AT THE HICKORY HOUSE VOL.2 (BLUE NOTE)

JUTTA HIPP (1956/4/5)

AT THE HICKORY HOUSE VOL.2


【パーソネル】

JUTTA HIPP (p) PETER IND (b) ED THIGPEN (ds)
【収録曲】

(01-03) GONE WITH THE WIND / AFTER HOURS / THE SQUIRREL
(04-06) WE'LL BE TOGETHER AGAIN / HORACIO / I MARRIED AN ANGEL
(07-08) MOONLIGHT IN VERMONT / STAR EYES
(09-10) IF I HAD YOU / MY HEART STOOD STILL
【解説】 ( 2013年01月14日更新 / 連載 1,061回 )

 みんな、切羽詰まっているかな? 僕はですね、まあまあです。 そもそも 「切羽詰まる」 って、つまるところ、何がどこにどういうふうに詰まるのか、今ひとつよく分からなかったりするんですが、何にしろ何か詰まるというのは大変だったりします。 餅が喉に詰まる。命にかかわって、大変です。 脳の血管が詰まる。たとえ一命を取り留めたとしても後遺症が残ったりして、大変です。 便所が詰まる。汚くて臭くて、大変です。 バッドばつ丸。 これはまあ、語尾が「つまる」なだけで何かが詰まっているわけではないので、あまり関係は無いんですが、で、切羽詰まるというのはどういう状況なのかというと、 これ 。 ほぉ、なるほど。確かにこれは切羽詰まってますなぁ。 相手に勝たなあかんのに、刀が抜けん。これでは負けてしまいます。 抜けたら抜けたで今度は差せなくなったりすると、抜き差しならない事態ということになるんですが、で、何がどのように切羽詰まって、まあまあなのかというと、工事の完成書類。 その出来映えがですね、ぼちぼちだったりします。 ガスタービン発電設備の部品取替工事で、作業自体は3日で終わっちゃったし、出さなければならない書類もさほど多くはないんですが、 電子納品 。 それがネックだったりします。 個人的には 電子納豆 と同じくらいソソられるものがなかったりするんですが、噂には聞いていたものの、実際に自分でやってみたことはなくて、どうしていいのかよく分からなくて、ヤル気がしない。 そんな理由でずっと放置しておりました。 ま、工期は1月10日までなので、年が明けてから考えればいっかぁ。。。


 が、時間が経つのは早いっすなぁ。 年末年始はゴロゴロしたり、ウダウダしたりして過ごしたんですが、でもって、1月3日には浜名湖に行って、ウナウナ。 (← 前号 参照 ) 気分転換と現実逃避にはちょうどいいプチ旅になったんですが、翌日には現実に引き戻されて、ちょっぴり危機感を覚えたりもして、会社に行って電子納品にチャレンジしてみることにしました。 世の中にはちゃんとソレ用のソフトが作られていたりするんですが、うちの場合は これ を使っています。こんなキャルス・マネージャーではなく、専属のギャル・マネージャーが仕事を手伝ってくれたりすれば、すごくヤル気になると思うんですが、とりあえずまあ、姉妹品の フォト・マネージャー のほうで、写真の管理でもやってみますかね? 基本的に写真をジャンルごとにフォルダに分類して、適当にコメントをつけてやれば大丈夫みたいで、やってみたら意外と簡単だったんですが、ま、それで合っているのかどうかは別にして。 ぬっくん (←役所の担当者) は新人らしく、僕の同じくらい書類に関してはあまりよく分かっていないみたいなので、それらしいものを提出しておけば、とりあえずは受け取ってくれるんですよね。 後で上司とかに聞くのか、あれが足りないとか、ここを直して欲しいとか言ってくるのは明白なんですが、とりあえずの時間稼ぎにはなります。 ということで、写真のほうはクリアー。 で、続いてその勢いで本編のほうもやってみることにしたんですが、こっちのほうはいきなり挫折しました。 工事情報に関して 「CCMS設計書番号を入力して下さい。」 とか言われちゃったんですが、んー、何それー? 役所から貰った資料を見てもそれらしき物は書かれていないし、これはもう、諦めろ! そんな神の声であるに違いありません。 役所はこの日から営業を開始している筈なので、ぬっくんに聞けばあるいは何かしら教えて貰えるかも知れませんが、うちの会社的にはまだお休み期間中ですからね。 そこまでして頑張る必要はないし、神の意志に背くわけにもいかないし、ま、月曜日になってから考えればいっかぁ。。。

 とまあそんなことで、月曜日。 ま、明日になってから考えればいっかぁ。。。 事態を先延ばしにすることによって、とりあえず一日を平穏無事にやり過ごすことにして、で、次の日、ぬっくんから別件で電話が掛かってきたので、ようやく覚悟を決めて、謎の “CCMS設計書番号” についてお伺いをたてることにしたんですが、するとですね、ぬっくん、しばし沈黙。 電話の向こうからは上司にお伺いをたてている気配が伝わって来たんですが、やがて導き出された回答は、 「登録しまっす。」 というものでありました。 ん!? ちょっと意外な展開だったんですが、どうやら発注者側が何らかの登録手続きを済ませた結果、得られる番号のようなんですが、ぬっくんはそれを知らずに、何にも手を付けていなかった模様なんっすよねー。 しっかりしろ、ぬっくん!! とりあえずこの数字は無視して、適当にそれらしいCDを1枚作り上げて、1月10日に提出させて頂く旨を申し上げたところ、「いや、間に合わないと思いまっす。」 どうやら登録手続きに何日か掛かりそうな感じでありまして、つまりそれはアレっすかぁ? 工期内に電子納品が出来なくても、やむを得ない。 そういう事っすかぁ? 僕は根が几帳面だし、完璧主義者でもあるので、そういう事はきっちりと処理させて貰いたいんですが、でもまあ、人間、誰しも過ちはありますからね。 ましてや、ぬっくんは新人です。至らぬところがあるのも当然でありまして、そこは年長者である僕が折れればいいだけの話でありまして。 いやあ、下手に4日に聞こうとしなくて、正解でしたなぁ。 そんなことをすれば工期に間に合っちゃうところでした。 番号が11日にならなければ分からないとなると、さすがにその日のうちに持ってこいとは言われないと思うので、となると3連休の間に何とかすれば何とかなると思うので、そういう事なら下手に残業するのはヤメにして、今日は早く帰っちゃう〜♪


 ということで、1月9日。 昼間は別の現場での監督業務をこなし、で、会社に戻って何気なくメールをチェックしたところ、ぬっくんからの業務連絡が来ておりました。  “CCMS設計書番号” が書かれておりました。 マジっすか? アンタ、間に合わないって言ったやんっ! 静かな怒りがこみ上げて来たんですが、こうなっちゃった以上、覚悟を決めるしかありません。 幸い、あまり大した工事ではなかったので、何とかそれらしいCDを1枚でっち上げることが出来たんですが、ま、それで合っているのかどうかは別にして。 というか、間違いなく間違った箇所があるのは明白なんですが、とりあえず時間稼ぎには使えるのではなかろうかと。 正式には規定の書式に則って、プリンターでラベルに印字しなければならんのですが、どうせ作り直しを命じられるに違いないので、無地のままで出すとして。 で、そのCD以外に紙媒体で提出しなければならない書類もあるに違いないんですが、下手に確認して仕事が増えてもいやなので、とりあえず薄っぺらいファイル1冊の 「完成図書」 だけを何とかでっち上げて、あとは野となれ、山となれ。 そんなこんなで、翌10日。 役所に出向いて、分量が極めて些少な 「完成書類×1式」 を恐る恐る提出したところ、基本的に難しいことがあまり分かっていないぬっくんは、快く受け取って下さいました。 いやあ、これで何とかひとつの山は越えましたな。 そう、ほっとしたのもつかの間。 アンチョコみたいな紙を眺めながら、 「あと、完成写真帳も必要です。」 ああ、やっぱり必要っすかぁ。。。 多分、要るとは思っていたんですが、敢えて考えないようにしていたんですよね。 「工事日誌も出して下さい。」 ああ、そう言えばそんなものもありましたなぁ。。。 でもまあ、作業をしたのは3日間だけなので、それ以外の日の分は書かなくてもいいよね? 恐る恐るその旨を申し上げたところ、 「もちろんです。」 という力強い回答が。 おお、なかなか話が分かるじゃん! 「あと、工事写真帳も…」 とか言いかけたので、このCDの中にそのすべてが詰まっているじゃん! …と、その旨を力説させて頂いたところ、 「電子納品ということは、紙媒体の書類を減らすという意図がありますからねぇ。」 という見解が示されて、おお、ますます話が分かるじゃん! 気に入ったぜ、ぬっくん♪ 「ま、一応、調べておきます。」 ということで、この日は無事に無罪放免となりました。 辛く険しい道程でありましたが、何とか無事に仕事をやり遂げることが出来て、なんとも心地よい達成感を得ることが出来て、何より。

 で、事務所に戻って、その余韻に浸っていたところ、夕方6時半を過ぎた頃になって、ぬっくんからの電話が。 「工事写真帳も出して下さい。」 えー、マジっすかぁ? さっき、電子納品の意義について熱く語ったのは一体何だったんやぁ!? 「工事日報は10月3日から4日、5日と毎日の分を書いて出して下さい。」 …って、そっちもかよぉ! 作業した日の分だけでいい。もちろんです! そう力強く言ってたやんっ! 日報には天気と気温を記入する欄があって、それが無駄に面倒だったりするんですが、恐る恐るそこも書くのか聞いてみたところ、 「もちろんですっ!」 普段は自信が無さそうな感じで喋るぬっくんなんですが、言いにくいことを言う時だけは何故か妙にはっきりした口調になって、何か嫌っすな。 ま、基本的に嫌みはないタイプなので、嫌いではないんですけど。 不足書類の追加請求だけで、今日出した分に関しては何のお咎めもなかったので、ちょっと気になって 「電子納品のほうはどうでしたかぁ?」 と聞いてみたんですが、するとまた自信が無さげな様子になって、「電子納品のほうは、明日チェックします。」 そうそう。公務員なんだから無駄に残業とかしないで、夕方5時になったらさっさと帰っちゃえばいいと思うんですよね。 変に頑張っちゃうところがぬっくんの悪いところでなので、そのへんはまあ、適当にしておいたほうがいいんじゃないかと、年長者の立場からアドバイスさせて頂きたいと思います。


 とまあそんなことで、翌日。 現場作業を終えて会社に戻ったんですが、ぬっくんからは何の連絡も入ってませんでした。 あの電子納品が間違ってない筈がないので、何にも言ってこない筈は無いんですが、とりあえずのところ、メールは来ておりませんな。 あとはたいてい、6時半を過ぎた頃に掛かってくる電話だけが恐怖なんですが、不安を紛らすため、前の席のオカダくんと 「そろそろ、ぬっくん(仮名)から電話が掛かってくるような気がする。」 そんな話をしていたんですが、「あ、そう言えば、電話が掛かってきていたような…」 って、マジかよ? 聞いてねぇ! 僕は何も聞いてねぇ! 「あー、でも、昨日の事だったような…?」 そうそう。 昨日は確かに電話が掛かってきたから、それとゴッチャになっているに違いありません。 もし、今日も電話が掛かって来ていて、僕がそれを無視した格好になったとしても、僕は何にも悪くありません。ちゃんと伝えなかったオカダくんが悪いっ! で、とりあえず金曜日は夜中の12時頃まで頑張って完成写真帳と工事写真帳と工事日誌を作って、 東洋健康ランド で風呂に入って仮眠して、で、次の日の土曜日は昼過ぎまで現場で監督業務に従事して、昼から会社に戻って仕事して、とりあえず紙ベースで提出する書類は、ま、何とか揃ったような気がしないでもありません。 切羽詰まらないとヤル気が出ないタイプなので、いつも工期末はバタバタなんですが、とりあえずこれからは切羽詰まらなくてもいいように 河童つまらないもの でも買って備えるとして、とまあそんなことで、今日のつまらない話は、おしまい。

 ということで、今日は 『ユタ・ヒップ・アット・ヒッコリー・ハウス・Vol.2』 です。 これを選んだのは他でも無い、 このジャケ絵 をそのまま流用出来るからなんですが、年に一度くらいは楽させて貰ってもいいよね? 新年早々から切り札を使ってしまって、今後がちょっと心配だったりするんですが、ま、コンゴ人が何とかしてくれると思うしー。 コンゴ人で画像検索したら こんな人 が出てきたんですが、いかにも何とかしてくれそうで、心強い限りです。 もしこのコンゴ人が駄目だったとしても、コンゴウインコに頼めばいいしー。 とまあそんなことで、ユタたんなんですが、その経歴とかは “Vol.1” のほうを見て貰うとして。 ライブが行われたヒッコリー・ハウスについても簡単に触れられておりますな。 サイドマンに関してはあまり書かれてなかったような気がするので補足しておくと、ベースがカレー好きのペーター・インドで、ドラムスが魚肉練り製品好きのエド・シグペン。 名前がシグペンだからって、必ずしもハンペンが好きだとは限らないんですが、そこはまあ、僕の個人的な願望ということで。 とまあそんなことで、では演奏を聞いてみましょうかぁ。

 1曲目、 「ゴーン・ウィズ・ザ・ウインド」 。 日本名 「風と共に去りぬ」 っすな。 最後の 「去りぬ」 というのがテリーヌみたいで、ちょっといいな♪ …と思うんですが、あまり好きではないんですけどね、テリーヌ。 照り焼きのほうが全然いいと思います。 鯖のテリーヌ仕立て照り焼き風 なんてのもあって、これはちょっと美味しそうなんですが、で、演奏のほうはアレです。 軽快にバウンスするスインギーな仕上がりだったりして、いいっすなー。 上田篤クンが書いた日本語ライナーに、実際、渡米後のユタのピアノはモダン・ジャズの香りを増し、バド・パウエルやホレス・シルバーの影響が見受けられるようになる。 そんな記述があったりするんですが、確かに。 ドイツ人のギャル系ピアニストというと、何だか色物扱いされそうなんですが、色物用の洗剤を使わなくてもぜんぜん大丈夫なくらいオーソドックスな王道系だったりして、で、意外と黒さも感じられたりします。 グラスのガチャガチャ音もしっかりと入っていてライブの雰囲気を高めてくれるし、終盤はインドくんのベース・ソロとシグペンとユタの絡みもあったりして、3人の息もぴったり。 いやあ、いいっすなぁ、これ。

 ということで、次。  「アフター・アワーズ」 。 閉店後の寛ぎまくった寛くん。 そういった状況を描写したナンバーなんですが、ライブの定番曲だったりもしますよね。 いい感じに酔っ払ってる感を出せるかどうかが、こいつを演奏する際のポイントだったりするんですが、ここでのユタたんは大丈夫。 本人は超下戸で、ぜんぜん飲めなさそうな雰囲気が感じされたりするんですが、他人を酔わせる術(すべ)はしっかりと弁えております。 情感たっぷりに上官に取り入る女下士官って感じぃ? 盛り上げパートではちゃんと “畳みかけ奏法” を披露してくれるし、右手と左手のバランスも絶妙で、いやあ、いいっすなぁ、これ。 ということで、次。  「ザ・スカーラル」 。 タッド・ダメロンのオリジナルのようです。 “squirrel” って何なのかと思ったら、リス。 ほぉ。 メジャーな哺乳類なのに今まで英語で何というのか、ぜんぜん知りませんでした。 綴りを見ている限り、スクイエル (?) という気もするんですが、日本盤CDの表記はスカーラル。 ググってみたら 「魔法少女マロン&スカーラル」 なんてのも出てきたんですが、健全な青少年にはまったく似つかわしくない代物だったりしたので、よい子のみんなは検索したら駄目だよ〜♪ マロン&スカーラルを日本語に訳したりするのも、忍者・御法度くんだよ〜♪ で、曲のほうはというと、リス的なキュート要素は希薄で、普通に硬派なバップ調だったりするんですが、ユタたんの弾きっぷりも、けっこうゴリゴリ系。 酒飲みのBGMとしては、ちょっとお堅い感じなんですが、インドとシグペンも頑張ってるし、純ジャズとしては極上の仕上がり。 いやあ、いいっすなぁ。

 と、ここまでのところハズレ無しなんですが、ちょっぴり疲れて来ちゃったので、ここいらでスイーツなバラード、いっちゃいましょうかぁ。  「ウィル・ビー・トゥゲザー・アゲイン」 。 ギャル系のわりに、こういったスロー系のナンバーでも思ってたほど甘くはなくて、黒砂糖風のフレーバーだったりするんですが、これはこれで悪くなくて、いいんじゃないか。そんな気がします。 ということで、次。 ユタ・ヒップのオリジナルで、 「ホレーショ」 。 このタイトルを見ると、ほうれん草を食べたくなってしまうんですが、意図としては恐らく、ホレスをラテン風にしてみたものなのではなかろうかと。 で、曲のほうはというと、微妙にホレーショっぽいような、レーションっぽいような? 軍人の人が食べるやつですよね、レーション。 軍司の人が食べるのは、寿司なんっすけど。 もっとも、川俣軍司くんは寿司職人としての腕は大したことなかったようなので、自分で握った寿司を自分で食って、「こんな不味いもの食えるかぁ!」 とか言ってそうなんですけど。 …とか言ってるうちに演奏のほうは終わってしまいましたが、残るところ、あと4曲でありますな。 この先、劇的に書くことが増えるような出来事が起きるとは思えないので、この調子だと今日の原稿は今年いちばんの短さになってしまう気がするんですが、ま、これでも十分に無駄だとは思うんですけど。 ということで、次。  「アイ・マリード・アン・エンジェル」 。 「私は天使と結婚しました」 っすか。 ま、いいんじゃないっすか、ペテン師と結婚するよりは。 で、曲のほうはアレです。 すごくいい感じです。 で、演奏のほうもこの上なくいい感じです。 アップ・テンポの曲やバラード・プレイも悪くないんですが、このユタたん、この手のミディアム・ファストの歌モノを演らせた時がいちばん輝いているような気がします。 テーマに続いて、ピアノ、ベース、ドラムスの順でソロがフィーチャーされて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 4分20秒と、決して長い演奏ではないんですが、この3人組の持つ魅力が遺憾なく発揮されていて、イカしてる。 そんな1曲なのでありました。

 で、次。  「ムーンライト・イン・ヴァーモント」 。 日本名 「ヴァーモントの月」 っすな。 このタイトルを見るとペーター・インドでなくてもカレーを食べたくなっちゃうんですが、 「ホレーショ」 との合わせ技で、ほうれん草カレーとか、いいかも? あるいはカレーのレーションとか。 名付けて、華麗なレーション、カレーション♪ おお、これは売れるかも! …って、誰でも考え付きそうなんですが、インターカレーション (Intercalation) とは、分子または分子集団が他の2つの分子または分子集団の間に入り込む可逆反応のこと。 そういうのは既にあるみたいです。 可逆反応、不可逆反応。 これを噛まずに3回言えたら大したものなんですが、飯能信金東飯能支店。 こちらは同じ 「はんのう系」 でも、ぜんぜん難易度は低いですな。 読めないという点では飯能信金小手指支店のほうが上でしょうか?  コテコテの埼玉人じゃないと読めないっすよね、こてさし。 小手指指尖痛という、何だか痛そうなのもあったりするんですけど。 で、演奏のほうはアレです。 しみじみとしたバラードに仕上がっていて、グラスのガチャガチャ音もいい感じに入っていたりして、ヒッコリーハウス、なかなか雰囲気良さ気でありますなぁ。 で、続く 「スター・アイズ」 は一転してスインギーな仕上がり。 インドくんのソロもちょっぴりフィーチャーされておりますが、ここではシグペンの活躍ぶりが光ります。 ブラッシュ・ワークが超絶的に絶妙過ぎて、もう、 「シグペンの美子ちゃん」 という漫画を描いて讃えたくなるレベル。 それに煽られて、ユタもノリのいいフレーズを連発。 アップ・テンポの曲やバラード・プレイも悪くないんですが、このユタたん、この手のミディアム・ファストの歌モノを演らせた時がいちばん輝いているような気がします。そんな戯言を言ってるヤツもいましたが、この急速調の 「星目」 の出来も半端じゃないっすなぁ。

 ということで、次。  「イフ・アイ・ハッド・ユー」 。 …と、ここでユタさんの挨拶が入ってますな。 Wikipedia によると、この人は極度のあがり症であったらしく、ここでも地味に曲名を紹介しているだけなんですが、美人系の人は下手にべらべら喋り過ぎるとイメージが崩れるので、ま、これくらいが無難なのではなかろうかと。 で、演奏のほうはというと、インドくんのベースが大フィーチャーされておりますな。 ライブにはよくある演出なんですが、ま、いいんじゃないっすか。 1曲くらいなら。途中から普通にピアノも出てくるしー。 ということで、ラスト。  「マイ・ハート・ストゥッド・スティル」 。 「私の心臓は止まったままです」 って、死んでるぜ、あんた。 早く病院に行けよ! そう思わずにはいられませんが、演奏のほうは実に生き生きとしているので、ま、大丈夫かと。 とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 終わってみれば全曲、ハズレ無しでありましたなぁ。 “Vol.1” のほうの出来もよかったような気がするし、ドイツ女、やるじゃん! 極度のあがり症でも、ここまで出来る。 そんな希望を与えて貰った気がしますが、ま、結局は駄目で音楽の世界からは身を引いちゃったみたいですけど。 「薄幸の超幻のピアニスト」 とか呼ばれているようですが、何のかんので78歳くらいまでは生きてたみたいですな。 心臓が止まった状態からよくそこまで持ち堪えたと褒めてあげたい、そんな1枚なのでありました。


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