幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 10月26日 ● 古田の日本一。

 日本シリーズ第1戦終了の時点でこちらに書いたように、大阪近鉄“いてまえ”打線がものの見事に古田に封じ込められて、あっさりヤクルトが日本一に輝きました。当然MVPも古田が獲得しましたが、本当にあの「のび太」の手の平でいてまえ打線が転がされたようなシリーズだったと思います。

 思い返して見れば、近鉄打線が唯一打ちまくった第2戦、あそこがこのシリーズのポイントだったような気がします。第1戦は古田のリードもさりながら、石井一久という当代一のサウスポーの力の勝利でした。古田にしてみれば、石井の球威があればどんな強力打線だって抑えて当たり前、と思ったことでしょう。問題は、石井より遥かに球威の落ちる他の投手が登板した時に、いかに抑え込むかです。

 そこで第2戦です。古田は試合を途中で捨てたのではないかと僕は思っています。いや、もしかしたら最初から捨てていたかも知れません。捨てた代わりに何を得たのか。もちろん、いてまえ打線の強みと弱みです。初戦を勝ったことで余裕の生まれたヤクルトとしては、残り6試合で3勝するために1試合を捨て石にして、いてまえ打線を試したのです。各打者の調子、得意と苦手なコース・球種、狙い球の絞り方などを、古田はスコアラーのデータを実戦で確認するために、この第2戦を使ったのだと思います。

 そこで完全にいてまえ打線のツボを掴んでしまった古田としては、後の試合は楽な展開だったと思います。下位打者は完全に抑え込まれてしまいました。後は怖いローズと中村を分断するだけ。ソロホームランにとどめて大量失点さえ防いでおけば、強力ではないヤクルト打線でも何とか取り返してくれるからです。

 逆に近鉄にしてみれば、初戦を石井に力でねじ伏せられてしまったものの、次の試合で爆発して「いける」と思ったことでしょう。それが落とし穴でした。最初の2試合で力と力の勝負だと勘違いしたまま振り回し続け、古田に言いようにかわされてしまったのです。優勝が決まった第5戦のテレビ解説で達川がくどいくらいに近鉄打線の「センター返し」の必要性を唱えていましたが、達川には古田のリードが理解できていたのでしょう。

 姑息なまでに戦略的な古田のリードに、前近代的な近鉄打線が翻弄されてしまった日本シリーズ。同じような構図の対決(古田=伊東、ローズ=バース、中村=掛布)ながら、西武を一人で打ち砕いた1985年のバースのような神がかり的パワーは、ローズにはなかったということでしょうね。

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