幹事クリタのコーカイ日誌2003

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5月28日 ● 子どものネーミング。

 子どもの名前を付けるのは難しいものです。主観的なものなので、人の意見を聞けば様々なことを言われますし、時代性もあります。周りや親戚に同じ名前の子がいないかとかも考慮しなければならないし、さらに姓名判断まで考えると本当にぐちゃぐちゃになります。一番良いのは、自分で「エイヤッ」と決めてしまうことですが、それで「悪魔」くんでもまた困りますしね。

 会社の後輩S井くんにも初めての子どもができました。いよいよ来月が予定日なのですが、すでに妊娠がわかった直後からずっと名前をどうしようか、ランチを一緒に食べながら僕たちも「真剣に」考えています。

 S井くんからのオリエンは「漢字一文字で国際性がある名前」ということでした。一見これからの時代にマッチした考え方のようですが、実は彼の名前が「謙」なので、それに倣おうといういわば親のエゴです。別にそんな縛りはない方が良いと思うのですが、父親になる人が言うことですから、その線で僕たちも案をプレゼンしました。

 まず国際性ということですが、グローバルスタンダードはアメリカンスタンダードではない、という観点から、今後日本が大事にすべきは、対露、対中関係だと考えました。特に鈴木宗男なき今、ロシアに強いことは将来の活躍に大いに役立つはずです。

 そこで女の子なら「ナターシャ」、男の子なら「ニコライ」にしようとまず決めました。あくまでも漢字一文字ということなので、ナターシャは「」です。つまり「鉈(なた)」が斜体になっているから「鉈斜(なたしゃ)」。なかなか名前が斜めの人はいないと思いますが、それだけユニークでオリジナル性が高いと言うことですし、斜に構えている女性もカッコ良いです。僕の過去のネーミングでも間違いなく最高傑作のひとつでしょう。

 これと同じでニコライは「来来(来の字を二つ重ねて一文字に見せる)」。つまり二個「来」です。もちろん中国では「ライライ」とパンダのように呼んでもらって構いません。日本とロシアと中国を結ぶことができる素晴らしいネーミングです。苗字と脚韻も踏んでいるし、我々としてはこのアイデアに大満足だったのですが、なぜか父になる予定の人はどちらも気に入ってくれません。

 その後もいろいろと傑作なネーミングを提案してきたのですが、先日遂に本人が「もう決めました」と言うではありませんか。なんでも男の子であることはわかったので「想生」とするというのです。これで読みは「そう」だそうです。

 もちろん我々は先輩として猛反対しました。そもそもオリエンの「漢字一文字&国際性」というのはどうなったのか、という思いもありますが、それだけではなく「想生」は「そうき」とか「そうせい」とか読まれてしまうので、「そう」と読ませるのも無理があるからです。

 この子が将来名前を聞かれた時に「君の名前はそうせいと読むの?」「そうです」「そうせいだね?」「いえ、そうじゃなくって、そうなんです」「だからそうせいだろ!」「だからそうですってば!」という余計なトラブル、もしくは落語のような会話を繰り返す羽目になることは自明です。先輩としては、そういう簡単なこともわからない後輩の思慮の浅さを改めさせるのも人の道だろうと思って、真剣に男ならやっぱり「来来」にしなよ、と勧めたのですが、未だにS井くんは頑として首を縦に振りません。なぜでしょう?

 いよいよ来月上旬に迫った出産予定日。僕たち先輩の提案と忠告も聞かずにS井くんが「想生」で突っ走るのか、もしくはよくよく考えてやっぱり「来来」の方が良いなと思い直すか楽しみにしています。


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