幹事クリタのコーカイ日誌2003

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5月21日 ● 朝青竜はヒールたりえるか。

 横綱朝青龍がやってくれました。モンゴルの先輩旭鷲山との対戦で、ぶち切れ暴走。じらされて張られて、挙げ句にはたかれて土をつけられると、物言いを求めて九重審判長(千代の富士)を睨みつけるは、旭鷲山と肩が触れたらさがりを振り回して叩き付けるはで土俵上で醜態を晒しました。

 控えに戻ってからも大声で「チキショー!」と怒鳴って、報道陣には「今度はやり返してやる」など暴言を吐いたとか。見事なまでのヒールぶりです。胸がすくような悪漢ぶりにかえって嬉しくなるくらいです。来場所以降の朝青龍vs旭鷲山戦は遺恨試合となるので大いに楽しみです。

 もちろん朝青龍は「横綱としての品格」を問われてしまう訳で、散々な悪評のようですが、そもそも彼の品格に「疑いあり」なのは、誰しもわかっていたこと。わかっていて貴乃花引退後の新しいスター欲しさに横綱に昇進させたのですから、この程度のことは協会も覚悟をしておくべきでしょう。

 それよりも、朝青龍のこの暴れっぷりで、大相撲が久々に大リーグよりも話題になったことに注目すべきです。ここのところ角界が沈滞していた原因は、スター不足にあることは先日僕がここにも書きました。スター不足とは、要は注目に値する「こいつの相撲は見逃せない」と思わせる力士がいないということです。

 しかし、朝青龍がこうやって野生児のように暴走すれば、当然ファンは注目します。今度はどんな暴れん坊ぶりを発揮するのかとハラハラドキドキしながら相撲を見るはずです。圧倒的な力を持つヒールが暴れ回り、それを誰が止めるのか、その構図こそ格闘技の真骨頂であり、興行のあるべき姿です。

 だから問題は朝青龍の「品格」よりも、彼に対抗すべきベビーフェイスが今の大相撲にはいないことにあります。かつての歴代ヒールたち、北の湖には先代貴ノ花、小錦には千代の富士、曙には貴乃花がベビーフェイスとして対抗してきました。圧倒的な力を持つパワーファイター型のヒールに対し、悲愴感を漂わせる一回り小さい正統テクニシャン型のベビーフェイスが挑むという図こそ大相撲の醍醐味です。

 そういう意味で言えば、本当は朝青龍はヒールとしてのスケールが少々不足しています。従来の役の割り振りなら彼がベビーフェイスになって、誰か巨漢力士に挑むというのが美しいのですが、残念ながらそれだけの実力がある力士がいないために、朝青龍がヒール役まで引き受けてしまっているようです。ベビーフェイスでもヒールでもいいから、彼に対抗できる力士が出てこないと、朝青龍もいつまでも暴れてはいられないでしょう。「モンゴル対決」しか売りがないんじゃね、と、秘かに「座長」朝青龍がため息をついていそうです。


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