ドラマ不況といわれて久しい昨今。視聴率２０％を超えることがほとんどなく、この夏もヒットしたのは『救命病棟２４時』だけ。後は『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』が黒アイブーがとっても見応えがあったみたいで、それを見逃したのが残念です。景気が悪いのに一桁ドラマが続出しているためか、最近ますます予算が削られているようですが、もっとも『官僚たちの夏』のように金をかけても視聴率が低迷するドラマもあるので、一概に予算の問題だけではない気もします。

　夏ドラマがジャニーズ一色だったためか、この秋のドラマは非ジャニ色が濃い大人のドラマが多いようです。その代表作がフジ系木曜夜１０時『不毛地帯』。ご存知山崎豊子原作の重厚なビジネスドラマです。フジテレビ開局５０周年記念ドラマということで、開局４５周年記念ドラマの『白い巨塔』と同じ２クール、同じ木曜夜１０時枠、そして同じ主演・唐沢寿明。共演に和久井映見、多部未華子、柳葉敏郎、段田安則、古田新太、中村敦夫、佐々木蔵之介、小雪、伊東四朗、阿部サダヲ、天海祐希、遠藤憲一、原田芳雄、岸辺一徳、竹野内豊ら。ＮＨＫ大河に負けない重厚かつ豪華なキャストです。

　脚本は『僕の生きる道』シリーズなどの橋部敦子。どちらかというと現代の日常生活を描くのが得意な脚本家というイメージですが、果たしてこんな大作を任せて大丈夫なのでしょうか。時間の流れ、多くの登場人物を捌き切れるのかがポイントになりそうです。

　もうひとつ注目のドラマがＴＢＳ系日曜夜９時『ＪＩＮ〜仁〜』。村上もとかのマンガが原作で、現代の医師が幕末にタイムスリップして、人の命を救いながら歴史の流れに巻き込まれていくという幕末歴史ＳＦロマンです。主演が大沢たかお、共演に綾瀬はるか、中谷美紀、内野聖陽、小日向文世、小出恵介、麻生祐未、藤田まこと、武田鉄矢、桐谷健太ら。胃もたれしそうな豪華キャストの『不毛地帯』に比べて地味ながら演技派を揃えています。華のあるスターが少ない分、ストーリーに没頭できてドラマとしては見やすいかも。脚本は『世界の中心で、愛をさけぶ』『MR.BRAIN』の森下佳子。明るいドラマになることを期待しています。

　この２本に比べるとぐっとノリが軽そうなのがフジ系月曜夜９時『東京ＤＯＧＳ』。「イケメン」ブームを引っ張る２大スター小栗旬と水嶋ヒロがＷ主演する刑事ドラマ。他に共演は吉高由里子、勝地涼、東幹久、ともさかりえ、田中好子、大塚寧々、三浦友和ら。人気俳優２人を生かす脚本ができるかどうか次第です。脚本は『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』の福田雄一。

　フジ系火曜夜９時枠は深夜枠からの昇格ドラマを細切れで登場させる新編成。１０月からは『オトメン（乙男）・秋』。夏編を昇格させての秋編です。放送延長を枠移動で実現させるという試みは果たしてうまくいきのでしょうか？そして、１１月からは２年前に深夜枠で放送したドラマの続編『ライアーゲーム　シーズン２』になります。戸田恵梨香、松田翔太、鈴木浩介、吉瀬美智子、渡辺いっけいら、出演している俳優陣が２年半経って随分とメジャーになってきたので、ゴールデンにふさわしいという判断でしょう。

　その他の注目ドラマとしては槇村さとる原作のフジ系火曜夜１０時『リアル・クローズ』。ファッション業界を舞台にした女性向けドラマ。主演に香里奈、共演に黒木瞳、小泉孝太郎、西島秀俊、高岡蒼甫、加藤夏希ら。ファッション好きの若い女性には楽しみなドラマでしょう。

　ＯＬ向けではＴＢＳ系金曜夜１０時『おひとりさま』。アラサー女性と草食男子の恋愛という、今もっとも旬なカタチのドラマです。脚本が『ラブジェネレーション』『アットホーム・ダッド』『結婚できない男』『白い春』の尾崎将也だけに、このテーマならうまく料理しそうです。主演に観月ありさ、共演に小池徹平、松下奈緒、真矢みき、酒井若菜、鈴木亜美ら。

　草食系男子を取り上げたドラマでは日テレ土曜夜９時『サムライ・ハイスクール』もあります。こちらは草食系男子がいきなりサムライに変身するという土９らしい設定。主演に三浦春馬。共演に城田優、杏、室井滋、岸谷五朗、大後寿々花ら。子ども向けの内容ながら、脚本が井上由美子だけに意外にしっかりしたドラマになるかも知れません。

　最後に注目の渋い大人向けドラマ。ＴＢＳ系水曜深夜の『深夜食堂』。マンガが原作の小さな食堂を舞台にした人情ドラマ。主演に小林薫。マンガファンとしては、あの世界をどう映像化してくれるのか楽しみにしたいと思います。

　僕が見たいのは『不毛地帯』『ＪＩＮ〜仁〜』『深夜食堂』ですが、『東京ＤＯＧＳ』『おひとりさま』は第１回を見てから考えます。お子さま向けドラマは基本パスですが、黒アイブーみたいなこともあるから侮れません。