幹事クリタのコーカイ日誌2013

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1月22日 ● 大河ドラマらしさ。

 大河ドラマ『八重の桜』も3回が終わりました。ここまでの展開は決してつまらないとは言いませんが、なんとも残念なのは「大河らしさ」が欠如していること。第1回を見た後の感想で「大河ドラマとして成立していくのか、それなら朝ドラで良いんじゃないかとなってしまいそうなところが心配です」と書きましたが、どうやら1年を通して朝ドラテイストで突っ走りそうな予感がしてなりません。

 大河ドラマと朝ドラは同じNHKの看板ドラマではありますが、テイストは大きく違います。大河ドラマは大きな歴史の流れの中でダイナミックに動く世の中と、そこに生きる人々の営みを描くドラマです。主人公は「人」であっても、描かれているのはむしろ「社会」であり「歴史」です。例えば昨年の『平清盛』は主人公は清盛でしたが、描かれたのは公家社会から武家社会へ、古代から中世へと移り変わる日本社会の変革を描いたドラマでした。そのダイナミズムの象徴が清盛だったというだけです。

 朝ドラは違います。あくまでも社会動向は背景として存在しても、描かれるのは「ひとりの人間」です。いつの世にも変わらない人の営み、家族愛、友情、好奇心、向上心、連帯。そういった前向きで普遍的なものを女性の主人公に仮託して描きます。比較すれば、大河ドラマは「変わる」ものを描く「大きな」ドラマ、朝ドラは「変わらない」ものを描く「小さな」ドラマです。そのためにキャストも大河は重みのある役者を多く起用し、朝ドラは逆に軽やかでふわっとした雰囲気のある役者を出しています。

 そういう視点で『八重の桜』を見ると、ここまではかなり朝ドラ寄りである気がします。山本八重というヒロインの前向きな性格と言動、それに巻き込まれる彼女の家族など周囲を描く方に主軸が置かれていて、歴史描写は添え物です。もちろん社会の変化や歴史のうねりも出てきますが、少々背景に過ぎると言うか、八重のために歴史が書き割りのように描かれているようにしか感じられません。

 朝ドラなら面白いかも知れませんが、このまま進んでいくのでは大河ドラマとしては物足りない気がします。もちろんまだ始まって3回ではありますが、今回は主人公が歴史上の大物ではないだけに、今後もこうした展開が続くのではないかと心配です。もっとも、こういう「大河らしさ」を求める見方自体、古い大河ドラマファンの感覚なのかも知れません。NHKの意図は違うところにあると言うのなら仕方ないのですが。



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