幹事クリタのコーカイ日誌2009

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9月17日 ● あの頃の匂いがする鳩山内閣。

 ようやく鳩山内閣が発足しました。事前に主要閣僚の名前があれこれ取り沙汰されてきましたし、亀井静香と福島瑞穂のポストも二転三転したようですが、まあ見たところ落ち着くところに落ち着いたかなという印象です。

 と言っても、明らかに「反自民色」が強い組閣だというのは見て取れます。特に亀井郵政担当相は「やってくれたな」感がします。亀井静香を郵政担当にするということは、4年前の小泉郵政選挙の結果の全否定です。あの時は確かに国民は郵政民営化に賛意を表したと言うよりも、「自民党をぶっ壊す」と言った小泉に票を投じたという気はしますし、今回の民主党の大勝も郵政改革を全否定するつもりでもなかったと思います。

 しかし、結果としては郵政民営化に象徴される小泉改革は否定され、「大きな政府」を目指して鳩山内閣は出発します。郵政民営化見直しということは、再国営化ということですし、高速道路の無料化というのも、税金で高速道路を維持するわけですから、高速道路の国営化ということです。公立高校の無償化も同じで、実質的には公立高校の義務教育化に近づきます。

 鳩山内閣が目指す生活優先ということは、高福祉社会の実現であり、本来それは高負担、すなわち増税が伴わないと成立しません。でなければひたすら国家財政は赤字が嵩み、いつか破綻してしまうはずですから。しかし、鳩山総理は「4年間は消費税据え置き」を明言しています。

 こういう状況は1970年代〜80年代の地方自治体でよく見かけました。革新首長が各地で誕生し、様々な福祉政策を実現していきました。それとともに地方自治体の財政は悪化、今もその赤字に苦しんでいるわけです。

 当時革新首長となった人や革新政党が推薦した議員たちは、労組の出身者や学者、弁護士、ジャーナリストなどが多かったと思います。今回鳩山内閣に入った人たちも同じ匂いがします。常に貧しい労働者の味方であり、搾取を続ける大企業こそ悪であるとする彼らは、経済政策を二の次にしてバラマキを続けます。しかし増収なしにバラマキを続ければ破綻することは目に見えています。企業が儲かってこそ、法人税も所得税も増えていくわけですから、企業を目の敵にした政策では自ずと限界が訪れます。

 そんなことは1990年代には明らかになったはずなのに、鳩山内閣の顔触れを見たら、また20年くらい時間が巻き戻されたような印象を受けてしまいました。労組や人権派弁護士が悪いとは言いませんが、国と大企業を全て悪と言ってぶった斬っているだけでは政権与党は務まりません。ちゃんと鳩山はわかってやっているんだと信じたいけれど、この内閣ではイマイチ信用できないんだよなぁ。