ってはいけませんが、で、これ、1曲目以上に出だしの演出が凝っておりますな。マイルスが軽くトランペットを鳴らし、プロデューサーと何やら打ち合わせをして、で、ガーランドがシングルトーンでイントロを弾き始めたな。…と思ったら 「ひゅっ♪」 という口笛で中断させられて、何やらマイルスからの指示が与えられます。それを聞いたガーランドは、今度はブロックコードでイントロを弾いて…って、いいっ♪ この雰囲気、もう、最高っ♪ で、ミュートでテーマを吹くマイルスが、これまた絶品っ♪ いや、あまりにも “♪まーく” を乱発し過ぎて、レビューがアホっぽくなってしまいましたが、無駄を極限まで省いた、研ぎ澄まされた都議会選挙のようなマイルスのバラードは、しみじみと心にしみます。 と同時に、カラシ醤油が口内炎にしみます。僕は口内炎が出来やすい体質で、今も下唇の左のほうに出来ているんですが、シューマイを食べるのが、しみじみツライです。 で、途中、コルトレーンのソロがフィーチャーされるんですが、この時代のトレーンも、バラードに限れば悪くないですな。 マイルスに比べればフレージングに装飾が多いんですが、クドいという程ではありません。決して上手くはないんですが、人間味が感じられて、これはこれでいいと思います。 ということで、最後にマイルスが出てきて、おしまい。 マイルスは結局、テーマしか吹いていないんですが、にも関わらず、どうしようもなくマイルスの世界になっちゃってるところが、けっこう凄いです。

 で、次。 「アイ・クッド・ライト・ア・ブック」 。 君の素晴らしさを本に書きたい。そういった内容の歌ではなかったかと思うんですが、そんな本、誰も読みたいとは思わないに違いないんですけど。勝手にメールにでも書いてればいいと思うんですが、演奏ルーティンは 「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」 と同じで、これこそワン・テイクで終わったに違いないと、確信を持っていいきれるような、余裕たっぷりな演奏となっている。…と、栗村クンが書いている通りの演奏が展開されております。ワン・テイクで終わったに違いないと、確信を持っていいきれますかぁ。マラソン・セッションですからなぁ。マラソン・セッションというのがどういうものなのか、説明するのは面倒なので、知らない人は自分で調べてくださいね。 恐らく“マイルス マラソン” でググれば出てくると思うんですが、更に省略して“マイルス マラ” とかにしちゃうと変なサイトが引っ掛かる恐れがあるので、注意が必要です。試しにやってみたら、ほらぁ。 チベットのダライ・マラ、ぢゃなくってダライ・ラマ。そういえば先日、三河人のギャルに“そのもの” のことを何て言うの?…とか、えらく低俗なサイトが引っ掛かってしまったではありませんか。見るとアホになるので、よい子は近づいてはいけません。 で、演奏はというと、1曲目と同じフリチン…いや、同じルーティンなだけに、マイルスのミュートによるソロ → そのままアドリブ → コルトレーン登場 → ガーランドの出番…と続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 続いてはソニー・ロリンズのオリジナル、 「オレオ」 。 俺よぉ、オレオが好きでよぉ。 そういう人は少なくないと思うんですが、美味しいですよね、ナビスコのオレオ。 クッキーとクリームの絶妙なコラボレーションが、もう、最高っ♪…なんですが、ロリンズの 「オレオ」 という曲は、んー、まあまあ? 日本語ライナーを見たら、引用するのが面倒なほど何やらゴチャゴチャと書かれていたので、ちょっと気が滅入ってしまったんですが、要約すれば、なかなか手の込んだ構成となっている。 ま、そういうことが言いたいんだと思います。個人的に、この曲そのものはさほど好きではないんですが、各自のソロは完璧な出来でありますな。特にコルトレーンが頑張っておりまして、勢いだけの段階から、一歩先にビヨンドした姿を見せつけてくれております。成長期ですなぁ、この頃の彼。 あまりバリバリ吹くタイプではないマイルスも、ここではバリバリ君 (←聖教新聞連載) ばりに、バリバリとした演奏を聴かせていて、スイーツなガーランドも、この時ばかりはけっこう硬派。 俺よぉ、 「オレオ」 という曲、ちょっと好きになったよぉ。

 で、次。 「イット・クッド・ハップン・トゥ・ユー」 。 バラードです。心にしみます。 カラシ醤油が口内炎にもしみます。 またかい!…と思われるかも知れませんが、そう簡単に治るものではありませんからね、口内炎。 口内炎も口の外に出来てくれれば、そんなにしみることもなくていいと思うんですが、どうしても口の中に出来てしまうので、ちょっと嫌です。 …と、適当なことを書いてから演奏を聴いたら、ちっともバラードではありませんでした。ミディアム・テンポのスインギーなナンバーでした。よって、さほど心には凍みなかったんですが、これはこれで、いいと思います。特にフィリー・ジョーのタイコが、いいじょー♪ ということで、ラストです。  「ウディン・ユー」 。 ガレスピー作のウディンでユーなナンバーです。ここを乗り切れば今日の原稿も終わりかと思うと、ついつい書くことが適当になってしまうんですが、演奏の出来はいいです。特にマイルスのソロがいいです。マイルスのインプロビゼーションは、他の曲同様、これという難点を見出しがたいハイレベルのものだが…と、栗村クンが書いていとおり、レベルが高くて、ハイなレベルです。 それかあらぬか、コルトレーンの出来も上々で、ここでの彼は、決してこの高名なクインテットのウィーク・ポイントとはなっていない。…とも書かれておりますが、それかあらぬか。 なかなかハイ・センスな日本語を使いますな。 去年の夏、鳴きふるしてし、郭公(ホトトギス)、それかあらぬか、声のかはらぬ by 詠み人知らず。 (訳) 去年の夏、さんざん鳴いていたあのホトトギスなのかどうかはわからないが、声も変わらず鳴いていることよ。 古今和歌集にも通じるものがありますが、あ、ちなみにこの曲だけ、マイルスはミュートを付けずにオープンで吹いているんですな。不覚にも栗村クンに指摘されるまで気付きませんでした。  今ひとつ日本語がなってない日本語ライナーでも、役に立つことがあるんですなぁ。…ということが判明したところで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 久しぶりに聴き直してみたんですが、恐ろしく完成度の高い1枚でありました。特に1曲目と2曲目は、完璧っ♪…と言ってもいいのではなかろうかと。 強いてケチを付けるとするなら、3曲目以降は似たような感じの演奏が続いて、やや単調なことくらいでしょうか。  「イット・クッド・ハップン・トゥ・ユー」 はバラードにして、心にしみるようにして貰ったほうが、よりベターだったかも知れません。 が、それを差し引いてもマイルス入門には最適の1枚として、初級者ギャルに強くお薦めしたい作品なのでありました。


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