幹事クリタのコーカイ日誌2016

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1月23日 ● 稀勢の里横綱昇進。

 初場所に14勝1敗で初優勝した稀勢の里が横綱に昇進することが決まりました。先場所が12勝しかしていないのに今回いきなり昇進という甘さは近年なかったことで、双羽黒事件以来ずっと協会は横綱昇進を厳しくして2場所連続優勝が条件(鶴竜は14勝優勝同点-14勝優勝)だったのに、日本人横綱欲しさにいきなり条件を緩和したようです。だったらなぜかつて小錦を昇進させなかったのか(13勝優勝-12勝準優勝-13勝優勝)、あれはやはり外国人差別だったと言われても仕方ありません。

 稀勢の里の実力が横綱級であることは昨年の成績を見るだけでもわかります。他の大関とはレベルが違うし、横綱の日馬富士、鶴竜よりも安定感では上回っています。鶴竜など明らかに稀勢の里より格下感があります。ただ問題は彼の勝負弱さにあります。重圧がかかると途端に脆くなってしまい、幾度も大事な場面で負けてきました。優勝なしで準優勝11回という過去の成績がそれを証明しています。稀勢の里の横綱昇進を阻んできたのは実力ではなく彼の精神面であり「心技体」すべての充実が求められる横綱として「心」の余りの物足りなさこそが問題なのです。

 この初場所は稀勢の里は「綱取り場所」では本来ありませんでした。いつも苦しめられるプレッシャーがなかった上に2横綱1大関が休場し、残る2大関は大きく負け越している不調ぶり。唯一の相手は力が衰えている白鵬だけのマッチレースでした。そんな気楽な場所で初優勝したからと言って、稀勢の里の「心」が横綱に相応しく成長したとどうして判断できるというのでしょう。千秋楽の白鵬戦に勝ったから「文句なし」なんて言葉がスポーツ紙に踊っていましたが、白鵬の気迫に押されて土俵際まで一気に持っていかれ、白鵬が気負いこみ過ぎて自滅しただけの相撲だったのに、どこが「文句なし」なのか、さっぱりわかりません。

 どう考えても「日本人横綱」待望論によって下駄を履かされた昇進です。本来なら「綱取り場所」の来場所重圧を克服して優勝して堂々と昇進すべきところなのに、ここで上げておかないと来場所またプレッシャーから昇進逃しちゃうからとみんなが不安に思っている感じがプンプンします。僕は稀勢の里はそんなに弱い力士ではないと思っていますし、今の横綱大関陣の力を考えたら来場所も優勝候補一番手ですから、堂々と昇進した方が良いのになとどうしても思ってしまいます。

 まあ形はどうあれ横綱昇進は間違いありません。だったら立派な横綱になって欲しいものです。プレッシャーのかからないところでは白鵬と互角の実力者だけに、普通に相撲が取れれば横綱になっても優勝争いをできることでしょう。問題は精神面の弱さから「横綱」という地位の重さに負けてしまう可能性があることで、そうなると年齢が年齢だけに短命横綱に終わるかも知れません。全ては精神面次第ということになりそうです。


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