幹事クリタのコーカイ日誌2009

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9月28日 ● 伊達公子に限界はないのか。

 韓国オープンでクルム伊達公子が優勝をしました。13年振りのツアー制覇、というだけではありません。38才11ヶ月(と言うか翌日に39才!)での優勝はナブラチロワの37才を抜き、キング夫人(懐かしい!)の39才7ヶ月に続く史上2番目の年長優勝記録でもあるのです。偉大なチャンピオンたちの間に割って入った伊達は女子テニス史に残る記録を打ち立てたことになります。

 伊達は去年5月に現役復帰以来、驚くようなパフォーマンスを続けてきました。下部トーナメントでは4度も優勝、また昨秋の全日本でも単複制覇をしました。ただツアー大会では結果が出ませんでした。世界のTOP30クラスの選手と戦っても互角に渡り合えるのにどうしても勝ちきれず、また足の痙攣などにも悩まされて1回戦突破すら果たせずにいました。さすがの伊達もこれが年齢による限界かと思いました。

 ところが今回急遽エントリーした韓国オープンでついにツアーでの復帰初勝利を達成すると、後はとんとん拍子。これまで溜まっていたものを全て吐き出すかのような快進撃でした。準々決勝で第1シードのハンチュコバ、準決勝では昨年の覇者キリレンコ、そして決勝では第2シードで23位のメディナガリゲスを倒してしまったのです。トップ10選手相手ではないものの、完全にツアーレベルでの試合で勝てるその実力は、間違いなく現在の日本女子選手ではナンバー1でしょう。12年のブランクから復帰した39才の選手であることを考えると、これは本当に驚くべきことです。

 伊達が復帰した当初は、日本のトップクラスの選手たちが伊達に負けただけで「日本の現役選手はなにをやっているんだ」と批判されました。しかし、世界のトップ20レベルの選手でさえ倒される現実を見ると、これはもう相手の問題ではなく伊達が凄すぎるんだと認識を改めるしかありません。伊達は常識の枠を超えたモンスターだったのです。

 伊達にとって残されたチャレンジはグランドスラムしかありません。今年は全豪とウィンブルドンで1回戦負け、全仏と全米では予選で敗退してしまいましたが、来年は復帰後の集大成としてグランドスラムでの勝利を狙ってくることでしょう。錦織が怪我から復帰できず、杉山が引退してしまった日本テニス界にとって、伊達だけが希望の星です。若い選手が何をやっているんだという思いは残りますが、伊達の限界がどこにあるのかを見届けるのもファンとしては大いに興味があります。