幹事クリタのコーカイ日誌2008

[ 前日翌日最新今月 ]


 
12月26日 ● 極私的ドラマアカデミー賞2008。

 昨年に続いて今年もテレビドラマの「幹事クリタ」版アカデミー賞を考えてみたいと思います。

 まず作品賞。ノミネート作品5本は『ロス・タイム・ライフ』『CHANGE』『風のガーデン』『流星の絆』『篤姫』です。『ラスト・フレンズ』を迷いましたが、作品の力はあるものの、破綻も多すぎてちょっとノミネートには及びませんでした。あくまでも作品賞なのでドラマとしての完成度優先で選びました。

 この中で1本というと『ロス・タイム・ライフ』です。人生にもしロスタイムがあったらどう生きるかという真摯なテーマを、サッカーに見立てたライトなコメディに仕上げてみせたスタッフの力量を評価します。さらに毎回の出演者も豪華で、フジテレビドラマ班の力を見せた傑作でした。次点は『流星の絆』で。シリアスとコメディの隙間を縫うようなマニアックな作り方は斬新でした。他の作品もなかなか見どころが多く面白かったので今年の作品賞は僅差です。

 次に主演男優賞。ノミネートは小日向文世(『あしたの、喜多善男』)、木村拓哉(『CHANGE』)、速水もこみち(『絶対彼氏』)、二宮和也(『流星の絆』)、中井貴一(『風のガーデン』)。普通に考えれば二宮、中井という演技の評価の高い役者を選ぶべきかも知れませんが、あえて個人的に速水もこみちを選びます。大根役者、低視聴率役者と評価の低いもこみちですが、それを逆手にとったロボットという役を割り振ったキャスティングの勝利。その期待に応えた彼にしか表現できない見事なロボットぶりだったと思います。次点は中井貴一で。やはり上手いです。あれだけ淡々と難しい役を演じられるのは素晴らしいと思いました。

 次に主演女優賞。ノミネートは以下の5人。小雪(『佐々木夫妻の仁義なき戦い』)、長澤まさみ(『ラスト・フレンズ』)、相武紗季(『絶対彼氏』)、多部未華子(『ヤスコとケンジ』)、宮崎あおい(『篤姫』)。今回5部門の中で唯一不作と言うしかない部門です。元気な若手女優が多い割には主演としてこれといった活躍を見せた女優が少ないのが残念です。ここは文句なしで宮崎あおい。なんだかんだ言っても今年の『篤姫』ブームの源は宮崎の演技に尽きます。次点はコメディで体を張って頑張った多部未華子。彼女は将来小林聡美のようなコメディもシリアスもできる女優に成長しそうです。

 助演男優賞は今回一番充実していた多士済々の部門です。ノミネート5人に絞るだけでも大変でした。瑛太(『ラスト・フレンズ』『篤姫』)、錦戸亮(『ラスト・フレンズ』『流星の絆』)、三浦友和(『薔薇のない花屋』『流星の絆』)、緒形拳(『風のガーデン』)、堺雅人(『篤姫』)。ベテランも若手も良い仕事をしました。かなり迷いましたが、やはり今年は錦戸亮。特に『ラスト・フレンズ』の演技は衝撃的でした。次点はやはり2作品で好演を見せた瑛太。彼は次回作ではいよいよ主演のようですが、本当は脇でこそ力を発揮するような役者だと思います。

 助演女優賞。ノミネートの5人は黒木メイサ(『1ポンドの福音』『風のガーデン』)、綾瀬はるか(『鹿男あをによし』)、上野樹里(『ラスト・フレンズ』)、深津絵里(『CHANGE』)、広末涼子(『ヤスコとケンジ』)。若手と中堅の戦いですが、のだめと全く別のイメージを作り上げた上野樹里に。彼女の演技力の高さを証明しました。次点は黒木メイサ。女優としてのオーラの強さはさすがに倉本が惚れるだけのことはあります。

 最後に特別賞ですが、緒形拳に。死の直前まで鬼気迫る演技をしていたことにリスペクトして。また期待外れ賞は『太陽と海の教室』と『ごくせん』に。前者は全てが空回りしてしまい、もうグダグダでした。後者は視聴率こそ稼いだようですが、内容は三番煎じ以外の何ものでもなく、出がらしでまずいお茶みたいでした。