幹事クリタのコーカイ日誌2008

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7月31日 ● イチロー日米通算3000本安打。

 イチローが日米通算3000本安打を記録しました。日本のマスコミは相変わらずこの手の記録に大はしゃぎですが、以前に野茂が日米通算200勝した時に書いたように、僕はこの「日米通算」というカウントの仕方には馴染めません。日本は日本、アメリカはアメリカであって、日米通算なんて参考記録でしかないのですから、あまりどうこう言うことではないと思います。だったら、日本に来ているメジャーリーガーの「米日通算」記録や、韓国人選手の「韓日通算」記録も、ちゃんと集計して報道すべきですが、そんな記録を見たこともありません。

 まあだからと言って、イチローの記録の凄さが目減りするものではないのですが、素直にイチローの記録を祝福できない気分になるのは、イチローがいくらヒットを打とうがマリナーズは弱い、ということです。イチローという屈指の一番打者を持ちながら、毎年のようにマリナーズは下位に低迷しています。イチローが放つヒットはマリナーズの勝利に貢献していない、つまりイチローがアメリカで積み重ねた安打は役に立っていないということですから。

 このことはアメリカでも「個人記録に固執している」という見方をされているという報道もありました。チームのためではなく自分の記録のためにヒットを打っていると。確かにそう言われても仕方ないでしょう。イチローは1番打者なのに四球を選びません。本来なら出塁率を高めるためにも、また相手投手に球数を投げさせるためにも、1番打者はボールを見極めて四球を選ぼうとするべきですが、イチローは常に初球から積極的に打ちにいきます。その姿勢も「フォア・ザ・チーム」からはかけ離れていると思われても仕方ありません。

 もっともイチロー側から言えば逆にいくらイチローがヒットを打っても他のチームメイトが情けないから勝てない、だったらお客さんに喜んでもらえるように四球を選ぶよりもヒットを狙う、ということかも知れません。チームの勝利を見せられなくても、少なくともヒットを放つイチローを見てもらえば喜んでもらえるからということです。

 どちらが真実なのかはわかりませんが、ヒットを打っても勝利に結びつかないイチローの徒労感はきっと大きいだろうと思います。そして、その虚無感がますます彼を「孤高」へと導いているような気がしてなりません。そういう意味では実に可哀想な天才打者です。