最近のキーワードは「この御時世」です。会社が潰れそうだとか仕事がないとか、そういう話を聞くと「この御時世ですからね」となりますし、逆にビルを建てたとか新車を買ったと聞いたら「この御時世に」と驚きます。いずれにしても今の「御時世」はとことん景気が悪く、実感としてはバブルが弾けた時よりひどいです。たぶん、変化が急激だったために、気持ちも財布もついていかないのでしょう。

　ただもしいまお金を持っている人がいるとしたら、その人はさぞかし愉快だろうと思います。なにせ世の中全てが「売れない」から安くして「買ってくれ」と頭を下げている状況ですからね。デフレ懸念がでるほど物価は下がりつつあります。高騰していたガソリンは近来ないほど安値になり、しかも中古車はダンピング中。高級車ほど売れないので大幅値引きしてくれます。車好きにはたまらない状況です。

　海外旅行は円高で割安感たっぷり。特にウォン安の韓国ツアーは大人気らしいです。もちろんブランド品も円高で割安になっています。シャネルやヴィトンやプラダが欲しいなら、今こそ買い時です。服も売れるのはユニクロとＨ＆Ｍばかりなので、高価なブランドほど苦しんでいます。この冬のセールは近来ないほど値引きが拡大するかも知れません。しかもそれでも買える人は減っているので、セールの行列も短くなることでしょう。

　住宅も随分と安くなりました。不動産価格は低落を続け、売れ残り物件は叩き売りしています。金利はさらに下がりそうな上、住宅ローン減税は来年から大幅拡大します。さらに家電も家具も売れないので値下げしていますから、新居に大型家電と高級輸入家具を入れたいなら今が大チャンスです。それでもお金が余っていたら株を買いましょう。こんなに株安ならじゃんじゃん買って数年後には大儲けです。

　残念なことに僕はこの２年間でそれらをやってしまいました。マンションを買い、大型家電と家具を入れ、車も買い替えてしまいました。マンションを売った金は投信と株になって半減です。お陰で今や貯金はなくローンの残高は嵩み、学校や塾からの請求書に怯える毎日です。こんな「御時世」になることがわかっていたら、２年待ったんですけどね。さぞかし金の使い甲斐があったことでしょう。時代を先読みする目もタイムマシンも持ってなくてつくづく残念です。