幹事クリタのコーカイ日誌2003

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5月20日 ● SARS差別。

 SARSに感染していた台湾人医師のお陰で、もうマスコミは大喜びです。彼が旅行した先を逐一追って、どこかにSARSの足跡はないかと探し回っているようで、正直良い気はしません。あれだけ取り上げられてしまったホテルやレストラン、観光地は大打撃でしょう。

 かつてカイワレの時の風評被害を思い出します。今や関西地方はSARSに汚染された地域としてマスコミに烙印を押されてしまいました。天橋立や淡路島、姫路城などへの旅行をとりやめた人もいることでしょう。出張先のホテルを変更したビジネスマンはどれくらいの数にのぼるのでしょう?

 そりゃ東京のマスコミから見れば「関西に行かなければいいんだろ」で済むことでしょうが、その他人事っぽいスタンスがまた見ていてイヤな気分になります。台風でも地震でも大雪でも、とにかく東京に影響が及ばない限りは対岸の火事、いざ東京に少しでも被害があると大騒ぎ。たかが数センチ雪が積もったくらいで、大事件が起きたように全国ニュースで騒ぐなと毎度思います。

 それにしてもSARSが上陸したらもう日本は破滅するかのような騒ぎっぷりは何とかならないのでしょうか?あまりにものマスコミの過剰反応ぶりは、腹立ちを通り越して滑稽であり、さらに滑稽を通り越して恐ろしくさえあります。SARS報道にジャーナリズムとしての冷静さは感じられず、とにかく視聴者・読者が関心があるから、何でもいいからネタを拾ってこい、という印象。冷静に報道するよりも、怖がらせた方が売れるから、ということなのでしょうか?

 そして怖いのは、マスコミの過剰反応が新たな差別を生むことです。すでに「外国人お断り」というホテルなどが現れたということですが、明らかにそれは差別でしょう。もし日本人がアメリカやヨーロッパに行って、「お前たち東アジアの人間は泊められない」と言われたら憤慨すると思います。全く健康であるにも関わらず、中国に近い国だと言うだけで差別をされるのです。

 SARSに感染していない人はもちろんですが、例え感染者であっても差別されるいわれはありません。もちろん、二次感染が広がらないようにきちんと対策をとることは不可欠ですが、それと感染者を必要以上に遠ざけたり貶めたりすることは別問題です。

 これだけ外国との行き来がある日本において、SARSを完全に防げるとはとても思えません。それよりも、SARSに対する正しい知識と対処法をきちんと広めて、不幸な感染者にさらに礫を投げるような真似はしないようにしたいものです。


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