幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 12月15日 ● 忠臣蔵。

 昨晩は討ち入りの日ということで(今年は吉良上野介の299回忌だそうです)、日本テレビ系列で『忠臣蔵 47人の刺客』(1994年)を放送していました。主演は高倉健、共演は中井貴一、宮沢りえ、石坂浩二、浅丘ルリ子、西村晃、森繁久弥など豪華というか重厚なキャストです。健さん好きの僕ですが、これは見逃していただけに、ついつい最後まで見てしまいました。

 作品としては大して感動はしなかったのですが、面白いと思ったのは、この映画が観客は忠臣蔵を知っているはずだ、ということを前提にして作られていることです。たかだか2時間半に忠臣蔵をまとめるわけですから、松の廊下から討ち入りまで克明に描くことなど不可能です。そこで、人間関係の解説は全て省略、時代背景の説明もなし、個々のエピソードもハイライトシーンだけを見せていくという手法をとっています。主眼はこれまでとは違う新解釈の忠臣蔵を見せることにあるので、「これまで」の忠臣蔵を知らない人には、さっぱり要領を得ない映画なのではないかと思います。

 もちろん年配の人なら忠臣蔵を知らないわけがない、という前提でOKだとは思いますが、30才以下は驚くほど忠臣蔵を知りません。これは3年前にもここで書いたように、僕がサークルや会社の若い連中に質問してみたことがあるので実感しているのですが、今の20代の多くは、日本の古典的教養というものが驚くほどに欠如しています。忠臣蔵という言葉は聞いたことがあっても、ストーリーや登場人物を説明しろと言われると、途端に詰まってしまうのです。

 昔と違って、今は家庭で時代劇を見るということが本当に少なくなりました。古典落語も若い人はほとんど聞いたことがないでしょうし、ましてや講談なんて僕たちでも知りません。知識を得るとしたら、マンガやアニメくらいでしょうが、これがまたかなりデフォルメが激しいので、現代劇にしか思えない作品が多々あります。

 忠臣蔵だけではなく、明治以前の社会風俗や庶民文化についての知識が、このままではどんどん特殊なものになっていくことでしょう。自国の歴史や文化を上からではなく、足元から伝承していくようなメディアが、もっとないものかと思います。

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