幹事クリタのコーカイ日誌2009

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4月18日 ● 日米通算記録はあくまでも「参考記録」。

 イチローが日米通算で3086本の安打を打って張本勲を抜いて「日本新記録」だと騒がれていますが、まったくもっておかしな話です。かつて僕は野茂英雄の日米通算200勝の時も、昨年のイチローの日米通算3000安打の時にも書きましたが、違う国での記録を通算して比較するのはあまり意味がありません。日本での記録は日本での記録であり、アメリカでの記録はアメリカでの記録。落合監督も前から同様なコメントを発していますが、日米合算することに大きな価値を見出すのはおかしいのです。あくまでも参考記録です。

 以前にも書いたように、日米通算記録で騒ぐのなら、メジャーリーガーが来日したら米日通算記録もカウントすべきでしょう。韓国人選手の韓日通算記録だって同様です。米日通算で2154本を打ったレジー・スミス、2151本のロイ・ホワイト、2055本のウォーレン・ クロマティは名球会に入っていません。なぜ日米通算2000安打で入れる名球会は彼らを入れないのでしょう?日米通算2000安打を入会資格としているくせに。

 名球会という金田正一の私的組織についてはまあ良いとしても、イチローの今回の記録は単純に3000安打というような個人の通算記録というだけではなく、他者との比較した記録のため余計に問題だと思います。つまりイチローと張本を比べて「イチローが上回った」と騒いでいるわけですが、それは明らかにおかしなことで、例えば王貞治がハンク・アーロンの本塁打数を上回っても、あくまでもそれは「参考記録」だったし、本気で王の記録を世界記録だと認めたわけではありません。イ・スンヨプが韓国で56本塁打の「アジア記録」を打ち立てた時にも、日本人は相手にしていなかったではありませんか。

 今回のイチローと張本の記録比較も日本人が勝手にやっている分には同様で、アメリカ人も微苦笑しながら付き合ってくれていますが、果たしてイチローがこれから数年後にピート・ローズの4256安打に迫り、追い越そうとした時(可能性がないわけではありません)には、同じ態度だとは到底思えません。きっと「そんな記録は認めない」と厳しく言われることでしょう。

 仮に韓国で324本の本塁打を放っているイ・スンヨプが韓日通算本塁打数で王を抜いて韓国マスコミが「王を超えた」と騒いでも、日本人はその記録を認めないでしょう。タフィ・ローズだってアメリカで13本の本塁打を記録していますが、それは通算本塁打数に日本ではカウントされていません。あくまでも日本人がメジャーで作った記録だけ合算するのが日本のマスコミです。しかし、記録は同じルールの中で比べられるべきものなのです。そこに厳密さがなければ記録に価値はありません。日本のマスコミの安易に、恣意的に、話題になる記録を適当につまみ食いして騒ぐようなレベルの低さには、つくづくうんざりさせられます。