柱サボテンの刺のレコード針(ソーン針)としての利用
 クラシカルなレコードプレーヤー(蓄音機)のレコード針(ソーン針)として、どのような柱サボテンの刺が利用できるかの問合せが時々あるので、ここにまとめておきます。
 私は、レコードプレーヤーにはまったく詳しくないので、どのような針であったらいいのかまったく分かりませんが、長くて太い刺がいいということなので、柱サボテンの内、長くて太い刺を発生させるものについて挙げます。針の質により音が変わるのではないかとも思いますが、レコード針に向く刺の質(柔らかいとか硬いとか)についてはまったく分からず、刺の硬さを測る手法もないので、それには触れません。

立派な刺はよい環境・栽培で発生する
 最初に分かっておいていただきたいのは、柱サボテンを適当に育てても長くて太い刺は発生しません。ここに挙げる種類でも、幼苗の段階では弱々しい刺にすぎず、よい環境・栽培下において、苗を元気よく育てて十分な大きさになったときに立派な刺が発生します。サボテン栽培において、立派な刺を発生させるのは、かなりの栽培テクニックが必要なのです。
 そのためには、
○十分な日光
○適度な風通し
○適度な潅水
○適度な肥培
が重要です。
 サボテンの栽培が分かってないような場合、こういった種類を入手しても、立派な刺を採取することは難しいでしょう。

長くて太い刺を発生させる柱サボテン
 私のところで、特に長く太い刺が発生している柱サボテンのトップ6は、以下のとおり。同じ株でも刺によりサイズはバラバラですが、中刺の長く目立ったもののサイズを計測したものです。直径は一番太いところの直径です。刺の形状については写真参照。
 実際上、長さが短くても、太い方がいいのであれば、中刺ではなくて側刺を利用するのがいいのではないかとも思ったのですが、よく分かりません。側刺については、写真を参照してください。

Pachycereus pecten-aboriginum 土人の櫛柱

長さ52mm、直径1.4mm

Browningia hertlingianus 仏塔

長さ60mm、直径1.5mm

 美しい柱サボテンなので、鑑賞もできて刺も採れて一石二鳥なのだが、立派な刺を発生させるには、時間とテクニックが必要。
Trichocereus peruvianus 青緑柱

長さ60mm、直径1.4mm

 成株には、立派な中刺が発生する。また栽培も容易。
Neoraimondia herzogiana 飛鳥閣

長さ67mm、直径1.8mm

Cereus hildmannianus ssp. uruguayanus 緑翼柱

長さ63mm、直径1.7mm

Stetsonia coryne 近衛

長さ70mm、直径0.9mm

 某サイトで、この柱サボテンの刺をレコード針に使った実験の報告が見られるため、レコード針といったらこのサボテンといったイメージになっている。ただ、近衛の針は確かに長いのであるが、かなり細い。細くてもよいということであれば、本種でよいのだろう。
近衛は、前述の種類と比較して幼苗でもそれなりの長刺を発生させるので、栽培が上手くなくても刺の採取は早くできる。