幹事クリタのコーカイ日誌2013

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1月23日 ● 麻生発言そして実名報道。

 麻生副総理の失言問題。本人は取り消したらしいですが、これは特に失言というような内容ではありませんでした。「私は遺書を書いて延命する必要はないと書いているが、死にたいと思っても生きられる。政府の金でやっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」などと、あくまでも延命治療について麻生個人の話として発言したのに、それをまるで高齢者一般が高額医療費のために「さっさと死ねるようにしないといけない」と言ったかのように伝えられてしまいました。

 これはマスコミ側の明らかに悪意のある発言のすり替え、揚げ足取りです。かつて麻生が総理時代にも漢字の読み間違えをことさらに取り上げて嘲笑していましたが、それよりもさらに今回は悪意に満ちています。発言の趣旨を敢えて誤解されるように伝えているのですから。マスコミはこういうことを長年にわたってやってきたのでしょうが、ネットがこれだけ発達してしまうと、そうした手法の記事はすぐに検証されてしまいます。政治家相手だったら何を書いても許されるという時代ではもうないのです。

 なによりまずいのは、こういうことをしていると、本来伝えるべきことまできちんと伝わらなくなることです。マスコミは「狼少年」だと思われてしまい、どうせまたでっち上げだろうと疑われます。すでにネットではそういう傾向がかなり強くなっています。マスコミの中にいると、それが感じ取れないのでしょうか?

 そして、アルジェリアで犠牲になった日本人被害者の実名報道の件。菅官房長官が記者会見で日揮と被害者遺族の意向により実名を公表しないと約束したと明言したにも関わらず、一部マスコミが実名で被害者名を報道したそうです。報道した側は「報道の自由」とか「弔いになる」だとか、あれやこれや実名報道についての稚拙な理屈をつけているようですが、要はゴシップマスコミと同じことをしただけです。必要のない興味本位のプライバシーを暴く記事を載せて売ろうとしているだけにしか見えません。

 もちろん、被害者側が実名での報道を了承しているのなら構いません。しかし、そうでなければスクープしたいという内輪の論理だけで被害者をさらし者にすることがどれほど愚かな行為なのか、現代においてプライバシーはどれほど守られなければならないものなのか、少し考えれば解りそうなものです。もう昭和の頃とは違うのです。それがわからないということは、もはやマスコミは「裸の王様」です。とっくに彼らの虚飾ははぎ取られてしまって、周りは裸だとわかっているのに、いつまで自分たちは特権的な地位にいると信じているのでしょう。

 「狼少年」で「裸の王様」で。ネット時代のマスコミは、古くて狭い井戸の中にいる間に、いつの間にかおとぎ話の中の主人公になってしまいました。



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