幹事クリタのコーカイ日誌2011

[ 前日翌日最新今月 ]


 
4月25日 ● 失敗を見たくなかった若い頃。

 いま名古屋で公演している劇団四季のミュージカル『人間になった猫』を見てきました。ファミリー向けの内容なので、子連れがいっぱい。観客の3分の1は子ども?と思うくらいでしたが、ダンスや歌はちゃんと四季クオリティなので、大人でも十分楽しめました。

 昨日もライブの話を書きましたが、ここのところ、こうした興行に足を運ぶ機会が増えています。「ここのところ」というのは、この1〜2年くらいのこと。僕は若い頃は「生もの」が苦手でした。芝居よりは映画、コンサートよりはCDという「パッケージ派」で、その場で演じられる興行からはなるべく遠ざかっていました。

 なにがイヤだったかと言うと「失敗」を見るのが怖かったのです。映画やCDには失敗がありません。完成品として提供されているのですから、安心してじっくりと鑑賞することができるのですが、芝居やミュージカルやライブは「失敗するんじゃないか」とドキドキするし、またちょっとしたアクシデントが起きた時の劇場全体に漂うザワッとした感じがイヤでした。余計なことに気を取られてしまうので落ち着かないのです。小さなライブハウスなんてもってのほかで、あんな間近で失敗した人を見るなんて耐えられませんでした。

 なんとも神経質というか過敏というか、良く言えば感受性が強い若者でした。そもそも「失敗前提」で考えているのが失礼な話ですが、これは自分自身が失敗することを極端に怖がるタイプだったから、人の失敗も見たくなかったのだと思います。失敗に目が行き過ぎて、他が見えなくなってしまうのです。

 当然のことながら年齢を重ねるごとに、どんどん人間が図々しく鈍感になり、失敗を恐れるような臆病さも鋭敏さも少しずつ減っていきました。20代では一度も行かなかったミュージカルも、30代後半から足を運ぶようになり、誘われればコンサートやライブにも行くようになりました。シルク・ドゥ・ソレイユなんて、昔なら本当に失敗ばかりに目がいってしまって心臓に悪かったと思いますが、今は平気です。

 そしてサックスを習い始めたのが転機となって、最近ではむしろ自ら積極的に小さなライブハウスにも足を運ぶようになりました。自分が人前で演奏をし、失敗をするという経験をしてから、人の失敗が怖くなくなったどころか、勉強させてもらおうとさえ思っています。誰でも失敗します。だから失敗を恐れてはいけないということをサックスを始めてから学びました。この年になって学ぶようなことかと思いますが、頭で理解していることと、実際に身体で感じることは違います。

 あと2ヶ月でホールでのサックスの発表会です。考えただけで緊張しますが、失敗を怖がらなければ何とかなるかなぁと思います。少なくとも失敗したことでの落ち込みは、昨年よりは軽く済みそうです。




twitterでもつぶやいています@kanjikurita

gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」