幹事クリタのコーカイ日誌2019

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1月16日 ● 稀勢の里の引退。

 ついに横綱稀勢の里が引退を表明しました。今場所は初日から3連敗。昨年秋場所千秋楽から3場所かけて8連敗という1場所15日制での横綱のワースト記録を作ってからの引退はいかにも遅すぎました。本来なら先場所初日から連敗したあたりで遅くとも引退表明すべきでしたし、もっと厳しいことを言えば秋場所皆勤して10勝しか上げられなかった時点で引退でも良かったと思います。

 もちろん稀勢の里は人気力士であり協会の看板ですから、興行的に引退させたくなかったということもあるでしょう。本人も真面目の上にも真面目な力士ですから、最後まで可能性を信じて戦ってきたのだと思います。そういう稀勢の里個人に対しては素晴らしいと思いますが、やはり横綱のあるべき姿ということを考えれば、もっと引き際は潔くしなければ「伝統」を標榜する大相撲の看板に泥を塗ることになってしまいます。

 稀勢の里の横綱在位はわずか12場所。しかも皆勤したのは2場所に過ぎません。先に書いた8連敗だけではなく、8場所連続休場は年6場所制で、昨年九州場所の初日からの不戦敗をのぞく4連敗は1場所15日制で、それぞれワースト記録です。横綱在位時の成績はなんと36勝36敗97休。まさに目を覆わんばかりの惨憺たる成績です。もし50年後の相撲ファンがこの稀勢の里の成績を見たら、どんな弱い横綱だったのかと思うことでしょう。

 稀勢の里自身はとにかく真面目でひたむきな力士であり、それだけに人気もありました。決して久しぶりの日本人横綱だったから、というだけが人気の理由ではないと僕は思っています。だからこそ、ここまでボロボロになる前に周りがきちんと時期をみて引退をさせるべきではなかったのかと感じます。稀勢の里の人気を当て込み、彼の真面目な人柄を利用してしまったのだとしたら、相当に罪深いことです。

 さらに言えば、そもそも大甘の条件で横綱昇進をさせた協会にも問題があります。日本人横綱が欲しいという協会側の欲が、ひとりの有望な力士を潰してしまったと思います。横綱昇進時(「稀勢の里横綱昇進」)に書いた「短命横綱に終わるかも」という残念な予想が当たってしまいました。


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