幹事クリタのコーカイ日誌2009

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9月30日 ● 辛い思い出より、楽しい思い出。

 香川リカのベストセラー「しがみつかない生き方」の中に、日本人は楽しい思い出はすぐに忘れてしまうのに、イヤな記憶はいつまでも覚えている、という話がありました。タイムライン法というセラピーの逸話なんですが、それをやらせるとアメリカではみんな楽しい思い出をよく覚えているのに、日本人は逆に辛い思い出ばかり記憶しているというのです。

 驚きました。僕はアメリカ人も日本人も辛いことはあっさりと忘れて、楽しいことを覚えて生きている民族だと思っていました。韓国人なんかはいつまでも辛いことを覚えていて、大変そうだなぁ、日本人みたいにさっさと「水に流して」楽しく生きれば良いのに、なんてお気楽に思っていたのですが、どうやらそれは勘違いだったみたいです。

 原爆を落とされてアメリカに国土を焦土にされても戦後すぐにアメリカ礼賛で復興してきた戦後日本は、どう考えても辛いことを忘れてしまえる性格だと思います。ところが平成に入ってからの日本はどうもそうじゃないみたいで、特に若い世代は過去の辛い出来事やイヤな出来事を克明に記憶していて、それを思い出すと今でも涙が出たり震えが止まらないんだとか。逆に楽しいことを思い出せと言われても、「うーん?」と首を傾げるばかりで特に思い出せないんだそうです。

 僕は完全に逆のタイプです。辛いこと、イヤなことも覚えていないわけではないのですが、それはもう風化して記憶としてあってもその時の感情がまざまざと甦って泣きたくなったりはしません。逆に楽しかったことは今でもしっかり覚えています。子どもの頃のことでもたくさんハッピーな思い出はあります。思い出すと、なんとなくニンマリしてしまいます。数としても楽しい思い出は辛い思い出の数倍以上あります。それは人生が楽しいことばかりだったからではありません。あえて辛いことは思い出さないように封印してきたからです。

 辛いことよりも楽しいことをたくさん覚えていた方が人生は楽しいはずです。思い出すと悲しくなるようなことは、さっさと忘れてしまった方が幸せでしょう。辛いことは忘れて楽しいことだけを覚えていられるから、人間は前を向いて生きていけるのだと思います。

 記憶というのは繰り返し反復して思い返すことで頭の中に定着していきます。だから日頃から楽しかったことは何回も繰り返し思い出して、逆に悲しかったことは蓋をして思い出さないようにしてしまえば良いのです。反省はしても後悔はしない。苦い思い出は教訓だけ取り出して後は捨ててしまう。みんながそうすれば、ハッピーな気分の人が増えて、日本はもっと楽しい雰囲気の国になり、元気が出るんじゃないかと思います。景気回復は、楽しい思い出をたくさん思い出すことから始まるのかも知れません。