今年で僕の母は70才。古希です。父が昨秋死んで介護から解放されてからはやたらと元気で、週に３回スイミング、４回カラオケ教室に通っていて、毎月泊まりがけで旅行に行っています。神戸だ京都だ房総だ高知だ隠岐だ北海道だと、今年になってからだけでもどれだけ旅行に行っていることやら。父がいなくなって後顧の憂いなく遊びに行けるのでやりたい放題です。

　で、父が70才の時にも古希の祝いに沖縄旅行に連れていったので、今回も母にどこか連れていってやろうかと相談しました。ただネックは予算。と言うのも、冬のボーナスで仏壇を買った僕は、今度の夏のボーナスで墓石を購入する予定だからです。墓石の値段は仏壇同様ピンキリですが、安くても数十万円の買い物。ボーナスは一発で吹っ飛びます。

　墓石買わなければいけないから古希の旅行どうする？と母に聞いたら、全く予想した通りの答が戻ってきました。「墓は初盆や一周忌に間に合わなければならないってことはないから来年の春でもいいわ。旅行に行こう。お父さんはわたしが毎日お祈りしてあげてるから大丈夫」だって。さすが我が母。きっとそう言うだろうと思いました。

　死んだ父への親孝行より生きている母への親孝行が優先。僕もそう思います。夏休み中の家族５人分の旅行代は墓石代よりもきっと高額になることでしょうが、これが生きたお金の使い方だと思ってパーッといくつもりです。ただ怖いのは、この母は百歳まで生きそうなくらい元気なこと。親孝行するこちらが先に倒れそうです。