幹事クリタのコーカイ日誌2008

[ 前日翌日最新今月 ]


 
12月27日 ● 最強アスリート国枝慎吾の偉業。

 ちょっと旧聞になるのですが、東京運動記者クラブのテニス分科会というところが、2008年の日本のテニス選手の最優秀選手に錦織圭を選び、さらに特別賞として国枝慎吾、クルム伊達公子、杉山愛の3人を選んで表彰したそうです。

 この選出に文句はありません。というか、今年のこの4人はそれぞれに甲乙つけがたいほどの活躍でした。例年なら間違いなくみな最優秀賞でしょう。錦織と伊達に関しては、この「コーカイ日誌」でも再三再四取り上げていますから、改めてその業績を繰り返す必要はないでしょう。今年の日本テニス界はこの2人のお陰で一般にもかなりアピールできました。杉山愛についてもこちらで書いていますが、彼女のグランドスラム58大会連続出場の世界記録というのは、もっと高く評価されて良いと思います。プロ野球の衣笠の連続出場記録に勝るとも劣らない偉大な記録なのですから。

 そして国枝慎吾です。車椅子テニスの世界チャンピオン。それも単なるチャンピオンではありません。昨年は車椅子テニスの年間グランドスラムを達成し、今年は北京パラリンピックでも金メダルを獲得したのです。しかも今年の成績はなんと40勝0敗。勝率10割です。それでなぜ今年も年間グランドスラムじゃないかと言うと、パラリンピックと全米オープンが重なっていたので、パラリンピックに出たからだというのですから、実質的には2年連続の年間グランドスラムに相当する桁外れの存在です。

 しかも国枝はただ強いだけではなく、杉山愛のブログにも書いてあるように、彼のテニスは障害者スポーツという枠をこえた激しさと力強さを持ち「魅せる」アスリートとして世界に君臨しています。あの生ける伝説フェデラーが尊敬するテニスプレーヤーとして彼の名前を挙げたという話もありました。特に片手バックハンドの強打はフェデラーも超えるテクニックだという噂です。実際に国枝のプレーを生で見たことがないのが残念なのですが、もし名古屋で彼がプレーすることがあったらぜひ見に行きたいと思っています。

 僕は単なるテニスバカですが、この先どんどん年を重ねていったら、いつまで今のようにテニスができるのかと不安に感じる時があります。目がかすみ、足がもつれ、肩も回らなくなり、よたよたとコートをはいずるようになる日が来るのでしょう。しかし、そんな想像をする僕にとってアスリート国枝は希望であり励みです。どれだけ身体的なハンデがあろうとも、本人のモチベーションさえあればテニスはどこまでも追求できる証左です。日本人で世界に君臨する最強の、そして最も無名なアスリートです。