恒例の新年から始まる冬ドラマ展望をしてみたいと思います。まず一番の注目は、豪華キャストで大人の鑑賞にも耐えそうなフジ系火曜夜１０時『トライアングル』。パリ、上海、日本を舞台にした殺人事件を追うヒューマンサスペンスで、主演に江口洋介。脇に広末涼子、稲垣吾郎、相武紗季、堺雅人、風吹ジュン、北大路欣也、小日向文世、大杉漣。なかなか良いキャスティングです。後はサスペンスだけに水橋文美江の脚本がどれだけうまく仕上がるかの勝負でしょう。

　Ｆ１層向けではＴＢＳ系金曜夜１０時『ラブシャッフル』も面白いかも知れません。高級マンションに住む男女４人がそれぞれの恋人を交換するという、なかなかマンガチックな設定ですが、なにせ脚本が野島伸司だけにどんな展開になるのか興味があります。出演は玉木宏、香里奈、松田翔太、谷原章介、ＤＡＩＧＯ、貫地谷しほり、吉高由里子、小島聖。シャッフルするのが美男美女ばかりなのが惜しいところで、これでもう少し不細工なキャラクターがいたら、もっと話が複雑になると思うのですが。

　若者の群像劇ではフジ系月曜夜９時『ヴォイス　命なき者の声』があります。法医学ゼミの学生５人が司法解剖などを通じて人の命に向き合っていくというヒューマン系医学ドラマ。いまの時代に受けやすい設定です。主役に瑛太、脇役に石原さとみ、生田斗真、泉谷しげる、時任三郎、遠藤雄弥、佐藤智仁ら。いまノリに乗っている瑛太の快進撃が続くかどうか。『プロポーズ大作戦』のスタッフだということですから、コメディテイストも加わっていそうで楽しみです。

　フジテレビ木曜夜１０時枠はお得意の人間ドラマで『ありふれた奇跡』。今クールの『風のガーデン』倉本聰に続き、今回の脚本も大御所の山田太一。１１年ぶりに連ドラの脚本を書いたそうです。主役に仲間由紀恵、共演に加瀬亮、陣内孝則、風間杜夫、戸田恵子、松重豊、岸部一徳、井川比佐志ら。主役２人を除けば随分と渋いキャスティングです。ここまで渋いとちょっと視聴率的には苦戦しそうな気がします。内容もこれと言ってはっきりしたテーマが見えてこないので「売り」に乏しいのも不安材料。きっとクオリティはそれなりに高いだろうとは思うのですが、スタートがうまくいなかいと辛いかも知れません。

　ヒューマンドラマならＴＢＳ系日曜夜９時『本日も晴れ。異常なし』もあります。沖縄の離島に赴任してきた駐在さんが奮闘するという、いかにもこの枠らしいァミリー向けな設定。ちょっと「Dr.コトー」な匂いもしますが。主役の駐在さんに坂口憲二、共演に松下奈緒、前田美波里、青木崇高、近藤芳正、宇梶剛士、遠藤憲一ら。残念ながらキャストが弱いので、あまり魅力的には見えないところがネックです。

　ここのところ多いレスキュー系職業ドラマなら、ＴＢＳ系土曜夜７時５６分『RESCUE〜特別高度救助隊』があります。ジャニーズドラマなんですが、いかんせん主役が中丸雄一と増田貴久というところがいかにも弱い。テレビ局の要求は赤西仁と山下智久だったのでしょうか？ジャニーズ事務所からエース級を出してもらえないようでは苦戦必至でしょう。他に山本裕典、石黒賢、要潤、市川由衣、石橋凌らが出ますが、期待薄な感じが漂っていて残念です。

　ジャニーズドラマでもう１本が日テレ系火曜夜１０時『神の雫』。人気コミックのドラマ化ですが、予算がないこの枠になぜか主演が亀梨和也。局側の気合が入っているのか、それともジャニーズ内で亀梨のポジションが下がっているのか微妙です。他のキャストがまだわからないので、どうなるかはまだわかりませんが、亀梨はすっかりコミック系と認定されてしまったのでしょうか？

　同じくコミック原作のフジ系火曜夜９時『メイちゃんの執事』。子ども向けコメディ枠ですが、今回はイケメン執事付き女子高が舞台という、妄想炸裂モードですから、大人の視聴者は全く無視でしょう。主役に水嶋ヒロ、共演に榮倉奈々、佐藤健、山田優、向井理、岩佐真悠子、津川雅彦ら。当然ターゲットから大きく外れる僕はあまり食指が動きません。これこそジャニーズドラマじゃないとダメなんじゃないかと思いますが、水嶋ヒロにどれだけパワーがあるか試されるところです。

　いにしえのマンガを現代にドラマ化するのが日テレ土曜夜９時『銭ゲバ』。１９７０年にその反社会的内容で話題になったジョージ秋山の問題作です。よくぞこんな作品を持ってきたなと思います。脚本が岡田惠和、主役に松山ケンイチですから、なかなか期待できそうです。他にミムラ、宮川大輔、りょう、椎名桔平、光石研、木南晴夏、石橋杏奈ら。この枠ならではのお子さま向けに仕上がるのか、原作を踏襲して結構大人向けになるのかで評価が分かれそうです。

　僕がとりあえず初回を見たいのは『トライアングル』『ラブシャッフル』『ヴォイス　命なき者の声』『銭ゲバ』あたりですが、最後まで見続けるのは１本か２本でしょうね。