昨夜の韓国とのアジア１位決定戦は０−１で負けてしまいました。投手陣は責められません。１点すら取れない攻撃陣に問題があることは間違いないからです。ＷＢＣ開幕前に僕が書いたように、日本は投手陣は一級品です。上原や岩瀬がいなくても世界トップクラスでしょう。しかし、攻撃陣は長打力がなく小粒で怖さがありません。その分、足と小技を絡めた「スモール・ベースボール」でコツコツと点を奪い、際どい勝負を展開するしか勝つパターンはありません。

　ところが先日の韓国戦１４点取って勘違いしてしまったのでしょうか。まるでアメリカかドミニカのような大味なバッティングを繰り返して、見事なまでに韓国投手陣にあしらわれてしまいました。中国相手に５安打４点しか奪えなかったことを忘れてしまったようです。アジアレベルですら長打が期待できないピストル打線で、これからアメリカに乗り込んだら、高校生がプロと戦うくらいパワーの差があることでしょう。もう一度、自分たちの身の丈に合った野球を思い出すべきです。

　例えば中日の誇る「アライバ」のような何でもありのイヤらしい攻撃がイチロー、中島、青木の３人でできれば良いのですが、これまでのところただ３人は順番に出てきて打っているだけです。厳密に言えば最初の韓国戦でイチローが見せたセーフティバントとか、昨晩の中島の送りバントがありましたが、もっといろいろ動かなければダメでしょう。彼ら３人で攻撃のオプションを増やすことはできないのでしょうか？

　特にイチローは口では大きなことを常に言っていますが、実際に打ったのは先日の韓国戦の最初の３打席だけです。マリナーズで個人成績ばかりを追い求めてきただけに、チームの勝利への渇望は誰よりも大きいと報道されていますが、第２ラウンド以降は口だけではないところを見せてもらわなければそれも納得できません。

　また守備でも細かい野球をやらなければこの先は勝てません。昨日の決勝点となった１点は、岩隈が狙い通りに内角へのシュートでゴロを打たせたのに、サードの村田が三塁線に寄っていなかったために抜かれてタイムリーになってしまいました。城島があらかじめ守備位置の指示を出しておくべきだし、村田もちゃんと理解して守らなければならない場面でした。野村監督や落合監督が見ていたら「下手な野球をしている」と酷評していることでしょう。

　アジアで２位になってしまったことで、第２ラウンド初戦は強敵キューバと当たる可能性が大きくなりました。昨日の負けを糧にして、改めて自分たちがどういう野球をすべきか考え直すことができれば、まだまだ連覇への可能性は十分だと思います。目が覚めれば、の話ですけど。