幹事クリタのコーカイ日誌2008

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7月19日 ● 野茂と朝青龍。

 野茂がとうとう引退宣言をしました。すでに3年くらい前から引退同然ではありましたが、再起をかけて懸命に努力をしてきましたが、残念ながら40才での奇跡のカムバックとはいかなかったようです。今年春に僕が注目した日本人投手不惑カルテットの野茂、桑田、高津はこれでみんな引退し、残るは藪だけです。その藪が結構活躍しているのは立派だと思います。

 野茂の引退は残念ではありますが、彼の功績の大きさは誰も否定することはできないでしょう。それは日本人メジャーリーガーのパイオニアとしての役割はもちろんですが、一人の野球選手として見ても、残した数々の記録は立派に一流のものであり、また彼が一流だったからこそ日本人のパイオニアになり得たわけです。

 さらに言えば、野茂が渡米した頃は、まだ長期ストライキの余波でアメリカの野球人気が大きく落ち込んでいた時でした。その時に鮮烈にトルネード投法でデビューし「ノモマニア」を生みだし、野球の人気を取り戻したということも大きな彼の功績です。日米双方の野球界にとって野茂は名前通りの「英雄」でした。

 そんな野茂の引退のニュースと時を同じくして、大相撲の朝青龍が休場するというニュースも流れてきました。朝青龍も異国の地のスポーツでトップに登り詰めた外国人として考えれば、野茂と同じ立場です。ただ朝青龍はパイオニアではありません。モンゴル出身の先輩として旭鷲山もいましたし、外国人横綱の先輩として曙、武蔵丸、そして外国人力士のパイオニアとして野茂のような立場で苦労した高見山もいました。

 朝青龍は母国モンゴルでは「英雄」のようですが、残念ながら日本では「悪役」に甘んじています。野茂のように両国でヒーローではありません。彼は高校時代から日本にいて、先輩の切り開いてきた道をスイスイと歩んでスピード出世してきました。平成の大横綱として優勝も積み重ねてきましたが、あまりに苦労せずに順調にきてしまったために、人間的な成長がきちんとできなかったようです。そのツケをここにきて払わされているように感じます。

 もちろん朝青龍は若くて引退するような年齢でもありません。今さらキャラクターを悪役から変えるのも難しいでしょうから、そこで無理をする必要はありませんが、悪役は強くなければ無意味なので、鍛え直して強い悪役として復活してもらいたいものです。