THE BILLY TAYLOR TOUCH (ATLANTIC)

BILLY TAYLOR (1951/2/20,1957/10/28)

THE BILLY TAYLOR TOUCH


【パーソネル】

BILLY TAYLOR (p) EARL MAY (b) <#1-4> ED THIGPEN (ds) <#1-4>
JOHN COLLINS (g) <#5-11> AL McKIBBON (b) <#5-11> SHADOW WILSON (ds) <#5-11>
【収録曲】

(01-02) YOU MAKE ME FEEL SO YOUNG / EARL MAY
(03-04) CAN YOU TELL BY LOOKING AT ME / I GET A KICK OUT OF YOU
(05-07) WRAP YOUR TROUBLES IN DREAMS / WILLOW WEEP FOR ME / GOOD GROOVE
(08-09) WHAT IS THERE TO SAY / THOU SWELL
(10-11) THE VERY THOUGHT YOU / SOMEBODY LOVES ME

【解説】 ( 2013年02月03日更新 / 連載 1,064回 )

 みんな、完成写真は完成したかな? 僕はですね、ぼちぼちです。 とりあえず、ぬっくん関連の工事 ( ← ここ 参照 ) だけは片付けました。 電子納品の場合、完成写真帳はどうすればいいのか今ひとつよく分からなかったので、とりあえずは何か言われるまで、しらばっくれることにしたんですが、わりと早い段階で何か言われちゃいました。 「あと、完成写真帳も必要です。」 そう、淡々と告げられました。 それはアレかい? A4の紙を横にして着工前と完成の写真を並べて、上に薄紙を1枚付けて施工箇所を赤く塗るという、あの無駄にクソ面倒なヤツを作って持って来いという、そういうお達しなのかい? おそるおそる、その旨の問いを投げかけたところ、 「そうです。」 という、これまた淡々とした回答が得られました。 こと事務手続きに関しては、実に淡々とした態度で臨む若者なんですよね、ぬっくん。 で、 「1部でいいっすかぁ?」 と訪ねたところ、しばしの沈黙の後、「いい…です。」 という、やや自信なさげな答えが返って来たんですが、言質は取りました。 もし、後から 「やっぱり2部にしてぇ♪」 と懇願されたりしても、僕は聞く耳を持ちません。 あんた、1部でいいって言ったやんっ!

 ということで僕はその日の夜、頑張って完成写真帳を1部作成して、翌日、それを持参して敵地へと赴いた次第でありますが、ぬっくんはしばしそれを眺めた後、上司のところに向かって、 「完成写真帳を出して貰ったんですけどぉ…。」 あ、これはちょっとヤバい展開ですな。 ぬっくんは新人クンで、基本的にまだ物事があまりよく分かってないようなので、同じように物事がまだあまりよく分かってない僕でも何となく丸め込める自信はあったんですが、その上司となると話は別です。 何せ相手はオッサンですからね。 理屈で攻めても聞く耳を持たないに違いなくて、無理が通れば道理が引っ込む。 この諺はオッサンの為に作られたと言っても過言では無く、泣く子と地頭とお役人には勝てないやぁ。 そう思って諦めるしかないんですが、向こうのほうでオッサンとぬっくんが話している声が漏れ聞こえてきます。 ちゃんと着工前と完成の写真を並べたし、上に薄紙を1枚付けて施工箇所も赤く塗ったし、ぐうの音も出ないほど完璧っ! そんな自負を持って送り出した作品だったんですが、オッサン曰く、 「新規の工事じゃなくて修繕だから、着工前の写真は要らん!」 って、えー、マジかよ? ま、確かに修繕だと着工前も完成もあまり代わり映えがしなくて、何をどう修繕したのかよく分からん写真になりがちなんですが、今回は明らかに部品の見た目が変わったヤツがあって、ビフォー・アフターが一目瞭然。 これぞまさしく、非の打ちどころがない “ザ・完成写真” だねっ♪ そう思えるような渾身の仕上がりだというのに、それでもまだ君は着工前の写真が不要だというのか!? 懇々と自説を説きたい気持ちで一杯でありましたが、何を言っても聞き耳を持たないに違いなくて、ここは黙って耐えるしかありません。 「じゃ、出し直しということで。」 「うん。」 向こうのほうで勝手に評決を決められてしまいました。 で、上司の下(もと)を離れたぬっくんが僕のほうにやって来て、 「じゃ、そういうことで!」

 ちなみに完成写真というのはどういうものなのかというと、 これ 。 今回とは別の工事のものなんですが、 着工前も完成もあまり代わり映えがしねぇ! そう言いたくなる気持ちは分からんでもありませんな。 が、よく見ると 「1号」 というシールが変わっているし、丸い輪っかの方向も違うし、間違い探しに使える程度には 「完成」 しているのが分かって頂けるかと思うんですが、検査員ならそういうところを見抜いてくれないとー。 「着工前」 と 「完成」 をいかに同じ構図で撮るかというのが完成写真のキモでありまして、これがバッチリ決まると完成検査の際、検査員の心証がよくなります。 いや、多分。 少なくとも着工前と完成がとても同じ場所で撮ったものとは思えないような構図になっちゃった時には、 「もうちょっと何とかならなかったのか?」 と、検査員に嫌みを言われたりしました。 僕は血液型がA型で根が几帳面で神経質で職人肌なので、着工前の構図と寸分も違わぬ完成写真を撮れるように心血を注いでいるんですが、中には適当で大雑把でサメ肌のヤツもいたりしますからね。 そういうヤツに写真を頼むと心血を注がずに半ケツで適当に撮ったりするので、検査員の心証を著しく損ねる結果に終わってしまったりします。 今回の作例は自分で何とかしようと努力はしたものの、ちょっぴり角度が変になっちゃっているんですが、色々と試してみた結果、今のところいちばん確実と言えそうなのは “着工前と完成を一緒に撮っちゃう法” ではなかろうかと。 普通は工事に着手する前に 「着工前」 の写真を撮って、工事が終わってから 「完成」 を撮るんですが、その発想を180度転換して、工事が終わった後で 「着工前」 と 「完成」 を同時に撮っちゃおうという。 2枚続けてバシャ、バシャと連射してやれば、まず確実に同じ構図の写真が2枚撮れますからね。我ながら何て賢いっ♪ この方法の唯一の弱点は着工前の写真が工事に着手する前に撮ったものだとはとても思えなくて、完成した後で撮ったんじゃないか? そう思われてしまうところにあるんですが、あまりにもぴったり構図が同じなので、そう誤解されちゃうのも仕方が無いんですけど。 完璧過ぎる仕事というのはチートを疑われるのが常でありますからなぁ。 で、僕くらい頭が賢い現場監督になると、敢えて “不完全” にするという高等テクを使うことになるんですが、構図をほんのちょっとだけズラしてみたり、カメラのホワイトバランスを変えて色合いを変えてみたり。 ただ、いくら小細工を弄してみたところで、 「着工前」 も 「完成」 も被写体はまったく同じだったりするので、工事の前と後でまったく見た目が変わらないような特殊な修繕以外にはまったく使えないというのが、ま、弱点と言えば弱点かと。

 工事の前後で見た目が大きく変わってしまう物件に関しては 「着工前」 の写真をプリントアウトして、そいつを見ながら 「完成」 の構図を決めるしか方法が無いのが実情だったんですが、ここに来て画期的なアイテムが登場しました。 聖地巡礼!あのしーんカメラ 。 そう、これっす。 役所相手の工事写真で、果たしてスマホのカメラで大丈夫なのか? そういう問題があるので、僕の場合は Coolpix S800c を使っているんですが、 ここ でもネタにしましたよね。 恐らく世間ではもう 「無かったこと」 にされている、企画倒れの失敗作であるに違いないんですが、個人的にはお仕事で大いに重宝しております。暗算が超苦手なので計算機は必須だし、漢字がぜんぜん書けないので工事写真の黒板を書くのに電子辞書がないと困るんですが、このカメラさえあれば1台で大丈夫。 ストップウォッチで時間だって測定出来ちゃうし、カメラ系のアプリでは CamScanner が使えてめっちゃ便利♪ 配管tap などという、配管職人を監督する業務に従事する人にとっての神アプリもあったりするし、出来れば現場監督用に特化した防水防塵仕様で無駄に丈夫で、バッテリー持ちのいい新モデルを出してくれれば言うことはないんですけどねー。 で、肝心のヲタ用カメラの使い勝手はどうなのかというと、うーん、まあ、ぼちぼち? 完全に同じ構図にしようとすると、かなり苦労することになるんですが、敢えて “不完全” な完成写真を撮るくらいの気持ちでいれば、ま、そこそこはアレだったりします。 で、一度くらいは本業のほうで使ってみたくもなりますよね。 春になったら聖地巡礼とか、してみますかね? どこがいいっすかねー? 聖ブルセラ学園とか?

 とまあそんなことで、写真そのものは何とかなりそうな目処がついたんですが、それだけでは完成写真は完成しません。 A4の紙を横にして着工前と完成の写真を並べて、上に薄紙を1枚付けて施工箇所を赤く塗るという、あの無駄にクソ面倒な作業をしなければならんのですが、前半に関しては EXCEL に写真を貼り付けてやれば大丈夫。 問題は施工箇所を赤く塗るという作業なんですが、昔は写真の上にトレーシングペーパーを被せて、赤鉛筆で地道に手作業で塗っていたんですよねー。 2枚くらいなら軽い暇つぶし気分でわりと楽しく作業に励むことが出来るんですが、数が多くなってくると苦痛以外の何物でもなくて、無理っ! 今回、泣く泣く 「着工前写真」 を無くしたバージョンを作成して提出したところ、夕方になってぬっくんから電話が掛かって来て、 「完成写真帳、やっぱりもう1部下さいっ♪」 などとぬかしやがったんですが、昔だったら殺意が芽生えるところでした。 最近はパソコンで色塗りをするようになったので、急な増刷以来もちょっぴり蹴りを入れたくなる程度のムカつきだけで快く受け入れることが出来るようになったんですが、ちなみに僕が色塗りに活用させて貰っているアプリは こちら 。 え、何これ? まだこんなの使ってるの〜。ダサっ!! そう思わずにはいられませんが、ま、2008年ですからね。 5年ほど前の僕は未熟だったと認めずにはいられませんが、書いてるネタも今回と丸かぶりだったりするしー。 ま、もうすぐ節分で丸かぶり寿司の季節だから、それはそれでいいんですが、よくもまあ、こんなクソ面倒な方法で色を塗って、それで満足していたものでありますなぁ、5年ほど前の僕。 超画期的な色塗りの方法を確立したっ! …と、意気揚々だったりしたんですよね、当時の僕。 タケムラくんが自力で開拓したのか、あるいは誰かの真似をしたのかは知りませんが、 “EXCELの描画機能で色を塗る法” というのをやっていて、それが我が社では急速に普及したりしたんですが、あんなのは邪道や!輪郭抽出こそが色塗りの王道や! そう言い張って、頑なまでに自分流を崩そうとはしませんでした。 その結果、社内で孤立して、居心地が悪くなったりしたんですが、天才はいつの時代にも世間からは受け入れられずに、孤独な道を歩くことになっちゃうんですよねー。 辛いんですが、耐えるしかありません。

 …が、どう考えても “輪郭抽出法” は面倒だし、かと言って、今さら “EXCEL法” に転ぶのも癪だし、何とかしてもっと簡単に色を塗る方法はないものか? 試行錯誤を繰り返し、歯垢削除も惜しんで歯クソまみれで色々と試してみた結果、よさげなアプリを発見しました。 AzPainter というヤツです。 いつの間にやら新バージョンが出ているようですが、既に新しいものは受け付けない脳味噌になっちゃったので、旧バージョンで十分。 今さら新しい操作法とか、覚えられるかー! で、こいつのどこがよかったのかと言うと、レイヤー機能。 レイヤーさえあれば、えいやーで何とかなるんじゃないか? そう踏んだんですが、結果は上場。…って、株式を公開するほどの事ではないんですが、結果は上々だじょー。 あまり詳しくない説明が ここ にあるんですが、元画像を読み込んで、新しいレイヤーを作って、そっちのほうにお絵かきするというのは、まさしくトレペを被せてそこに色を塗る感覚。 何だか色々な機能があり過ぎて、新しいものを受け付けない脳味噌ではちょっと辛いものがあるんですが、完成写真に色塗りをするだけならレイヤーは1枚追加するだけでいいし、色も薄い赤色と濃い赤色の2色で大丈夫だし、ブラシとか水彩とかスプレーとか、余計なものを使わずに鉛筆1本で勝負出来るし、モロ画像を扱うのでなければ 「ぼかし」 なんても必要無いしー。 基本的には 「連続直線ツール」 で塗りたい範囲を囲って、その中を塗りつぶしてやれば大丈夫なんですが、わざわざ 「塗りつぶしツール」 に持ち替えなくても、囲った中にカーソルを移動して、Shift+左クリックで塗りつぶせるという機能もあったりして、とっても至便。 尿瓶(しびん) の中身を適度に満たしたりするのに至便。 こんな感じ に仕上げることが出来ます。 直線系のツールは Shiftを押しながらマウスを操作すれば45°単位で真っ直ぐな線を引くことが出来るし、「円ツール」 は真円だけでなく、ひじゃけた円を書くことも可能。 尿瓶の蓋の部分を塗るのに重宝しそうですな。 微妙にズレたりして、なかなか難しいものはあるんですけど。 で、曲線に関してはアレです。 「自由線」 というのがいちばん自由で、どんなカーブでも何とかなりそうに思えるんですが、マウスで綺麗な曲線を描くというのは、はっきりいって無理。 間違いなく途中でビビっとなって、芸術家肌である僕を納得させる仕上がりにはなってくれません。ペン型のタブレットでもないとストレスが溜まるだけなので、 「連続直線」 でソレっぽく見せる道を選んだほうが得策でありましょう。 そんなカクカクしたのじゃ、嫌だぁ! そういう拘りを持った人には 「ベジェ曲線」 が便利。 そんな便所が曲がったような線で大丈夫なのか? そう思われるかも知れませんが、大丈夫。 ベンジョ曲線とは違いので、ベン・ジョンソンがきっと何とかしてくれると思うんですが、使い方はとっても簡単♪ …とはとても思えなくて、コツを掴むのに苦労するに違いないんですが、ま、詳しくは これ を見て貰うとして。 足が速いだけで脳味噌が筋肉なベン君にはちょっと無理かも知れないという気もしてきたんですが、こいつをマスターすると、どんな曲線でも何だかいい感じに引けちゃったりして、凄ぇぇぇ!! …と感激すること請け合いなので、ま、頑張ってくださいね。

 で、ここまでの成果をまとめてみると、 こんな感じ 。 テキスト入力も可能で、サイズやフォントも自由に選べたりします。 2枚のレイヤーを重ねた状態で JPEG形式とかで 「名前を付けて保存」 するとこうなるんですが、上に重ねたレイヤーだけを画像として保存することも可能です。 こう なります。 こいつを EXCELに貼り付けて、トレペにプリントアウトしてやれば、上に被せる薄紙が完成♪ 尿瓶ではなく、最初のほうに出てきた台板とバルブの取替でいうと、 これ 。 おお、いい感じじゃん♪ EXCEL だけでここまでのクオリティを出せるかぁ? ベジェ曲線、引けるかぁ?  いや、もしかしたら普通に引けちゃったりするのかも知れませんが、僕の完成写真のほうが完成度が高いのは間違いないし、感性だって感じられるし、 「すっごく素敵で、きゃー♪」 というギャルの歓声まで聞こえる気がするし、今後、完成写真はすべて「さばクン方式」にすること! そんなお触れを出して 「完成の改革」 を断行しようと思う次第でありますが、みんなも賛成してくんせい♪

 ということで、今日はビリー・テイラーなんですが、日本での人気はちょっと微妙だったりするキャラっすよね。 知名度もさほどではなくて、ビリーなら恐らく、ブートキャンプのビリー・ブランクスのほうが有名なのではなかろうかと。 テイラーなら、テイラー寺沢くんのほうが上? 僕が今、適当に思い付いたキャラなんですが、そんなのにも負けちゃうとは、ちょっと情けないっすよね。 が、うちのサイトでは何故だか厚遇されていて、過去に5度も登場してたりします。 ざっと過去ネタを読み返してみたところ、特筆すべき点は何も無かったのでリンクを貼るのはやめておきますが、今日はそんなビリ・テラくんの 『ザ・ビリー・テイラー・タッチ』 というアルバムを紹介したいと思います。 『ザ・ビリー・テイラー・おさわり』 。 あまりソソられるものがありませんな。 が、“Amazon” の 「これにも注目」 というところにいきなりコイツが顔を出して、 ジャケットを見て一目惚れして、思わず衝動買いしてしまいました。 ま、ショーコー買いするよりはマシだと思って諦めるしかありませんが、たった今、衝動買いしちゃったんですけどね、 『日出づる国、災い近し―麻原彰晃、戦慄の予言』 。 中古で1円 (←ただし送料は250円) だっtので被害は最小限で済んだんですが、場合によっては来週のネタとして有効に活用出来るかも知れないしー。 とまあそれはそうと 『 (前略) おさわり 』 なんですが、パソコンでマウスだけでも書けちゃいそうな単純明快なジャケに惹かれて買ってはみたものの、中身のほうはちょっと微妙かもー? 前半の4曲はアール・メイエド・シグペンを従えたトリオ物で1957年の録音。 こっちのほうは何の問題もないんですが、後半の7曲はギター入りのカルテット編成で、吹き込まれたのは1951年。 古っ! 内容的にも音質的にも古くさくてダサダサであるに違いなくて、アルバム全体としても寄せ集め感が半端ありません。 でもまあ、寄せて上げるのはぜんぜん悪くないような気もするし、後半の 「ダサダサの部」 は解説で手を抜いてもまったく罪悪感に駆られずに済みそうだし、とまあそんなことで、とりあえず聞いてみることにしましょうかー。

 ということで、1曲目。  「ユー・メイク・ミー・フィール・ソー・ヤング」 。 「あなたは私に非常に若く感じさせます」 っすか。 いいですよね、若く感じるって。 ちょっぴり 「わかめトン汁」 みたいで。 豚汁にワカメは邪道のような気がするし、個人的に豚汁は “とん汁” ではなく、断然 “ぶた汁” だと思うんですが、結里亜タンの得意料理だったりするみたいです。 ほれ 。 出汁も味噌も使わず、お吸い物のもと×1袋で済ましちゃうところに “味噌汁ではなくて、すまし汁派” の矜持を見た思いでありますが、ぶっちゃけ、何だかめっちゃ不味そう。 鮭のマスタードあえ も、ヒドス。。。 料理と写真、両方の腕を磨いたほうがいいような気がするんですが、ま、大きなお世話っすよね。 で、曲や演奏の出来のほうはどうなのかというと、ん? 何だかめっちゃ古めかしい風? 省略して、古風? 1957年物なのですっかり油断していたら、この有り様っすかぁ。 モハメッド・アリは偉大なボクサーなので、アリ様と敬称で呼ぶのは当然なんですが、この有り様はちょっとどうか? …と。 例えて言うなら、テディ・ウィルソン系? 小粋であるな。 そう、前向きに評価することも出来るんですが、日本語ライナーを書いている杉田弘樹クンは、時代背景を踏まえれば、バド・パウエルの影響が感じられるのはもちろんだが、加えてアート・テイタム流の技巧も認められるのが興味深い。 そのように論じておりますな。 テーマ部はぶっちゃけ、ん? …という感じだったんですが、アドリブ・パートに入ると、まずまずそれなりだったりして、まずは挨拶代わりに軽いジャブ。 そういったところでしょうか?

 ということで、次。 ビリ・テラのオリジナルで、 「アール・メイ」 。 ベース弾きの人の名前、そのままっすな。 まさかこれでアール・メイをフィーチャーしてないんじゃあるめーな? そう危惧していたんですが、さすがにそんなことはなく、冒頭からウォーキング・ベースと指パッチン(?)との絡みを存分に堪能出来るようになっておりました。 で、続いてビリーが登場してテーマらしきものを弾いて、その後、いい感じに参加者各位が三位一体で絡んでいくことになるんですが、いや、これは悪くないっすな。 ビリーのタッチそのものはソフト過ぎてちょっぴり物足りない感もあるんですが、ま、これがこの人の持ち味なので、素直に受け入れるしかありません。終盤はメイたんのソロもフィーチャーされていて、梅丹好きの人にも楽しめる仕上がりとなっております。 個人的にあまり好きではないんですけどね、梅丹。 梅仁丹のほうがよっぽどマシです。 子供の頃、おやつ代わりによくバリバリと食ってましたよね、仁丹。 ノーマルな銀色のヤツは爺臭くてさすがに嫌だったんですが、梅仁丹とレモン仁丹は鉄板。 グリーン仁丹はちょっと微妙で、うーん、アルミ板? そんな感じだったりしたんですが、思い出に浸っているうちに演奏は終わってしまったので、次。  「キャン・ユー・テル・バイ・ルッキング・アット・ミー」 。 日本語にすると 「私を見ることにより伝える缶」 って、合ってんのか、この Excite翻訳? “Can” は “缶” でいいのか? 暗算と漢字と英語が苦手な僕には何とも判断つきかねるところなんですが、曲のほうはアレです。 とってもリリカルなバラードで、 「魔法少女リリカルなのは」 も大満足。 いいですよね、リリカル。 少なくとも塩カルよりはソソられるものがあるんですが、クルマが錆びるだけですからね、塩化カルシウム。 塩カルビの略の塩カルならぜんぜん問題はないんですが、こういう “こちら、お静かね系” のスローナンバーこそ、テイラーのオサワリが真骨頂を発揮するのではないかと思うんですが、お静かなのに、エロい。そういう客って、確かにいますからねー。

 で、次。  「アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー」 。 僕の拙い英語能力では 「私はあなたを蹴り出すことが出来る」 としか訳せないんですが、 「私はあなたで喜びを得ます」 。 おお、さすがは Excite翻訳。僕よりはちょっとだけマシですな。 一般的には 「君にこそ心ときめく」 という邦題が使われるんですが、アップテンポで賑々しく演るのがお約束となっておりまして、ここでのビリ・テラもご多分に漏れず、ちょっぴりラテンなフレーバーを絡ませたりしながら、賑やかなプレイを披露してくれております。 当時オスカー・ピーターソン・トリオに加入して間もないエド・シグペンが、巧みなプレイによりトリオ・サウンドに大きく貢献している。 そう日本語ライナーに書かれているんですが、そんなシグぺんに触発されたのか、テイラーが珍しく変な声を出しながらピアノを弾いていたりして、何だかノリノリぃ♪

 ということで、前半は終了。 この先はオマケのようなものなので、適当に軽く流しておこうと思うんですが、ジョン・コリンズという人のギターが入った1951年のカルテット物でありますな。 超期待薄なんですが、とりあえずは 「ラップ・ユア・トラブルズ・イン・ドリームス」 。 「苦しみを夢に隠して」 などという、なかなか小洒落た邦題が付けられております。 演奏のほうはというと懸念した通り、ちょっぴり古めかしい雰囲気が漂っていたりするんですが、ま、今から62年も前の演奏ですからね。元号で言うと昭和26年でっせー。日本では第1回NHK紅白歌合戦が放送されたり (当時はお正月番組) 、三原山が噴火したり、マッカーサーがGHQ最高司令官を解任されたりしている頃に、海の向こうのアメリカではこんな小粋な音楽が流れていたんですなぁ。 そう考えると、なかなか趣深いものがあるんですが、とまあそんなことで、次。  「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」 。 日本名 「柳よ泣いておくれ」 。 個人的にあまり好きな曲ではないんですが、ここでのテイラーの情緒纏綿っぷりも何というか、まぁ…。 で、次。  「グッド・グルーヴ」 。 タイトルの通り、なかなかいい感じのグルーヴは感じられるんですが、ギターとの絡みが何だかダサくて、うーん…。 で、次。  「ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ」 はエラ・フィッツジェラルドの名唱があるバラードの名曲。必要以上に多くの音数を使わないテイラーのプレイが、美しさを生む。 そう解説に書いてあったので、ちょっと期待しちゃったんですが、それに違わぬラブリィ&キュートな仕上がりで、何より。 ギターの人がいるのか、いないのか、よく分からなかったりするところも好印象。 申し訳ないんだけど、ジョン・コリンズには、こりん星に帰って貰ったほうがいいんじゃないか? そんな気がしないでもありません。

 ということで、次。  「ゾウ・スウェル」 。 偉い人は偉くなった証として、像を据えるのが好きだったりするんですが、そんな心境を歌に詠んだものなのではないかと思われます。 で、演奏のほうはというと、まだ故郷の星に帰ってなかったらしいコリンズくんとテイラーとの絡みでテーマが演奏されて、続いてピアノのソロが登場するんですが、息の長いシングル・トーンや、ダイナミックな両手使いが、まさにテイラーの独壇場だ。 そう日本語ライナーにあるように、なかなかのテクニシャンぶりを聞かせてくれております。 コリンズのギターもそんなに耳障りではなくて、ま、あと少しだけならアメリカに残ってもいい。 そんな寛大な気持ちになれる僕って、何て心の広いオトナなんでしょうなー。 で、次。  「ザ・ヴェリー・ソウト・オブ・ユー」 。 「君を想いて」 などという古風な邦題が付けられております。 「君を慕いて」 とか、そういうのもありませんでしたっけ? 「死体としたいって」 って、それはあまりにも変態的なネクロフィリアで、まったく理解出来なかったりするんですが、演奏のほうは誰にも分かりやすい愛すべきバラードの小品に仕上がっていて、何よりだと想います。 ということで、ラストっす。  「サムバディ・ラブズ・ミー」 では、シャドウ・ウィルソンが控え目なブラッシュに徹し、ジョン・コリンズがリズム・ギターを刻む構成が、プリ・バップ・ピアノの美点を表現しているかのよう。秀逸なアイデアに唸る。 …と、杉田広樹クンを唸らせたナンバー。 これで後は “うながっぱ” を唸らせれば完璧なんですが、多治見のアレは唸っているより、うだっているほうがお似合いだったりして、とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 後半の1951年物が思った程は悪くなかったんですが、いい意味で期待を裏切るほどの出来という程でもなく、前半の1957年物のほうもそこそこで、トータルすると、うーん、まあまあ? 癖や灰汁(あく)がなさ過ぎて、ちょっぴり物足りなくはあるんですが、よくよく考えたら僕は珍味が嫌いだったりするし、珍奇ではない、普通にオーソドックスなジャズ・ピアノを楽しみたいのであれば、無難な選択であると言えなくもないような気がしないでもありません。 ビリー・テイラーって、テラ凄くはないんですが、キロ悪くない程度には楽しめて、うーん、そこそこ♪


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