今回の「冬ドラマ展望」で触れることすらしなかった日本テレビ系水曜夜１０時『キイナ　不可能犯罪捜査官』が意外と面白かったです。主演は菅野美穂。好きな女優ですが、実はあまり彼女のドラマは好みのものが少なくて見ていないんですね。じゃあなんで好きなんだ、と言われても困りますが。共演は後輩の相棒新人刑事に平岡祐太、上司に沢村一樹、その上司に草刈正雄、他に小池栄子、塚地武雅、金田明夫ら。脚本はドラマ『美女か野獣』や映画『クローズド・ノート』の吉田智子。

　菅野美穂演じる春瀬キイナは女性刑事。不可思議な事件ばかりを担当するが、その抜群の記憶力と観察眼で事件を解決していくという内容です。このドラマで扱う事件は実際に起こった不思議な実話を元にしているというのが「売り」で、日本テレビのバラエティ『特命リサーチ200X』や『ザ!世界仰天ニュース』をベースにしたドラマだと考えれば良いでしょう。

　当然、登場する「不可能犯罪」も見ていて「あれじゃないの？」と思ってしまうわけですが、まあそのネタバレをしてもドラマを見せてしまうのが、登場人物たちのキャラ造形の巧さ。キイナは一休さんが頓知を考えている時のようにつむじをくりくりしながら答を導き出すし、沢村一樹はバラエティで見せる「エロ男爵」ぶりとはかけ離れた陰のあるワイルドな雰囲気だし、能天気な草刈正雄も実は有能そうで魅力的です。塚地も小池も良いし、金田明夫がまた渋い。残念ながら平岡祐太が役柄上仕方ないとは言え平凡なのが損をしていますが。

　初回の視聴率も良かったようですし、今後注目のドラマだと思います。問題はネタが最後まで続くかどうかですね。無理なネタで事件を構成すると、急にさめてしまいそうですから。