昨年に引き続き今年も宣伝会議のコピーライター養成講座の講師をしました。ちょうどドラゴンズが優勝を決める試合をやっているその大事な時間に、僕のような人間の講義を聴きに来てくれた受講生は奇特な人々ですから、ちゃんと2時間みっちり休みなしで話し続けました。
そもそもコピーライターなんてものは、ちょこちょこと教えられて「ハイ、できあがり」という類の職業ではありません。自分で考え盗み身につけていく、それでもこれで完成したということはない何だかおぼつかない頼りない不安定な職業です。
もちろんこんなご時世ですから、さして儲かるわけでもありません。1980年代前半の「コピーライターブーム」の頃は、うたかたの夢のような時代でした。今は地味にコツコツと日銭を稼いでいるような商売です。
講座を聴きにきた受講生は学生からデザインプロダクションの社長まで、実にまちまちなのですが、そんな因果な職業にすでに就いてしまっている連中はまだしも、現在せっかく堅気の商売をしているのに、わざわざコピーライターに憧れて転職しようなんて考えている人たちが結構いるんです。
もちろん僕は転職希望の相談されても「よく考えなさい」と必ず止めます。止めますが、反面、この時代に自分がやりたい仕事がすでに見つかっているのなら、それはそれで実に幸せなことだとも思ったりします。で、結局「自分が納得しているのなら止めはしないよ」なんて話になってしまうんですよね。
それで去年の受講生の中にも人生行路を踏み誤ったかも知れない人がいます。今年もどれだけ止めても、会社を辞めてしまう奴はいるんだろうなぁ。ま、人それぞれ自分の人生。社会人としての責任だけちゃんと取れるのなら、いくらチャレンジしてくれても構わないんですけどね。
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